第39話 新パーティー結成
オレはケモミミ長女ウィレミを伴い、窓口のミリアムさん15歳のところに行き、
「パーティーメンバーの募集を出してほしい」
そう依頼する。
すると、
「‥‥‥正直、難しいと思われます。――いえ、種族の件とは関係なく、
こんな答えが返ってくる。
まあ、確かにミリアムさんの言うとおりだとは思う。オレも予想はしてはいた。
だが、ソロで活動するというのは論外だし、募集をかけないと一向に物事が前に進まない。
それでも、とりあえず募集を出しておいてくれと頼もうとしたその時、横合いからこえをかけられる。
「ナカムラさん! お久しぶりです! あ、獣人の女の子ってその子ですか? 孤児院でアリツェやカシュパが言ってたんですよ! ギルドに可愛い獣人の子たちがいてお友達になったって! あ、宜しく! おれはスラフ! このパーティー、『プロミスコクーン』のリーダーだ!」
そこに居たのは、『初心者講習』第1回目の受講者であった5人の面々であった。
◇ ◇ ◇ ◇
「あら、そういう事なら私たちと一緒に行きましょうよ。大丈夫、誰にも文句は言わせないわ」
姉御肌のヒーラー職、スラヴァさんが一言で話をまとめる。
この一言で方針が決定してしまったようだ。スラフ君? きみリーダーの威厳は?
だが、これは渡りに船だな。
この世界、レベルやスキルの概念はあってもパーティー人数に上限人数というのは存在しない。
よくある物語などではゲーム的なシステムが存在してパーティーの最大人数に制限があったりするのだが、現実では集まった数=パーティー人数だ。
ぶっちゃけ、100人の盗賊団がいれば100人パーティーだし、1万人の軍勢がいれば1万人のパーティーなのだ。
まあ、その分、経験値の共有だとか、都合よく味方に攻撃魔法が当たらないなんて言うこともないし、広範囲治療魔法なんてのも敵も巻き込んで回復してしまうこともあるのだが。
まあ、そう言うことで、ウィレミは無事パーティーに参加することが出来たのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
「じゃあ、僕たち薬草採取しているから、前衛のマトシェクと、ウィレミさんは周囲を警戒してくれ」
「「おう(はい)」」
ウィレミが加わって6人体制となった『プロミスコクーン』。
その初となる活動に、オレ、ナカムラもついてきちゃいました。過保護だって? だって、気になるんだもん!
ちなみに、ウィレミが登録時に『測定器』に手を触れた際、『基本Lv1』で、『武道家Lv2』と『索敵Lv4』という結果だった。
『武道家Lv2』は、おそらく虎獣人だからだろう。
あと、この年齢にしては異様にLvの高い『索敵Lv4』は、姉弟たちを連れての逃避行の中で会得したものと推測できる。とっても苦労したんだな。ほろり。
この『索敵Lv4』だが、オレの持つ『魔物探知Lv1』は魔物だけしか探知できないのに対し、悪意や敵意を持つものすべてを探知できるという上位互換らしい。うん、うらやましいぞ。
ということで周辺の警戒にはウィレミの能力ははうってつけだ。
なんせ魔物でもスキル持ちのオレより察知範囲が広いし、盗賊なんかの悪意のある人間にも対応できるしな。
「――よし、採取の依頼はこの辺でいいかな。このあとは魔物を倒してレベル上げに行こうか」
このパーティーの理性、斥候で軽戦士のツレク君の合図でパーティーは移動を始める。
向かう先は森の中。
ゴブリンやウルフといった初心者向けな定番の魔物が多く出没する地帯だ。
初心者講習でシュラークさんに魔物の生息範囲は教えてもらっているから安心だ。
この先は、オレの『魔物探知Lv1』も役に立つだろう。『索敵』では敵意や殺意を持っていない状態の魔物、すなわちこちらに気付いていない状態の魔物の感知は難しく、出合頭の遭遇が起きる可能性もあるからな。
え? オレが手伝っちゃってもいいのかって?
いや、オレも少し戦おうっかなーなんて思っていたりしてだな。
最近、オレのスキルはたくさん増えるが『基礎Lv』はまだ『4』と低いままなので、ちょっとレベル上げておいた方がいいかなって感じていたところでもあるし。
得物の横取りはしないよ? せいぜいおこぼれにあずかるくらいだ。
12歳パーティーのおこぼれを狙う元オッサンですがなにか?
◇ ◇ ◇ ◇
「ゴブリン3匹、右からくるぞー」
「おりゃあー! マトシェクアタァーーーーーック!」
うーむ、前衛突出しすぎ。
あ、後ろから新手が2匹だな。ここはオレが処理しておこう。ふふふ。
「えーい、ルジェナふぁいやー」
お前らは攻撃手段に自分の名前を付けるのがデフォなのか?
オレがおこぼれを処理しているうちにどうやら3匹の討伐が無事終わったらしい。
「えーと、ナカムラさん?」
「どうした?」
「おれたち、なんか、強くなってるみたいです」
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この度は、『異世界に飛ばされたソーシャルワーカーは冒険者ギルドの事務員として働いています。』をお読みいただき誠にありがとうございます!
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