第3話 第二話

「忘れてないから、ルカ」

俺はレイに、そう言われたことがある。


おっと紹介が出遅れてたな。俺の名前は粗逝無ルカ。

今まで影真レイを中心に、例の5人と共に、人切高校という場所で人を殺す勉強をしていた。

簡単に言っちゃ、俺らの魂を奪う人間共を殺す、ただそれだけさ。

俺等には特に強い信念がある。

理由はと聞かれたら答えられはしないが。

特に俺とレイと、あとアダトは、「久遠隊」という人間を倒す討伐隊の総長、補佐、秘書として活躍していた。

人間共は最低だ。

俺等もじきに大人になれば、人間の餌食となってしまう。

そうなる前に、可能な限り人間を殺すのさ。


そして、レイもそいつらに殺されたからな。





レイは高校で出会った。

俺は学校の中でもランクが高い方だったが、レイは弱く、ランクも低い。

だけど皆から頼られ、不思議と忘れされる、よくわからない猫だった。

でもレイと出会ってからは、人生が楽しかった。

お出かけもした。

踊ったりもした。

遊んだりもした。

不思議と、心の片隅にずっとある「違和感」を捨てられたんだ。


ああ、違和感といえば、あれを言われたのも朝は晴れていたのに、午後から土砂降りの雨になった、あの日だろう。

特に意味もなくレイを探していたが、どこにもいない。

一人で帰ることになった矢先、道端で俺はズッコケた。


ルカ「いて!なんだよ…」

そう思って地面を覗くと、そこには女性が倒れていた。


見覚えのある顔。

レイだ、レイだった。


ルカ「嘘だろ!!どういうことだよ!!」

レイはその声に気づいたのか、そっと呟く。


レイ「血、出てないでしょう」

ルカ「え?」


レイ「血はもう、遥か昔に出尽くしてしまった。それに、今日は、雨だ。」

ルカ「何があったんだよ…」

レイ「簡単よ、久遠隊で攻撃したときの恨みよ、大して強くもない私を殺しやがったのはある意味好都合だけどね」

ルカ「誰だよ殺したのは!!人間か!!」

レイ「…………ふっ。


そうだわ、人間よ。しかも、見覚えのある。」

ルカ「え?」

レイ「白衣を着ていたわ。彼はあんな傲慢なな人間だったのかしらね」

ルカ「は……どういうことだ!?」

レイ「じゃあね、私もう、行かなきゃ」


レイは立ち上がると、まるで何事もなかったかのように歩き出す。

ルカ「……?」


気づいた、彼女は俺の「違和感」を知っている。

この事件の全ては、彼女が握っているんだ。

じゃあなんだ、教えてくれよ!!

彼は誰なんだ!

人間は誰が創り出したんだ!

この世界は、誰が………


その思いを聞いたかのように、レイは止まる。

そして俺の方をみて嘲笑うように口にした。


『忘れてないから、ルカ』



俺はすぐに詳細を聞こうと、レイに向かって手を伸ばしたが、その手は空中で迷子になった。

ルカ「レイ……?」



いつの間にか

レイニーの日に

0から全てをしる少女は

霊のように消えていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る