第16話 王様にお会いします
さて今日は王様とお会いする日です。今日の私の服装はというと、白のブラウス黒のスーツ・スカートにハイヒール。
元々身長170cmなのにヒールの高さを合わせてこの世界の
女性の平均身長と同じくらいになっています。
自慢じゃないですが、20代の頃はモデル体型でした。
黒髪もお尻に掛かりそうなくらいの長さでしたが病気になった時に手入れが大変なので、ショートカットにしていましたが、この世界に来た時に元の長髪に戻っていました。我ながらこの 黒髪に真珠の白い髪飾りが良く似合っていると思います。
そして今、そのころの体型に戻っています。ヒールの音を響かせて颯爽と歩いて国王陛下の玉座の御前に
「なんとお美しい女性だ」
「なのに凛々しい佇まいですこと」
「歩き姿もお美しい」
「あのお召し物、とても高級なのですね。あの漆黒の色は我が国の技術では再現出来ません」
などと言う声が聞こえてきます。
私の今日のスーツは冠婚葬祭に着ていける礼服なのです。
流石に、通勤用のスーツではまずいかなと思ってクローゼットの奥から引っ張り出してきました。ロングスカートに黒のストッキング。真珠のネックレスに真珠のイヤリング。
真珠の大きさに感嘆の声も聞こえます。
今は内緒ですけど和服も用意してきました。私これでも自分の着付けは出来るのですよ。年の功ですね。
「国王陛下のおなりー」
時代劇の様なお声が聞こえました。私は頭を下げてお待ちします。
「【フアースト迷宮の仙女ユイ殿、本日はよう参られた。頭を上げられよ」
国王陛下は30代のハンサムなお方でした。お隣に御妃殿下がおられます若々しくお美しい女性です。同い年と聞いています。
「フアースト迷宮にお住まいで、上級ポーションを作られているとか実に我が国としては大変ありがたい。国民の生命を守ってくれるそなたに大いに感謝したい。ついては何か望みが有るだろうか、有れば申してみるがよい。必ずとは言えないが出来るだけ叶えられるように努力する事を約束しよう」
「有り難きお言葉です。特に自分の事については望みは有りませんが。私が作ったポーションが一般庶民でも買えるように販売価格を国で管理して頂ければありがたく存じます」
「うむ、判った。それは必ず叶えようぞ」
国王陛下からお約束頂けて、ホッとしています。
それで国王様との謁見は終わって夜のパーテイーに備えます。
御妃殿下から私の料理を昼食に振る舞って欲しいとの依頼がありました。
道中ベルトさん達にご馳走した丼物とか朝食のソーセージパンがベルトさんたちから聞かされて、どうしても食べたくなったとのことでした。
それならばフアースト迷宮産の野菜を使ったサラダもご馳走しましょう。私が作ったトマトも入れて胡麻ドレッシングで……
お城の調理場をお借りして、調理人さん達にもお手伝いをお願いします。
丼物に使用した醬油他の調味料も置いていきます。とにかく作り方を覚えて頂いて、リクエストがあった時にこの国の調理人さんが作れるようにしたいのです。
困ったことが一つ有りました。かつ丼の豚カツを揚げる油が植物性の油が無かったのです。ですので、私の収納からサラダオイルを500本複製して揚げ方を指導しました。
昼食には親子丼とサラダとソーセージパンを出すことにしました
かつ丼は調理場の皆さんに作って頂くことになりました。
調理人長さんは珍しいレシピを手に入れて大喜びでした。
外国のお客様に出すに相応しい料理だということです。
ということを御妃殿下にお断りして昼食になりました。
王子様やお姫様も揃っての昼食会でした。
小さなお姫様の為にリンゴの皮を加工してウサギさんを作ったら大変喜んでいただけました。
それを見ていた料理長さんに作り方を教えて欲しいと懇願されました。
夕食のかつ丼も大変良い出来で、国王様一家からお誉めいただきましたが、実際に作ったのは調理人さん達であることを伝えておきました。
そしてとうとう夜のパーテイーのお時間です。
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