第32話 マルシェの町へ

魚市場に行ってそこの一角にある王宮御用達の魚屋さんで色んな種類の魚介類を買って来た翌日私達はクラリス様のお兄様が療養中の、おばあ様が暮らしているマルシェの町へ出発しました。


王族だけが利用出来る道を利用して9泊10日の旅になります。

一般の人が利用する道は20日もかかる曲がりくねった山道なのだそうです。その町は風光明媚な穏やかな天候の町だそうで、万が一戦争で王都が陥落した時の避難場所になっているらしいです。幸いなことにこれまで王族が避難するような事態になったことは無いそうです。

先代の国王様が無くなられた時に現国王様に代替わりした際、前王妃様のおばあさまはその町に移って、その町で生を終わる覚悟

だったそうです。

盆地の町で綺麗な湖が有り、おばあ様の政策で、色々な花の種を植えて花を国中に出荷しているそうです。陸路では20日掛かろうが、小型のドラゴンを使役して空輸して1日2日程度で配達出来るのだそうです。

私がこの町に行くもう一つの理由は転送機能の付いたマジックボックスの花の出荷センターへの設置です。おばあさまの所には容量小のマジックバッグをとどけて取り扱いの説明をします。

国内では今頃、私が販売したマジックバッグやマジックボックスの設置に担当者さん達が飛び回っている筈です。

これまでは手紙の配達に伝書鳩ならぬ伝書魔鷹をメインに使っていたみたいですが、今後はマジックバッグ・ボックスにとってかわることになる事でしょう。

伝書魔鷹とは伝書鳩が1日650km飛ぶのに対し魔鷹は1000Km飛べて他の猛禽類を寄せ付けない強さとテイマーに仕込まれた場所に迷わず到着できる伝書にうってつけの鳥形魔物なのです。



 クラリス王女様達がロックゴーレムに襲われていた場所に着きました。

姫様が何やら魔道具を操作すると,なんということでしょう、草原の一部が横道に変わりました。横道を辿っていくとマルシェの町に辿り着くそうです。


 私達一行が横道に入ってしまったのを確認してまた魔道具操作して、草原に認識させる魔法が付与された結界が張られました。


 さあここからはマルシェの町へ一直線です。半日進むごとに

野営の広場が設定されているのだそうです。野営地を5か所過ぎたらいよいよ目的地です。でもその前に最後の野営飯と行きましょう。

 今夜は握り寿司と行きましょう。

私はこれでも調理師免許も持っていますし、日舞も、社交ダンスもかなり上手に踊れる自信が有ります。50年の人生のうち10年は

ポンコツ人生になりましたが3歳から日舞を習い始めてからの37年年は何かと濃い人生だったと思います。ギターは中学から初めて趣味程度ですがセミプロと言われていた時期も有ります。今は内緒ですが、まだ得意なことが有りますのよ。いつかご披露する時があるかも知れませんね。


 というわけで魚市場の魚屋さんで買ったマグロ、イカ、鯛、ヒラメ、ホタテ、ウニを使いましょう。シンフアさんにもお手伝いをお願いしましょう。


 私が寿司桶に作った酢飯をシンフアさんに5貫同時に作れる型に入れて貰って握った状態にしてもらいます。それに私がワサビとネタを乗せていきますが今回は新メンバーが加わっています。王宮料理師の女性のキュリーさんです。

騎士団の皆さんやシンフアさん、クラリス様が、わたしの料理を

誉ちぎるので、国王様からキュリーさんに教えられる範囲で良いので教えてやってくれと頼まれたのです。

今回はお馬さんのお世話係の方も付いてきています。

なので総勢10名の食事を用意することになりました。


 海の有るベイルント王国でも握り寿司は無いようで、作りながら

味見して驚いたりメモしたり実際に作業したりとキュリーさんも

大忙しです。

 1人分の桶に出来たお寿司を詰めて貰ってる間に太刀魚のお吸い物を作っておきます。キュリーさんもお吸い物は得意だそうなので、詰め方の方に専念して貰いました。


 お寿司パーテイーは大好評でした。魚が特産品なのにこのような美味しい料理があったなんて!と驚きそして感激しておられました。キュリーさんが作り方を知っているので作ってもらってくださいね。


毎度のことですが旅の間はお酒は出しません。お仕事が終わってから好きなだけお飲みくださいね。騎士様には日本酒の1升瓶でもお渡ししましょう。女性陣にはワインか、缶ビールでも差し上げましょうね。


 翌朝出発して直ぐにマルシェの町の結界に辿り着きました。

姫様が結界解除の魔道具を操作すると私は思わず叫びました。

「凄い、とても綺麗!!夢みたいなお花畑!!」

 赤、青、黄色、白、色分けされたお花畑です。お花も初めて見る名前も知らないものですが、盆地の底に当たる湖に向って広がっていました。町は湖の対岸にありました。あちらから見る景色もとっても綺麗でしょうねえ。道は右左とジグザグにくねって続いています。急坂なので100m進むごとに1m下るように作ってあるのだそうです。で、1km進んで10m下がることになります。

 周囲を高い山に囲まれています火山の火口だったのでしょうか。成る程この道と通常の道を塞いでしまうと敵が攻め込むのに苦労しそうですね。

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