266 猫とカミと

猫「カミよ、訊きたいことがある」

カミ「なんだい、猫ちゃん?」

猫「……ちゃん付けは勘弁して欲しい」

カミ「ちゃん付けの方がかわいい」

猫「……まぁ、仕方がない。カミよ、ご主人がこの世界に呼ばれたのは偶然ではあるまいな?」

カミ「…………どうしてそう思うの?」

猫「ご主人の友達、その右目に魔眼が発現した。ならば、ご主人も何かしら意味があってここにいる、そう推測した」

カミ「ほう?」

猫「ご主人がこの世界に呼ばれたのは最初は恋愛をさせるため、とカミよ、あなたが言った。しかし、それだとおかしいのだ」

カミ「おかしい?」

猫「ご主人とご主人の友達に共通点が最初はなかった、しかし魔眼を発現してからは二人にはなんらかの共通点があるらしい、とそう錯覚させているように思われる。つまり……」

カミ「つまり?」


猫「あの二人に恋愛させることさえも本当は目的ではなかったのではなかろうか?」


カミ「どうしてそう思うの?」

猫「ここからは単なる想像だけど、この世界を創造したもの、仮に(真)とおく、(真)自体もこの展開を予知できなかったのではないか?」

カミ「…………」

猫「ただ、カウントをつけ始めてから、ここにも終わりが明示された。すなわち、当初はいつ終わるか決まっていなかったのではないか? それならば、ご主人の友人に魔眼が発現したのも理解できる。(真)がそういう風にキャラ付けをしたからだ。この世界はセリフさえも文字化される。それは(真)が初めに提示したルール、世界観とも言っていいだろう。だから……」

カミ「だから……」

猫「カミよ。あなたは(真)の物語を誘導する役目をもっているのではないだろうか? すなわち(真)のサポート役でないだろうか?」

カミ「……………………」


残り265

〜続く〜

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