実験

「さて岸澤さん、とりあえず、わかっていることを列挙してみましょう」

「ええ、そうね」

「まず、セリフなら文字化するということ」

「そして、今は二人分の文字量しかない」

「今後三人目が現れるかもしれないが、今のところはない」

「セリフだから二人以上は確定していたようね」

「セリフにならないことは文字化しない。例えば、僕が行動したとしても、何をしたかとか、どんなことをしたかとかは文字化されない。今も手をあげていても、何も文字化しない」

「純粋に、会話でしか意思疎通ができない状況だ」

「お互いの顔も知らないのよね?」

「セリフでしかわからない。なら、セリフに情報量を載せましょう」

「例えば?」

「自分の顔を描写するんです。それを僕に伝えてください。きっと文字化しますよ」

「う〜ん、でもそれだと正確には伝わらないのではないかしら? どうしても盛るよね?」

「…………確かに」

「だからセリフが適応されるなら会話するしかないのだと思うの。名前しか理解していなくても、なんとかなるわ」

「そうですね。そのようにしてみましょう」

〜続く〜

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