最終話 深い所で繋がりたい
一ヶ月間の練習の果に僕らは大会当日を迎えていた。
「相当鍛えたから心配ないよ」
尚は会場に到着して震えていた僕の肩に手を置くと薄く微笑んだ。
「ですかね…僕で大丈夫でしょうか?」
心配そうな表情を浮かべている僕に尚は事実でも告げるように口を開く。
「まぁ。三回戦ぐらいまでは無双出来るよ。相手も対策できないだろうから。でもそれ以降は厳しくなるんじゃない?でも良いのよ。私達は三回戦までいけたら後は奏音
抜きでも優勝できると思うから」
「あぁ…そうなんですね。僕の存在はそこまで必要ない感じですか?」
「何言ってるの!?三回戦までが激戦区なんだから!そこはもう奏音に掛かっているんだから!期待しているよ!」
「わかりました」
そうして僕らは大会が始まるまで手慣らしをしながら時を待つのであった。
本番はお客さんを入れた会場で戦うこととなっていた。
沢山の人前でプレイするのは初めての経験だったがどうにか一回戦は始まる。
尚が言っていた通り相手は対策が出来ていなかったため格下の僕にあっけなく負ける。
それが上手いことハマってくれたのか三回戦までそんな状況がずっと続いていた。
だが尚の言っていた通り三回戦では完封されてしまう。
しかしながらチームメイトが連勝を重ねた結果、僕らは決勝戦まで向かうこととなる。
結果から言って僕らは優勝をした。
優勝インタビューが終わり楽屋でふぅと溜息を吐いていると尚が大人の人達を連れて楽屋にやってくる。
「奏音。挨拶して」
自己紹介をして大人の人達に会釈をすると彼らは名刺を差し出してくる。
どれも大手企業の営業の方だったようで再び頭を下げる。
「それで白石さん。プロになりませんか?うちがスポンサードするので。尚さんと一緒がいいならうちが一番ですよ」
そんないきなりの話に僕は目を白黒させていた。
「とりあえず今日の所は一緒に打ち上げいきましょうよ」
「はい」
そうして僕らは揃って打ち上げに行くこととなる。
打ち上げ会場で僕と尚と大人で話し合った結果。
僕はプロになることを決めた。
学生をしながらプロで活躍することを決めたのであった。
「あの時の出会いのお陰で私の全てが変わった気がするよ」
「僕もそうですよ。こんなに仲良くしてくれる人と出会えるなんて思ってもいませんでした」
「それでも私に恋愛感情はないんでしょ?」
「もうわからないです。これが恋愛感情なのか友情なのか性欲なのか…」
「私を性的に見れるの?」
「当然です。関係が壊れるのが怖くて言えませんでしたが…」
「そっか…それは嬉しいな」
「ですか」
「うん。とりあえず今日も大会に向けて練習するよ。今回も絶対に優勝するんだから」
「頑張りましょう」
そうして僕と尚はいつまでも心の深い場所で繋がっていることだろう。
僕らはただ心の深い所で繋がっていたいだけなのだから。
完
僕らはただ深い所で繋がりたいだけなんだ…。令和版最先端最新ラブコメ ALC @AliceCarp
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