会話

「高峰くんはさ、何してた? この変な空間に来る前」

「僕ですか? そうですね。受験生なので受験勉強ですね」

「あ〜、そうか。やっぱり大変?」

「そりゃあ、大変ですよ。だけど、明確な壁があるからそれを超えればいいって楽だなって思ってて」

「壁?」

「ええ、点数だと80点超えればOKとか、模試では自分のどの能力が足りないか確認できますよね? 自分はそれを踏まえて、なぜ悪かったのか、どうすれば良くなるかを考えて、行動に移していく。それの繰り返しですよ」

「ふーん、大変ねぇ」

「岸澤さんは来年ですよね? 大丈夫ですか?」

「やばいわよ。だけど、今じゃないから。来年の私に任せるわ」

「そ、そうですか」

「ねぇ、高峰くんはどこの高校だっけ?」

「〇〇高校です」

「…………なんですって」

「〇〇高校です、ってなにこれ? 〇〇、〇〇〇〇。高校名が言えない?」

「私も言ってみるわ。〇〇高校。やっぱり言えない」

「どうして、言えないのでしょう?」

「プライバシーのことは言えない、とか?」

「名前は言えたのに?」

「名前は必要だったのよ」

「何に?」

「それは……」

高峰「それは、何ですか?」

岸澤「あ、私の名前が文字化している」

高峰「僕も文字化しています」

岸澤「何が起きたの……」

〜続く〜

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