第40話 スキルの効果

「おれたち、なんか、強くなってるみたいです」


 ウィレミが加わり6人体制となった『プロミスコクーン』のリーダー、スラフ君がこんなことを行ってきた。


「そうだね。明らかに昨日までと殲滅速度が違う。2倍までにはなってないけど、1.5倍よりは多いかな?」


「んー。わたしの魔法、いつもよりどっかーん」


「調子がいいですわね。一回の回復量も増えたようですし、回復する場面が減りましたわ」


「シュラークアタックがすんごくなったぜ!」



 なんと。


 メンバーそれぞれが何かしらのパワーアップを感じているみたいだ。



 そういえば、オレのスキルに『指導者Lv4』ってのが増えていたな。


 おそらくは、このスキルが仕事をしてみんなの基礎能力が上がったのではなかろうか?


 みんなのスキルとか能力を確認したいところだが、あいにくオレの持つ『鑑定Lv1』では、アイテムの名前と効果くらいで人物鑑定は出来ないのだ。


 ならば、このタイミングで『人物鑑定』が生えてくるかとも思ったのだが残念ながら今回は生えてこなかった。

 『ご都合主義』のスキルはないらしい。


 ちなみに、これまでオレが取得したスキルを一覧にすると、




『異世界言語理解』

『器用貧乏』

『実践者~為せば成る』


 という、Lv標記のないスキル。


 多分これはエキストラスキルとかそういうやつかな。



 あとは、


『書類作成Lv5』

『計算処理Lv4』

『交渉Lv3』

『説得Lv3』

『威圧Lv2』

『指導者Lv4』


 みたいな、事務職とか政治的なもの、


『有用植物探知Lv1』

『薬草等採取Lv3』

『魔物探知Lv1』

『鑑定Lv1』


 といった探索向けのものや



『指揮Lv2』

『戦術理解Lv2』


『身体強化Lv1』

『剣術Lv2』

『火魔法Lv1』

『氷魔法Lv1』

『水魔法Lv1』

『土魔法Lv3』

『治療魔法Lv1』


『攻撃魔法耐性Lv3』

『物理攻撃耐性Lv2』

『攻撃力増加補助魔法Lv1』

『物理防御魔法Lv1』


 という戦闘に関するものだったり


『生活魔法Lv2』

『料理Lv3』


 と、生活全般にかかわるものとさまざまである。


 カテゴリ分けが難しいものも紛れ込んでいるが、『ステータスオープン』すると自動的にこの並びで出てくるので、多分間違いではないのだろう。


 この多量のスキルの取得には『器用貧乏』のエキストラスキルが関わっていることに疑いの余地はないだろう。

 それを証明するかのように、ほとんどのスキルのLvは低い。


 Lvが『3』以上になっている物は、おそらくは日本に居るときに何かしらの素養を持っていたモノであろうとの憶測が成り立つだろう。

 計算のスキルがあんまり高くないのは解せぬが。



 まあ、これらのスキルのおかげで初心者レベルの魔物ならば、基礎Lvの低いままでも圧勝できる。

 さっきのおこぼれのゴブリン2匹も瞬殺だったしな。



 そんな風に一人で考え事をしていると、


「新手が5匹だ! ウィレミ! 一匹やれるか?!」


 というスラフ君の声が聞こえてきた。


「は、はい!」




 どかーん



「「「「えーーーーーーーー!」」」」


 なんと、返事するや否や一瞬でゴブリンとの距離を詰めたウィレミは、拳の一撃でゴブリン5匹を瞬殺してしまったのだ‥‥‥。



◇ ◇ ◇ ◇


「いやー、ウィレミ強すぎだろ」


「そうだぜ! なんで拳一振りで5体一気に倒せるんだよ?!」


「ふ、ふええええ」


 驚いた。


 オレもパーティーメンバーも驚いたが、一番驚いているのはふえふえ言ってるウィレミ本人だろう。


 登録時のスキルは『武道家Lv2』だったが、これってLv6くらいにはなってないかな?


 まあ、確認するのは『測定器』の使用料を稼ぐかオレに『人物鑑定』スキルが生えてからになるだろうが、強くなっているのは確実だろう。



 ということで。


 戦力の大幅に増した『プロミスコクーン』たちは、ゴブリンやウルフの群れをサクサクと狩っていき、戦闘に心配がなくなったのでオレも単独行動してレベル上げに勤しみ、日が沈み始めたころになって街のギルドに帰還したのだった。



◇ ◇ ◇ ◇



「討伐証明のゴブ耳が241、ウルフ耳が124、ですか‥‥‥」


 その日の受付カウンターには、多量の討伐証明の耳の山と、表情の抜け落ちたミリアムさんの姿があった。



「えー、『プロミスコクーン』の皆様は、今回の討伐を持って冒険者ランクがGからFに上がりますね‥‥‥。先日冒険者登録したばっかりのウィレミちゃん、おめでとうございます。登録3日目での昇格はこのギルドで最速タイ記録です。あと、ナカムラさんにはあとでお話があります。」


「「「「うおおおおおおお!」」」」


 ミリアムさんのこの言葉で、ギルド窓口に並んでいる冒険者たちから感嘆の叫び声が上がる。


「おう! 獣人のガキ! やるじゃねえか! 昨日俺が食わせたカラアゲのおかげだな!」


「ウィレミちゃん! すごいじゃない! やったね! ぶい!」




 ――ああ、このギルドはあったかいなあ。


 




ーーーーーーーーーー


 この度は、『異世界に飛ばされたソーシャルワーカーは冒険者ギルドの事務員として働いています。』をお読みいただき誠にありがとうございます!


 もし、「面白い」「続きが読みたい」など、ほんの少しでも感じていただきましたら、作者のモチベーションに繋がりますので星やハートでの応援をよろしくお願い致します!



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