【掌編】This is a pen.
俺は仲間達と離れ、初めて光を感じたその瞬間から彼に閉じ込められている。
彼の部屋、しかも玄関先から出してもらえない。ドアが開くとリビングが見える、玄関が開くと共用廊下の風景がチラリと見える、ただそれだけの日々。
仲間達との対話から時間や自然という
しかし実感が
俺が蛍光灯の光を受けた日から十度目の冬が訪れた、ある日のこと。
ずっと閉じ込めていた
暗闇の中で移動させられて、どのくらい時間が経っただろうか。
ようやく俺は、外を知覚する。
空だ!
この建物には窓がある! 空がある! 赤く色付いた木々に雪が積もり、そして大きく広がっていく、空! 赤も白も青も、色という概念も、仲間達から教わった知識でしか知らなかった!
「私が貴方の担当編集、ということになります。ところで、素敵なボールペンですね」
初めて聞く、彼以外の人間の声。
「ありがとうございます、プロになったら
そう答えながら、彼は俺の身体を優しく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます