第39話 水龍仲間になる
私はあの山に転移して天候操作の宝珠を設置して冒険者ギルドに戻るとジョーイさんと町の皆さんが歓声を上げて私達を迎えて下さいました。
カレーライスは全町民に行き渡ったようで感謝の言葉に包まれました。
今後は今降っている雨がちゃんと止むかどうか、隣国カミエル王国側に必要な時に雨が降るかどうかを確認しないといけませんね。
それまではこの地を離れるわけにはいかないですね。
「そこでお願いがあります。どこかに私の自宅を置く空き地が有ったら借用いたしたいのですがご存じないでしょうか」
ギルド職員のアジサイさんに訊いてみました。この街には商業ギルドが無いので冒険者ギルドが兼任しているらしいです。
「あの南に見える丘の上なら無料で使用してくださって結構です。
またこの街に永住して下さるのならあの土地5000坪を差し上げたいと町長が申しておりました」
「それは残念。私は旅の根無し草、一つ所にとどまって居られない性分なのです。この町も結界天候操作宝珠の働きが正常である事を確認したら次の町に旅立つつもりでおります」
「ところでそちらの水龍さんはどこからおいでになって、どこで暮らしておられるのでしょうか?」
「我か?我は南の端の孤島に暮らしておったが、これからはそうじゃのう、ユイちゃんの家にお世話になろうかのう。ユイちゃんの手料理を馳走になろうと思うておる」
水龍のスイちゃんにカレーライスをご馳走したら10杯も食べて
懐かれてしまいました。
彼女はもう私の仲間。いいえ、家族です。
「おお、ユイ殿ここにいたのか、そのうちピーチ王国国王様と
カミエル王国国王様ご両方から呼び出しがあるだろう俺と一緒に
行ってくれないか?」
(これってデートのお誘い?んな訳無いか)
「勝手に天候を変えたことでしかられるとか?」
「そんなバカなことがあるか、誉められ感謝されるんだよ」
でも、王族と聞くとなんか嫌な予感しか感じられません。
「確認しておきたいのですけれどこの町の名前とあちら側のまちの名前……」
「ああ、教えてなかったなこの町はサンドラーあっち側の町はウオドカンだよ」
何だかどちらも龍の種名絡みみたいです。サンドラーはサンドラゴン。即ち【日龍】。ウオドカンは、ウオータードラゴンカントリー即ち【水龍の故郷】
「この名前ってひょっとしたら勇者様が名付けたのかしら?」
「うむ、そんなことを聞いたことも有るな」
「ねえスイちゃん、この町の日照りって日龍が絡んでるってことはないかしら?」
「うーん、日龍の気配がしないんだよね。多分関係ないと思うぞよ」
「そっか。それからこのまちの現状を国王様はご存じなかったのかしら?水の援助も食料の援助もされてなかったみたいですし」
それなんだよ、この国もあっちの国も聞いても聞かぬふりしていたみたいなんだよな。見に来ることも無かったと思ってる」
「何か両国とも許せないわね。お仕置きが必用かしら」
「ユイちゃん、声に出てるよ。ギルマスさん青くなって震えてるし」
「まさか私ゴトキの心の声なんかで……あら、本当だ!嫌だわ私ったらおほほほほ」
まだまだ未熟な私ですね。こんなことじゃ海千山千の貴族連中に
見透かされてしまいますわ。ポーカーフェイスのスキルが欲しいですわね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます