第35話 大変!貞操の危機です
ミンティー様から「【優美】はわたくしだけに作って下さったのでしょう?ならば他の人には絶対に売らないで下さいね。勿論独占代金はお支払いしますよ」
と、釘をさされました。
ミンティー様と同世代の方々のために落ち着いた感じの香りを考えなければいけませんね。【乙女の香】は若い女性向きの香りです。敬遠なさる方たちも居られるでしょうから。
それはそうと、お寿司作りの方はお米を炊いてる間にすし酢を作っておきましょう。米酢を使いたいのですがこの世界では無いので炊飯器と一緒に木桶とか握り寿司の型とかこの世界にない物を、お売り致しましょう。
がめついなんて言わないでください。しっかりしていると言って下さいね。
そんなこんなでお寿司パーテイーは大大大好評でした。
特に海の近くで生まれ育ったミンティー様は懐かしさのあまり
涙を流して喜んでおられました。
それと同時に聞き捨てならない思念が私の脳に飛び込んで来ました。危機察知のレベルが上がって危険な人の思惑が解るようになっていました。
『この子、ユイ様は絶対に他国にいいえ、他人の嫁に取られたくないわね。こんなに多才で、料理が上手で、特別なポーションが作れるなんて、今夜ケルトをけしかけて夜這いさせましょうかしら』
大変,私の貞操の危機です。私は王族の嫁になどなる気は有りません。世界旅行に出てまだ1か国目です。もっともっと違う国を見てみたいです。次は思い切り遠方の国に行きましょう。
問題は今夜です。なんとしても貞操を守らなくちゃ。
そうだ、あの手で行こう。
お風呂に入ってベッドにもぐりこんで部屋中に侵入防止結界を張りました。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ケルト王子視点
仙女ユイ様はとってもお綺麗で、お料理が御上手で今まで誰も食べたことの無い美味しいお料理を作ってくれた。
それよりなにより、長年苦しんでいた病気を治してくれた。お抱え医師であるこの国1番とも言われているゾルザル先生
でさえ、治せなかった心臓の先天的欠陥という不治の病を
いとも簡単に突き止めて、特級ポーションなるものをあっさり作って治してしまった。
とんでもない才能だ。
少女の様な外見なのに、その中身は僕等追いつくことのできないほどの知識と技術を持っている。
僕はユイ様に恋してしまった。他の誰にも渡したくない。
おばあ様もユイ様を独占したいようで、ユイ様の部屋に夜這いしなさいとおっしゃった。体の関係を持ってしまえば、貴方の
嫁に出来るだろうと言った。
僕も男だ。決心した。今夜彼女の部屋に忍び込もう。あの女神の様なユイ様を無理やりにでも嫁にしてやろう!
夜も更けて彼女の部屋のドアをそっと開けると、ベッドに横になっている。僕は思い切って彼女の上に飛び乗り、キスをした。
「キヤー!誰?痴漢!誰か、誰か来てー!」
あれ、この声は?!
「クラリス様どうしました?痴漢ですと?おお。この男か」
聞き覚えのあるこの声は騎士団長の声では?
灯りが点いた。ベッドの中にいたのは妹のクラリスだ!
どういうことだ?僕は確かにユイ様の部屋のドアを開けた筈なのにどうしてここにクラリスが???
騒ぎになっておばあ様も顔を出した。
「ここは2階のクラリスの部屋よ。ユイ様の部屋は1階の客室でしょ、あんた何考えてるのよ」
こっぴどく怒られてしまった。
集まったみんなの後ろにユイ様が居て冷たい視線と声でこう言った。
「私は決してケルト王子殿下と結婚する気持ちも身体を許す気も有りません。申し訳ありませんが私は今すぐここを去ります。お世話になりました。諸々の代金は明日にでも口座に振り込んでください。この事は国王陛下にすべて報告致します。そのおつもりで!」
騒ぎを聞きつけて来たユイ様に何もかも知られてしまった。
僕の一生の恥だ。
でも今でも解らない。1階と2階を間違うはずがないし、ましてや
暗かったとはいえ、スタイルの全く違うユイ様とクラリスを間違えるなんておかしい。狐に騙されてしまったのか?
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