第5話

それまで文明の痕跡が全く見当たらなかった惑星アメリアで遺跡が発見されたのは数カ月前の事だった。その遺跡は石灰を採掘している山にある鍾乳洞で発見されたのだが、それは、かつて確かにこの惑星にも人類と呼べる知的生命体が存在していたことを表していた。

「…というわけで、俺が急遽、その調査に向かうことになった。」と、エアポートから宇宙エレベーターで降りた先にある管理事務所で受付の女の子に腕を差し出しながら目的を伝える。

「ふーん、そうなんですかぁ。そりゃ大変ですね。」と受付の子は気の毒そうな表情をしながら生体マイクロチップのデータを読み込んで俺の素性と許可証を確認すると、「はい、終わり。本来ならエアポートに降りた時点でチェックできてるんですけどね。お役所仕事っていうのかしら?もう一度、確認しないといけないんですって。バッカみたいだけど、この仕事があるおかげでアタシも何とか人間らしい生活ってやつができているんだから、感謝しなきゃね。」というと、モニターを見ていた顔をこちらに向けた。

「それで、目的地まで行く手段は?確か鉄道があったはずだが」

「あー、あれね。去年の年末で廃線になりました。だって、人間はほとんど家から出ないですもん。全部、リモートで農業やら掘削やらができちゃいますからね。品物だって無人で届くんですから。」出勤して働いているのはアタシぐらいなもんですよ、と女の子はぼやいた。

「では、産業用の輸送ルートは?」

「それならありますけど、乗り心地は人間用になってませんよ。鉱石や石灰と一緒に旅をするのが趣味なら止めませんけど。」

「上等だ。」そう言うと、俺は受け取ったデータを頼りに貨物列車の駅へと向かった。

幸い、空の貨車があったので、それに乗り込み目的地の山を目指す。こいつはそこで採掘された石灰岩や鉱石を受け取るのだ。コンテナと違って開放感があるのもいい。やがて貨物列車はゆっくりと走り始めた。

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