第42話 カミエル王国

 翌日カミエル王国に入りました。王国への道を横に逸れてウオドカンに向かいます。


 長雨の影響は川下の町にまで及んでいるようです。川は茶色い濁流になっています。付近の集落は氾濫した川水で家々が床上浸水したみたいです。これでも大分水量は減ったみたいですがそれでもまだ多いようです。


 ウオドカンの町に着きました。畑はまだ水田みたいに水に覆われています。これじゃまだまだ畑として活用出来ないでしょう。

冒険者ギルドに立ち寄ります。

 「これはこれは、貴女が仙女ユイ様ですか?この度は困っていた大雨を止めて天候を晴れに変えて下さってどうもありがとうございます。その上炊き出しのカレーライスでしたっけ、あの美味しい料理を与えて下さって感謝の念に堪えません」


 「単刀直入にお聞きします。国からの支援は有るんでしょうか?

その食料とか……」

向こうのギルマスさんにお尋ねしました。

 「それがですね、ピーチ王国で支援用の資金を横領していたのがバレたという情報が入ってわが国でも調査した結果腐れ貴族の横領が発覚して、王都から緊急搬送されてきましたよ。

 なんでもピーチ王国では水龍様と神様の神罰が下されたと聞いています」


 あの時の事だわ。でも神罰って……大げさに伝わってるみたいですけれど、それで良い方向に回ってくれるのなら私は黙っておきましょう。


 後は畑の水を何とかしないといけませんね。

そこで私は町の実力者を紹介して頂いて並々と水をたたえる畑に移動しました。

さあ、水抜きしましょうね。


 私は収納に畑の水を収納します。一瞬でその畑の水は無くなりました。でも植物栽培に必要な水分は残しておきますよ。さあ、次はお隣です。転移で移動して瞬時に水抜きしてそれを延々と続けます。そしてその日のうちにこの町の余分な水溜りを処理してしまいました。


 雨雲を消して下さった上に高級料理を振る舞って頂いて、その上困っていた畑の水を取り除いていただいて、何と言ってお礼を申し上げれば良いのか……有難う御座います、仙女様、ユイ様」

「「「ありがたやありがたや」」」

何時の間にか集まっていた町の人々が私を拝んでいます。

 「あのう、私を拝むのはやめて下さい」

穴があったら入りたい気持ちです。

「あのう、広い広場が有りましたら貸して欲しいのですが」

「御座います、御座いますとも。こちらですどうぞこちらへ」


 5千人は集まれそうは広い空き地です。

「皆さん今日の夕食はお済みですか?まだでしたら私達とご一緒しませんか?今日はコカトリスのお肉と卵の【親子丼】をご馳走う致しますわ」

「それはとっても有難いことでございます。おい、皆を集めて来なさい。ここに来れない者には誰か届けてやってくれ」

町長さんの声で皆一斉に散りました。皆さんが集まって来る前に

食卓と椅子を出しておきました。

【コカトリスの親子丼】はこくがあってとっても美味しいんですよ。

それに沢庵と野菜の具の味噌汁をセットにしました。

ギルドの職員さんと護衛の皆さんにもお手伝い頂いて夕食会の始まりです。

 一通り皆さんに行き渡ったので、お手伝いして下さったみなさまにも召し上がって頂きましょう。

「それでは皆さんご一緒に【いただきます】」

「「「「「いただきまーす」」」」」


 日が暮れて来たので魔法の灯りをあちこちに灯します。

「仙女ユイ様は高位の魔術師様でもあるのですなあ」

「「そうそう確かに」」「「「んだんだ」」」

 夕食会が終了して後片付けして我が家を取り出します。町長さんにお宅に招かれたのですが、綺麗なトイレとお風呂フワフワベッドは譲れないのでお断りしました。


 さあ明日は早朝に出発の予定です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る