第77話 第2階層はリクエストで

 『第2階層の扉が解放されますが、どんな食料がご希望ですか?』


 天ちゃんの声です。2日に渡って第1階層を収穫し続けていたら

2階層への扉が解放されるようです。


 何をリクエストすれば良いのかな?日本人ならやっぱりお米でしょう。それもとびっきり美味しいお米。それも精米済みで収納できたらいいな。


『了解しました。全ては貴方様の思いのままに』


※※※※※※※※※※※※※※


 そのころ仙女ユイのもとにダンジョン創造の一環でガイちゃんから個人所有の収穫ダンジョンに、お米を収穫したいとのリクエストが有ったことが伝えられました。


(お米を収穫したいなんて、ひょっとしてその人日本人?)

更にその人間が若干13歳の少年と訊いて、絶対に美味しいと絶賛するようなお米を配備する事を決心しました。


 更に、ストレージに収納する際に稲穂から白米にしてしまう機能を付けました。

またまたその階層に出現する魔物は経験値稼ぎに最適な高級肉質お肉を持つエンペラーオークを配置するというサービス満点のダンジョン創造をしたのでした。

しかもリクエストした本人が13歳ではご飯の炊き方も良く分からないだろうからとご飯の炊き方のレシピを1万枚も付けて!

これで余剰米を売却しやすいだろうとの考えのもとに。

仙女ユイは母性愛に目覚めたようです。


※※※※※※※※※※※※※※


僕は2階層に入りました。そこは水田の形ではなく、まるで畑に稲穂が揺れているようです。これが陸稲という品種なのでしょうか?


早速収穫カッターを振るいます。何時ものように根元から切断してストレージに収納されましたが確認すると、脱穀、籾摺り、精米済みの綺麗なお米が収納されていました。1回で1tの収穫量です。もみ殻も稲わらも資源材料として保存されています。しかもご飯の炊き方のレシピ付き。この世界には炊飯器が無いので、鍋で炊くしか無いのですが、昔父親とキャンプに行ったときに飯盒はんごうで炊いているのを見ただけだったのでどうやって炊こうか悩んでいたので大助かりです。


早速炊いてみましょう。水を入れてお米を研いで、すすいで、いつか役に立つときも有ろうかととぎ汁も保存しておきます。

1時間ほど水に漬けて置いて鍋に移して水量を確かめて火にかけました。火加減に注意して水気が無くなってから約10分蒸らして蓋を開けてヘラでご飯をきり交ぜてみるとおこげが出来ていました。茶碗によそって頂きました。


「これがご飯と言う物なのね、この焦げているところがとっても美味しいわ」

良かった。上手く炊けていた。確かにおこげが取り合いになる程凄く美味しい。ギルドにお米を売るときはレシピとおにぎりを用意しよう。

その後大きな鍋を買い求め、沢山炊いて、おにぎりを作って収納しておいて納品に向かおうとしたら強そうな魔物が現れました。


収穫の時は巻き込まれ魔物が居なかったのでこの階層には魔物は居ないものかと思っていたのですが甘くは無かったようです。

鑑定すると【エンペラーオーク】と言う偉そうな魔物でした。


「あたしが倒すわ」

 スイートが言って飛び出しました。如何せんスイートの剣ではオークの大剣には敵いません。数10回打ち合ったところでパキンと砕け散ってしまいました。

「スイート、交代だ。僕がやる!」


 僕はカッターナイフで敵に対しました。魔物も肉やらなにやらの収穫対象として考えれば収穫スキルが発動すると思ったのです。

一気に決めるために敵の首筋を狙って攻撃しました。


「収穫!」

狙い通りエンペラーオークの首がサッと切れて消え去りました。

『レベルが60に上がりました』


 肉と大剣と魔核がドロップされたのでスイートに大剣を渡して使えるかどうか試して貰いました。


「なにこれ、なにこれ、凄く軽々と振り回せて力が溢れて来るよ」


 どうやら身体強化の付与魔法が施されているようです。

良し決めた。次また手に入れたら僕が使おう。通常背中に背負ってたら格好いいよな。僕中一だけど中二病になりそうです。

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