第10話 バイバイシテイーへ
今日は朝早く自宅を出てバイバイシテイーを目指します。
飛行魔法で近くまで飛ぶことも考えましたが、今度覚えた
時空間魔法で転移することも視野に入れて道々の目印を自分
で確認しながら行くことにしました。
ポーション販売が上手くいかなかったら、冒険者ギルドに
登録して、魔物退治でお金を稼ぐ為に道中出会う魔物を確認して、換金できる素材を集めながら行くつもりです。
自宅に近い方が強い魔物が出てくる率が高く。オーガ、オーク
ビッグボア、クリスタル・ホーン・デイア等珍しい魔物も出て
きます。食用の肉は出来るだけ確保しておきたいです。
ホーンラビットは100羽討伐できたので、もしギルドに売る
なら半分だけにする予定です。何しろ日本から持ってきた
お肉はほとんど食べ尽くしてしまっていたからです。
ホーンラビットの唐揚げはとっても美味しいんですよ。
収納に魔物、獣、解体機能が付いていてくれたのが大変
有り難かったです。魔物の猪肉と鹿肉一体どんな味なのか
料理するのが楽しみです。
戦いながらも4時間ぐらいで馬車の通れる街道に出れました。
あと2時間位でバイバイシテイーに到着できそうです。
『2㎞先で馬車が魔物に襲われてるよ。急いで行ってみよう』
私の周りの亜空間に隠れていたガイちゃんが知らせてくれ
ました。
肉体強化魔法で走って行きます。5分で現場に着きました。
商人さんの馬車みたいです。護衛の冒険者が3名グレーウルフ
の群れと戦っています。大分疲れているみたいです。
「助太刀致します」
私は一言断ってからウルフの群れに頭上から雷魔法を落とし
ます。
バタバタバタバタバタバタバタ
次々とウルフが倒れていきます。
残りのウルフは約10匹。この3人なら倒せそうなので
倒れている女性冒険者の元へ転移して被害状況を確認。
出血が多いので造血作用の有る中級ポーションを飲ませて、
様子を見ます。
残り4匹。
その時腹の底から恐怖を抱かせる咆哮が聞こえ近くの
林の中から普通のウルフの5倍は有ろうかという巨大な
ウルフの個体が現れました。
冒険者たちは恐怖で身がすくんで動けなくなっています。
私は彼等を防御結界で包みボスウルフに立ち向かいます。
巨体が鋭い牙をむき出しにして襲い掛かって来ました。
私は奴の前足を掴んで岩に向って叩きつけました。
ウルフの毛皮は下手な防御結界よりも防御力が高い。
岩に叩き付けられた位では死ぬことは無い。だけど岩だと
思っていたものが実は鋭利な槍の穂先の集合体だとしたら……
巨大なウルフの身体は岩に突き刺さったまま光の粒になって
消えました。
これは対ビックマウスリザード用に錬金術で槍の穂先を作って
岩と融合させておいたものを取り出したのです。
「皆さん残りのウルフを討伐して!」
私の声で冒険者たちの拘束が解けて動き出しました。
程なくウルフは1匹残らず討伐されました。
私が手当てした女性が初老の男性を連れて来ました。
「どうも助けて頂いて有難うございました。私護衛任務についていた冒険者のメルリともうします。一番先にウルフにやられて
しまいましたけど」
『私は護衛を依頼した商人のカキフと申します。おかげで助かりました有難うございました」
他の冒険者たちも集まって来てお礼を言ってくれます。
メルリさんが大怪我を負ったのはカキフさんを庇って負ったものだそうです。
「私はユイと申します。通りすがりの田舎者です。あそこの山に住んでいて、今日初めて街に行こうとしている者です。
どうぞよろしく」と挨拶すると
「「「「「エエエエエエエエエーーーーー」」」」」
と驚かれてしまいました。
「も、もしかして【フアースト迷宮】に住んでいるん
ですか?」
「はい、確かそんな名前だったとか聞きましたけれど」
「信じられないけれどあの強さを見たら信じないわけには
いきませんなあ」
「最上級難度の迷宮で、住んでいる魔物も半端ない強さだと
聞き及んでいます」
「強いかどうか?オニヤンマとかいうデッカイ蜻蛉とか
虎の首から上がカマキリだったり、ビックマウスリザード
とかいう口のデッカイ空飛ぶトカゲ何て言うのもいましたけれど」
「「「「「エエエエエーーーーー」」」」」
また驚かれてしまいました。
「あの大昔の勇者の物語に出て来る伝説の魔物をみたのですか?」
「見たというか倒しちゃいましたけれど」
「「「「「エエエエエーーーーー」」」」」
私は収納から魔核やドロップ品を取り出して見せました。
今度は皆さん、声を失って茫然としています。
「と、とにかくユイさん、馬車の中でお話を聞かせて頂け
ませんか?」
「はい、判りました」
「あんた達ドロップ品を集めてきて、集め終わったら出発
するわよ」
これが商人のカキフさんと、冒険者メルリさんをリーダー
とする【紅蓮の炎】との出会いでした。
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