第60話 悪ガキ3人組、大いに暴れる
【魔剣ドゥームブリンガー――3対象へ同時並列展開】
――俺達を魔剣ドゥームブリンガーの黒鎧が夜のように覆う。
【鎧形態へ変更……各対象への装着完了】
『特別に俺が索敵をやってやろう』
『うおっ!?だ、誰だ!?』
『……俺は、魔剣ドゥームブリンガーの中にいる者だ』
『ふむ、やはり伝説の魔剣は話すことが出来たのだね。興味深いぞ!後でじっくりと調査と分析を――』
『ヴァロ、それは後だよ、後回し!今は、とにかく早くしないと間に合わなくなるよ!?』
魔剣ドゥームブリンガーの鎧のバイザー越しに除けば、エヴィアーナ公爵の庶子によるリンチがいよいよ本格化して、クレオパトラ嬢にも手が出されようとしていた。
「どうせ貴様は処女じゃないだろうから……なあ?」
あっ、コイツの股間だけは念入りに潰しておこう。『汚物は消毒』とも言うアレだ。草の根も残さずに焼き払いたいなあ。
『殺さないのか?俺としてはその前に心ゆくまで拷問したいのだが』
『二人がいるのに殺すのは駄目だろ。魂を捕食して肉体だけは無事に返すんだよ』
『チッ!』
先陣を切ったのはレクスだった。ただでさえ『強化』が使えるレクスが魔剣ドゥームブリンガーをまとって超高速で突っ込んだから、満車の駐輪場に大型トラックが突っ込んだのと同じ事になる。
――たったそれだけで、ぶつかられてひしゃげた自転車の一群のごとく、ほとんどの生徒が倒れて呻くだけになってしまった。
その間にヴァロが水魔法の高等技術の一つ『豊潤』を使って拷問された高等部の生徒やテオドラ嬢を簡単に応急手当てしている。対象に質の良い栄養(この場合は輸血・栄養点滴に近いかも)を与えて、これ以上の弱体や衰弱を防ぐのだ。
「な……き、貴様らは……っ!!!!?」
――よう、クソ野郎。
俺は美食が好きだし食糞性癖も全く無えんだけどな、今だけは別だ。
悲鳴を上げて逃げるべき瞬間にそうしなかったのがオマエの運のツキだ。
『さあ』
『この真っ暗で底無しの地獄に来い』
…………。
よーし、片付いた。
エヴィアーナ公爵の庶子はもう二度と会話も出来ないが、今だけは呆けているように見えるだろう。
「……………………」
クレオパトラ嬢が我に返って質問してくる前に、俺達はさっさと退散したのだった。
正体がバレるのは格好悪いからな!
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