第74話 初収穫
黄金色に輝く小麦の穂。僕はステータス画面を見てどうやって収穫するのか再確認します。下手なやり方で失敗したくない。
カッターナイフで、根元から10㎝上で切断する。レベルが低いうちは、茎を10本纏めて縛って納品すること。収穫者レベルが上がると、脱穀籾摺りスキルを獲得できることもあるので殻を取り除いた小麦の状態で納品すると売値が倍増する。
隠れている魔物に襲われることが有るので絶えず【魔物探知】を発動しておきましょう。
因みに、僕には攻撃のスキルが無い。但し防御は全攻撃反射防御結界が常時発動しているので、弱い魔物になら襲われても心配ないみたいだ。けれど襲われるのは怖いので、スイートに護衛を依頼した。
カッターナイフ1本で収穫するなんてどんな罰ゲームなんだろう。その前に何で僕が選ばれたのか理由が判らない。武道をやっていたわけでもなく、特に色々な知識を持っているわけでも無いのに。あえて言うならば、単純作業を飽きずにやり続けられるってところかな。でも、体力が無いからご期待にそえるかどうか不明です。約100m×100mの麦畑を見渡して溜息をついてしまいまいます。
先ずは身体を動かそう。買ったばかりの新品のカッターナイフを取り出して、刃を出して茎に当てた時に、脳内に女性の声で
『スキル収穫カッターを使用しますか?』と訊いてきた。
『はい』
と念ずると
『カットと念じてカッターを畑の端から端まで振って下さい』と返って来た。
言う通りにすると一瞬麦の穂が根元10㎝で切り取られ、消えてしまった。
「あ、あれ、大変だ消えてしまった!」
『心配ご無用です。タケルさんの収納空間【ストレージ】に収納されました』と、天の声。続いて
『潜んで居たスライム15匹とホーンラビット7匹、ホーンラット10匹討伐しました。魔核と毛皮と肉はストレージに収納されました』と天ちゃんの声。
『誰が天ちゃんですか!』
『あんただよ天の声さん。名前聞いてないから親しみ込めて天ちゃん。駄目かな?』
『し、親しみこめてだなんて、では……お友達から、宜しくお願いします』
なんか変なこと言ってるけど、まあいいか気に入ったようだし。
スイートの方は呆気に取られて口を開けていた。
僕の方はストレージと言うのを確認している。
【ストレージ】と念じるとステータス画面の様な画面が現れて収納品のリストが表示されました。
試しにラット肉を【出す】と念じてリストの文字に触れると猫位の大きさの肉の塊が出て来ました。
「これがネズミ?でけえ!」
「意外と美味しいんだよ。干し肉の材料としては高級な部類だよ」と、スイート。
流石異世界ってとこだね。
『ところで小麦の収穫はこれで終わりなのかな?どうなの?天ちゃん』
『ダンジョン内では1時間でリポップして再度収穫できます』
「スイート、1時間後にまた収穫出来るようだから休憩しておこう」
「うん、分かった。でもあたし、護衛役出来てないなあ」
「いいさ。もしレベルが上がって難しい階層になった時こそスイートの本領発揮の時間だよ。それまでは身体休めといて」
「ありがと。タケルって優しいんだね」
「そうでもないよ。普通に女の子に対する態度だと思うけど」
「ううん、この街の男どもって女の子の扱いってひどいもんだよ」
そしてポンポポポンと麦の穂が生えてきて再収穫の時間です。
【収穫カッター】でサクッと収穫完了。
ついでにスライム、ホーンラビット、ホーンラットも討伐して
レベルが一気に5に上がってました。今日はこれで上がって売却して宿屋を探そう。
さて、畑1面を2度収穫して魔物を倒したことで現金収入は6万デン(約6万円)になりました。通常1日かけて1面収穫が普通らしいです。
収穫者レベルも5に上がっていました。肉の売却ポイントが大きかったようです。本当に食料品不足なんですねこの世界。
ギルドお薦めの宿屋に行くと、朝夕2食付きで5000デンお風呂付の部屋に通されました。普通新人は朝1食付風呂無しの3000デンの部屋を借りるそうなんです。
スイートとは、明日の集合時間を決めて別れました。護衛料はキッチリ払いましたよ。
最初半半で払おうとしたら常識外れだと怒られました。多すぎだと。なので1万デンで契約しました。
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