第2話 真打ち登場

 私たちが子供の頃の「ミス」というのは20歳そこそこ、というのがガイドライン(基本方針、指針)でした。

25歳過ぎた未婚の女性は「オールドミス」と呼ばれ言われ、学究肌の大学の女性教授とか、赤ちゃんはコウノトリが運んでくる、と本気で信じているような厳格なクリスチャンの幼稚園の園長先生とか、それなりに結婚しない事情のある特別な女性の方々でした。


私の母は19歳で結婚し、二十歳で私を産みましたが、当時はとなり近所(日本国中)が皆そんな感じでした。

毎日、父が出勤して朝ご飯の片付けが終わると、レコードをかけて洗濯、布団干し、掃除をしてお昼ご飯。3時頃から買い物籠を下げてブラブラ散歩しながら買い物をし、5時頃帰って夕食の支度(味噌や醤油といった重いものは、米屋や酒屋が配達してくれる)。

都庁勤務の父は、5時きっかりに(当時)東京駅前の丸ビルにあった庁舎を出て6時には必ず帰宅。日が高い時期には、私とキャッチボールをしてから夕餉の食卓を家族全員で囲む。

晩の10時には、受験生のいる部屋以外、ほぼどこの家も消灯・就寝、というのが、日本国中の一般的な住宅地の様子でした。


  まあ、女性が結婚しないで働けというのは、税金を取る頭数を増やすために過ぎない、という人もいましたが。


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