出会い

「私は岸澤。岸澤明日香。高校2年生。好きなものは焼き芋よ」

「や、焼き芋ですか。隠さないんですね」

「ええ、好きなものは好きだと公言するタイプですから」

「なるほど。僕は高峰琉です。高校3年生です。好きなものは人には言わないタイプです。よろしくお願いします」

「何よ、人には言わないタイプって。当てつけかしら!」

「違いますよ。あまり言いたくないんです。はい」

「ふーん。まぁいいわ。それにしても、発言が全て文字化しているみたいね」

「そうみたいですね。誰がどのような目的でこんなことをしたのでしょうか……」

「そもそも、私達の肉体ってどうなっているのかしら?」

「肉体の感覚が、ない?」

「肉体がないのに、思考は文字化されるみたいね。どういう仕組みかはわからないけど」

「この「」はなんですかね?」

「これ「」?」

「そうです」

「これは小説でキャラクターがセリフを話す際に使われる「」だわ」

「では、僕たちがこうして意思疎通できるのは、この「」のおかげということですか」

「会話しなかったらどうなるのかしら?」

「何も起きないのではないでしょうか?」

「では、やってみるはね。…………」

「…………岸澤さん?」

「…………」

「……何も変化なしです」

「そうみたいね。思考が反映されるのはこうしてセリフになる場合に限るみたいね」

「このままでは手詰まりです。いろいろと実験してみましょう」

「それがいいみたいね」

〜続く〜

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