第31話 王城にて
海賊一味を一人残らず拘束した騎士団さん達と一緒に王城に戻ってきました。
「ユイ殿、娘のクラリスの命を救って下さった上に、今度は海賊共を一網打尽にしてくださったこと感謝の念に堪えませぬ、ありがとうありがとう」
「国王陛下もったいのうございます。私は私に出来ることをしたまでです。頭をお上げください」
「何と素晴らしい実力を持ちながら実に謙虚なお人柄感服仕りました。大迷宮王国国王陛下や、商業ギルド長、冒険者ギルド長からの手紙でユイ殿のことを大絶賛しておられたがまさにその通り仙女ユイ様ですなあ。わが国でも仙女ユイ様と呼ばせて頂こう」
ベイルント王国国王様から有り難いお言葉を頂きました。
「して仙女様は旅の途中ということですが、今後どの様な計画ですかな。宜しければこのままずっと我が国に住まわれてはいかがでしょうかな?」
「はい、私は旅に出たばかりですので、一つ所に留まるつもりは御座いません。この後は市場で海の幸を買って美味しいものを食べて、旅を再開しようと思っております」
「お父様ユイ様にケルト兄さまの病気を見ていただくわけにはまいりませんか?」
ケルト兄さまとはこの国の第2王子殿下で病弱な為、静かで穏やかな気候のおばあさまの住むマルシェという町で暮らしておられるそうです。
クラリス王女様と出会ったのも、クラリス王女様がその町から帰る途中でしたのです。
「そうじゃのう、そうして頂ければとても有難いがユイ様如何ですかな?我ら親子の願い聞き届けては下されないでしょうか?」
「わかりました。私の持っているポーションで治せるものでしたらお望みに添いたく存じます」
「おお、聞き届けてくださるか有難い!必要な費用ならいくらでも出しますぞ。クラリス帰って来たばかりで悪いがこの前のメンバーでユイ様をマルシエの町まで案内してくれ」
「はい、お任せください」
ふと見ると騎士団長さんもケインさんもいて小さくガッツポーズをしていました。このガッツポーズってケルト王子殿下が治ると信じてのガッツポーズですよね。
まさかまた美味しい料理を食べれそうだと思ってのガッツポーズじゃ無いわよね?
いけませんいけません、人の真心を疑うような考えを持ったら駄目でしょう。時々50歳の私が出てきます。メッですよ私!
「母上には伝書鷹で手紙を届けておく故、明後日に出発してくれ。ユイ様には明日の朝市にて、魚介類の買い物を楽しんで下され。ケインそなたには朝市の案内と支払いを任せよう、良しなに頼むぞ」
どうやら私が朝市で買った代金を支払って下さるようです。ここは有難く支払って頂きましょう」
翌日早朝、日の出前に市場へ出発しました。
市場に到着した時に海から日が昇ってきました。
市場では漁船から魚やカニ、エビ、貝類が陸揚げされて床に並べられていきます。ここの市場ではせりではなく、入札方式が採られていました。紙に自分が買いたい品の番号と金額を書いて窓口に投入します。これは許可を得た仲買人や商人だけが入札出来ます。だから私のような一般人は普通なら市場内に立ち入いることは出来ませんが、国王様の命令で見学だけは許されているのです。私が買うのは、落札した人の売り場で落札価格プラス利益の値段で購入することになるのです。
並べられた魚は鯛、ヒラメ、カレイ、金目鯛、太刀魚、イカなどが有ります。私は蟹エビに注目しています。貝類はホタテ,牡蛎、つぶ貝、シュウリ貝(ムール貝)ウニは殻付きのが1箱だけあります。わたしはケインさんにウニを落札した人の納入先を確認して貰えないかと頼みました。ウニは絶対欲しいです。
「それなら少し高額になりますが、お城に納入している魚屋に
落札させましょう。他に欲しいものをメモしてください」
「有難う御座います。それでは鯛とヒラメとイカとブリと毛ガニと伊勢海老とホタテとシュウリ貝と後は……お店に並んでいるものから選びます」
「量はどのくらい必要ですか?」
「皆1箱ずつは欲しいですね。後あのクロマグロも解体されたものが欲しいです」
「分りました。少々お待ちください」
ケインさんはそう言って品定めしている仲買人さんの所へ行って
私の書いたメモを渡して落札するように説得しています。
市場の職員さんの声で入札が始まりました。魚の種類ごとに
入札。時間をおいて落札結果が発表されます。仲買人さんたちは
自分が落札した魚の箱に自分のマークが入った紙を置いていきます。その人のお仲間でしょうか?別の人がその紙の置いて有る箱を荷車に積んでいきます。
私が頼んだマグロも無事落札されました。
ウニも落札されました。いつもの入札金額より高額で入札していたようです。
市場の仕事は終了しました。
私達はその方のお店に移動しました。
ケインさんに予算オーバーしたら私がお支払いしますと言ったら
「王家の懐を見くびらないで下さい」と笑われました。
それじゃあお言葉に甘えてゴチになります。
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