第37話 身の程は知ろうね、家族のためにね?
「オマエら、生意気なんだよ!」
俺とレクスが大講堂の用具室に最上級生である高等部の連中から呼び出されたので行ってみたら、もうヴァロが高等部の連中に捕まっていた。
「えっと……」
俺は、彼らに色々と訊いてみたかった。
通っている学園の理事長の孫に手を出すなんてオマエらこそ正気?って。
いや、それを差し引いてもダブル公爵家の息子である俺達を呼び出す?
オマエら一番身分が高くて伯爵家だよね?
いやリュケイオン学園の中で身分は『どうでも良い』んだけどさ、後で俺達全員の親は『どうでも良い』とはしてくれないよ?
何処の世界だってさ……何も悪事を働いていない上司の息子を暴行しようとする部下の息子って、後で明らかにヤバくなるじゃん……。
部下が。
「どうする?あばれていいか?」
レクスと俺はコソコソと相談を始めた。
「そうだね……ぼくたちがあばれたほうがまだいいかもしれないね……」
後の処分的には、暴れた俺達に温情が下る可能性はあっても、暴れたコイツらがキツい処分を免れうる可能性は、まず、ない。
リュケイオン学園での話じゃない。
学園外での話である。
「だよな」
「だけどヴァロがあぶない」
「でもおれたちがなぐられたっておとうさまがしったら……」
あっ、それも怖い。
雷親父ミハエルがコイツらの家に片っ端から殴り込みをかけたら、コイツらの家がそこで終わってしまうな。
一応、ミハエルは現役の執政官かつフェニキア公爵だしなー。
雷親父だけれど、何でもジューニー州の執政官として特に農作物の品種改良や土壌の改善で成果を上げているとかで、いずれは皇太子殿下の側近の一人(=将来の大臣以上の官位確定)になるって噂もあるんだ。
「何をコソコソと喋っているんだ!」
「えっと……その」
「どうしようって……」
いくら何でも『ガキのやらかしでお家断絶!』は可哀想じゃん。
特にコイツらの家族がさ……。
親なんて絶望するかも知れない。
「フン!土下座すりゃ許してやるよ!」
「はーい!」
「おう!」
俺達は仲良く揃って土下座した。
「「は……?」」
「これでゆるしてください」
「ほんとうにごめんなさい」
「……どうする?」
「ど、どうするじゃねえよ!」
「少しくらい見せしめにしなきゃ意味がねえだろうが!」
「そうだ!生意気なコイツらをシメておかなきゃならねえんだよ!」
えっ、怖い。どこのヤンキー?
リュケイオン学園の高等部の治安ってそこまで危ないの?どこの暗黒街?
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