第5話 誰がジョーカーなのか

  映画「ダークナイト」で、人の心を暗黒面に落とす・善人を悪人にすることに無上の喜びを見い出すジョーカーが起こした、こんな事件がありました。

  2隻の大型フェリーが同時に岸壁を離れ沖合にさしかかった頃、両方の船にこんなアナウンスが流れる。

  「お前たちの船に爆弾を仕掛けた。あと20分で爆発する。一人でも船から(救命艇・海に飛び込んで泳ぐ)逃げる者がいれば、その時点でこちらからの遠隔操作で船を爆破する。」

「唯一全員が助かる方法は、今お前たちの隣を航行するもう一艘のフェリーを、お前たち自身の手で爆破することだ。起爆装置はお前たちの船の中の○○にある。」

2隻のフェリーの内、一隻は数百人の善良な一般市民を満載している。

もう一隻は、数百人全員が超極悪の囚人(重犯罪人)たち。

「善良な市民の船」では「彼ら囚人はみな死刑になってもおかしくない悪人なのだから、当然、私たち市民が生き残るべきだ(囚人のフェリーを爆破せよ)」という声が充満する。

一方の「囚人船」でも、かまうことはない、市民たちを殺せと怒号が満ちる。

結末はネタバレになるので伏せますが、もし、これが「日本と韓国」という2隻の船であったとしたら、どうなるでしょうか。

「日本丸」の中ではいろいろ議論はあるでしょうが、

「日本は明治時代には、朝鮮半島へのロシアの南下など、日本には関係ないにもかかわらず(伊藤博文は「朝鮮などロシアにくれてやれ」と言っていた)、「女工哀史」の如く、日本国民全員が貧乏にあえぐなか、欧米のユダヤ人に膨大な借金をしてまで軍事力をつけ、何十万人もの死者を出しながらロシアを朝鮮半島から駆逐し、バルチック艦隊を撃滅して日本海の制海権を取り戻した。

(その借金は、西暦2000年に支払い終えた。)


朝鮮を保護国にしてからは、各地に学校を建て、鉄道を敷き、ダムを建設し、さまざまな技術を教えて援助した。近年では倒産してIMFの管理下に置かれた韓国に円スワップによって更なるどん底から救った。

それなのに、従軍慰安婦だの徴用工だのと難癖をつけて、いまだに日本のカネと技術をいじきたなく漁ることばかりで、いつまで経っても精神的に自立できない「フーテンの寅さん」だ。日本は韓国に永遠にたかられるだけなのだから、ちょうど良い機会だ、爆破ボタンを押せ。」ということになるでしょう。

おそらく、その場にいる私もその一人。

ええい、じれったい、オレが押してやる、なんて言い出すかもしれません。

一方の韓国丸では議論なんてものはない。

「日本という金づるがいなくなったら、昔のように中国の属国になればいいだけの話。とにかくオレたちが助かることだけだ。日本丸を爆破せよ。」と衆評一致、日本に押される前に押せと、即座にボタンを押すでしょう。

なにしろ、日本映画「君の名は。」で、隕石が日本に落ちたシーンでは映画館中が拍手喝采の嵐で湧いた、ということで、大人も子供も男も女も、全員がダークサイドというお国柄なんですから。

こうして双方が憎み合い・啀(いが)み合う姿こそが「ジョーカー」の楽しみ。

映画では、バットマンと死闘を繰り広げながら「早くお前を片付けて、花火(船が爆発炎上するシーン)を見るんだ」なんて、ワクワク気分。

彼は善良な人間の心をダークサイド(暗黒面)に落とす・引き入れるのが楽しくて仕方がない。この男の最大の喜びとは「カネで買える悦楽」ではなく、人の心を醜い悪に染め、その悲惨で残酷な結末を見ること。

更に、悪が悪を呼び、怒りと憎しみと嘆きによってすべての人々の心がグチャグチャになり、社会全体が「自分で崩壊していく」ことに快感を得る、という人間(悪魔)なのです。

ジョーカーにとって、生き残るのが日本だろうが韓国であろうが、中国であろうがアメリカであろうが、どちらでもかまわない。個人レベルで・国家として「人を殺す」という悪に染まることで勝ち残った人たちの醜い心を観ることであり、ジョーカーという悪魔に魂を売った者たちの腐った心が、更に他の人々の心を腐らせていく、その過程を楽しみたいのですから。

人間というものに絶対は無い。

その場・その時・その相手によって、善にも悪にもなる、ということなのだろうか。

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