薄明光 前篇
これは若く幼い、
三人の少年は
「恐怖の大王ってどんな奴なんだろ。タケちゃん倒せそう?」
一九九九年、平成中期に
それでも、少年達は無敵である。
さりとて無敵の三人組も、親には逆らえない。怖い者なしと思われた彼らでも、
「ねーボス、今日どうする? 何か面白そうなことない?」
トモと呼ばれ
「デカい道路の方は行くなって父さんも母さんも言うしなぁ」
ボスの両親のみならずタケちゃんの家庭環境もトモの家族も、小学校から西に一キロほど進んだ先にある国道への立ち入りを固く禁じる。遥か南の東京からおよそ三五〇キロかけて少年達の住む町まで
「何か探すかー。でも、何かあったっけ……うーん」
三人の少年達はローテーションで〝ボス〟を交代するという妙なシステムを採用しており、頭を抱えるボスは
海の向こうで生まれた有名な映画。線路に沿って歩きながら死体を探す登場人物と、少年達は年齢が近い。しかし、小学校を中心に半径一キロ程しか許されない行動圏内に駅は存在せず線路も見当たらない。まして死体などあるわけがなかった。
「ボス、どこ行くか決まった? 今日どうする?」
お
「山も学校も冒険終わったしなぁ、秘密基地も作ったし……」
ボスは声に出し思考を整理しながら、ふと思い出す。密かに悪事を
「一回、小学校まで行こう! 屋上に行けるかもしれない!」
ボスの
「やっぱり入り口、乗り越えられるじゃん!」
「上まで行ってもさぁ、入れなかったらどうする?」
トモが不安げな面持ちでボスに問いかけると、タケちゃんが横から彼自身を含む全員に言い聞かせるように、大声で叫ぶ。
「絶対イケるって、楽勝楽勝!」
それを見て力強く
その頭にはもはや「入れるか否か」という
「三階まで来てるから、もうすぐだ!」
頬を
「うわ、ウケる! カギもなんもねぇじゃん!」
ボスは、想定していたよりもずっと頼りなく小さな門を雑に開き歴史的な一歩を踏み出す。
遂に〝屋上〟へと到達。
三人の少年は
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