第3話 私の住処(すみか)

 ガイちゃんの良しが出たのは2時間後でした。

ずっと走りっぱなしなのに全然疲れません。

ちょっとだけ出た汗が10年ぶりなので嬉しいです。

生きている実感が有ります。動きたくても上手く

動けなかった身体障害者の時の苦しみを忘れずに

これからは健康に充分注意して生きていこうと思います。


「優衣ちゃん、凄いね、初日にこんなに走り続けられた

人間は優衣ちゃんが初めてだよ」

「え、ほんと?嬉しい。だって昨日まで半身不随で

走りたくても走れなかったから自由に走れてとっても

有難いのよ」

「ふ~ん、随分苦労してたみたいなんだね。だから

神様がご褒美にここに呼んでくれたんじゃないかなあ

良く解らないけど」

「神様ってなんて言う神様?」

「創造神【イザカミ】様だよ。あたしは眷属の妖精なの」

「私の他にもここに呼ばれた人間が居るの?」

「500年前にいたけどそいつは優衣ちゃんみたいに

友達みたいに扱ってくれなかった。あたしを家来か下僕

みたいに、ああしろこうしろと命令ばっかりしてくるので

大嫌いだったわ。なので碌に訓練もしないまま町に行こうと

して途中で魔物に襲われて死んじゃった」

私は決してガイちゃんを怒らせないようにしようと思った

のです。


 その場所は他よりも高い丘みたいなところで、頂上は

200m位の四方の広場でその向こうは森か林みたいです。

「じゃあこの辺に優衣ちゃんのお家を建てようか」

 ガイちゃんは私に好きな外観の家をイメージさせて

(私物取出し)と念じさせました。


 その通りにすると、目の前に2階建ての鉄筋コンクリート

造りの屋上付きのモダンな家が現れました。

もしも私が一戸建ての住宅を作るとしたらと思っていた

家そのものです。外壁はタイル張りの綺麗な家です。入口の

玄関は敷地より50㎝高く手すり付きの階段とスロープが

付いています。障害者の時の経験で、老人や障害者に優しい

作りに拘りました。手すりは両側に付いています。左右

どちらかの手が不自由でもつかめるようにしました。

玄関が高いのは大雨なんかで水が室内に入ってこないように

と考えました。

2階と屋上まで車椅子対応の家庭用エレベーターを設置しま

した。

車椅子でも移動したいからです。

 1階はマンションの時の間取りで3LDKのバリヤフリー

でトイレも浴室も車椅子で入れるようにしました。

あらゆるところに手すりを設置して有ります。

電気で動いていたものは魔力で出来るそうなので、冷暖房

完備です。ガスの代りも魔力で出来るので今まで同様に

暮らせます。異世界迷宮最高です。

2階は客室用にツインルームを3つ。バストイレ付にして

あります。




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