初期稿を供養する場

差し替える理由


 一生に一度、自分の作品を公募に送ってみたい思っておりました。

 生まれて初めて手に取ったライトノベルが角川さんの電撃文庫だったので、電撃大賞に応募したいと、ずっと考えていました。

 

 余談ですがライトノベルより前は翻訳だとロビンソンクルーソーや十五少年漂流記、シャーロック・ホームズなど……日本作家さんだと赤川次郎先生の作品などを好んで小学生の頃から読んでいました。

 ハリーポッターを途中まで触れつつ中学生からライトノベルにシフト。


 今はいったん寝かせてしまったSF長編を書いていた頃から二つの目標がありました。


 初めての応募なので規約に引っかからず、きちんとした形でお届けする。

 どんな些細なものでもプロの方のコメントをいただきたいので、一次選考は通りたい。


 ですが「きちんとした形」が揺らいでしまいました。



 SF長編を寝かせて年末から楽しく書いている遠野対策機関ですが、これは僕自身も推し活を楽しみつつ、大好きな配信者様がいることがきっかけで生まれた作品です。


 その人のみならず、同じ所属事務所の方々もどんどん好きになっていきました。


 ですが、作中で主人公が推している存在にせよ仲間の配信者様にせよ「露骨に寄せすぎた」のは、ダメです。


 改めてガイドラインと自分の作品を照らし合わせると、見方によってはガイドラインに抵触しかねないと感じました。


 具体名を出さない、口癖も極力出さない、など工夫を重ねたつもりでしたが甘かったです。


一例


 ヒロインが「若い女性が好みなの?」と主人公に尋ね、主人公が「いや推しの人の十七歳は設定だ」と返すシーン。


 十七歳はあくまで公式設定であり中の人はもう少し年上であると主人公がヒロインに教えます。


 赤い髪、公称十七歳、中の人は年上


 この三つを揃って描写してしまうの、ダメだと思いました。



 どうして「きちんとした形、が揺らいでしまった」と書いたのか。

 何を以てして「ダメ」「ダメではない」になるのか?という話になってきますが、それは僕の中で「商用作品として意識できているか」だと思います。


 出版社と手を取り合って発行する表現者を目指す場である以上、他所様のガイドラインを侵して問題になったり発刊できない状態になるような作品は商用視野としては失格。

 そんな作品は公募において問答無用で選考対象外、どうか趣味の範囲で存分にどうぞ。


 そんな風になってしまいそうな気がします。

 なんの根拠もない妄想です。


 というか、公募云々が絡んでいなかったとしても深く尊敬と感謝の念を持つ作品や配信者様に触れる以上、大好きだからこそガイドラインは遵守したいです。

 某財団に関わるガイドラインも何度も見返しました。


 よって、こと推し活や配信者様が絡む場面の描写は、とことんギリギリを攻める形で書き直します。


 ギリギリやこだわりは捨てたり損ないたくありません。


 例えば「髪が赤い」までならセーフ、きっとセーフ、それすらねじ曲げて「主人公は茶髪ポニーテールの可愛い推しがいる」などと書くと、それはもう当初の執筆動機やきっかけを否定することになるので退けないラインです。



 そんなわけで、思い入れのあるシーンも多いですがガッツリ削るなり変えるなりしていきます。


 ただ、全力で楽しく書いた日々を無駄にしたくないので、この場に置いて残していきたいと思います。


 令和五年 一月三十一日 トモフジテツ

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