第42話 リンドス伯爵家が謎の天変地異で消えたらしいよ?怖いねー(棒読み)

 俺の影が俺の体に殺意と狂気と一緒にまとわりついていく。

【魔剣ドゥームブリンガー――展開】

【鎧形態へ変更……装着完了】


 『えっと……リンドス伯爵家と暗殺組織「カタルシア」を絶滅……っと』

『絶滅?先に拷問しないのか?』

 『するよ?この魔剣ドゥームブリンガーの暗い腹の底で、俺達が死ぬまで』

 『そうか、食わせてからたっぷりと嬲れば良いか!』

『うん、肝心な所を邪魔されたくないじゃん?』

例えそれが味方であろうと、仮にデボラ本人であろうと、この復讐の邪魔はされたくない。

 『ジン……貴様は案外に話せるヤツだったのだな』

『俺も前世で、家族全員を殺した犯人を……徹底的に拷問した後で殺してあるからさ。「恨みは捨てて仲良くしよう」なんて言えるのは、恨みの分の鉄槌を下した後じゃないとキツいだろ?』

『ほう……』

『カイン、そんな訳で俺はかなり執念深いし性格も悪いんだ。特に家族を傷つけられるとどうしようもなく激高するみたいで』

『いや、とても落ち着いていると思うが……?』

『いやいや、俺が落ち着いているなら「子供は止めよう」「女性は止めよう」「老人も止めよう」って必ず言うよ?』


 女性で俺達の母親のデボラ。借金ばかりの貧乏男爵家の当主で、しかも病気で奥さんを早くに亡くして2人の子持ち、その育児と借金の返済のために毎日毎日、真面目に働いてくれているスティリコさんをやられたから、俺は『絶滅』なんて事を企んでいるのであって。


『あははははははははははははは!それで構わん!このまま――』


 俺達は魔剣の力で雲の上の天空にまで上っていたが、上昇をそこで止めた。

すると、重力に引かれて――。


 『天から降ってきた災害のごとく』

 『慈悲無き皆殺しと行こうじゃないか!』


 ――着陸の衝撃でリンドス伯爵家の跡地に巨大なクレーターが出来ている。

人気の無い郊外で良かったなー巻き添えは最小限で済んだ。


 【半径3キロメートル圏内の生体反応を走査】

 『人間はいる?』

 【レーダーに対象1体の画像を表示します】


あ、生き残りがいた。格好からしてリンドス伯爵当主のようだ。

「……何が……起きたんだ?」

呆然と吹っ飛んだ跡地を見つめているから、俺達が背後に立つまで気付かなかった。

「ヒッ!?」

咄嗟に風魔法で俺達を切り刻もうとする。

とても良い威力だ。

これなら風魔法の特徴である『情報を司る』ことに関してだって、とても簡単だっただろう。


でも、このドゥームブリンガーは魔法を食べる事も出来るんだぜ?

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