1158 ヤクザの本質と、倉津君の立ち位置

 自身が、誰にも嫌われてなかった事が明白に成った倉津君。

だがそれは「ヤクザの本質」っと言うものを知っても、そう思って貰えるのか?っと言う疑念が沸き。

父親がチンピラだった飯綱ちゃんに、それを聞いてみる事に。


***


「なぁチビ。けどよぉ、俺、ヤクザの息子だぞ。そんな危なっかしい奴を友達にしてても大丈夫なのかよ?」

「えぇよ。けど、今日アンタの家でも言うた通り。康弘同様、ヤクザの息子としてのアンタやったら友達としてはお断りや。そんなややこしい人間関係は、アンタの言う通り一生涯イランからな」

「まぁ、そうなわるわな」

「そやけどやな。1個人としてのアンタは、アホで面白いオッサンやから、友達で居たいとは思うよ。だからなぁ、これはウチが「どう捉えてる」言うのが問題なんやのうて、アンタ自身が「ウチに、どう捉えさせてるか」って言うのが重要な問題に成ってくるんちゃうんかいな?そやのに、そんな間抜けな質問をするやなんてアンタ、まずは此処を履き違えてんのんとちゃうか?」


そっか、自分自身の問題かぁ。

確かにそう言われてみれば、そこは、コイツの言う通りだな。


……けどな。



「じゃあ、仮にそういう俺の問題だとしても、世間体は、どうなんだよ?」

「ふふっ、ヤッパ、アンタおもろいわ。そんなアホな質問をワザワザ真顔で言うなんて、それ、なんのネタやの?またさっきみたいにウチの事を笑かしたいんかいな?」

「いや、悪ぃが。これでもマジ話なんだわ」

「そうか。でも、そやったらアンタ、ヤクザの組長の息子やのに、なんも解ってへんね。間抜けが過ぎるで」

「なんでだよ?」

「アホや。このオッサン、ホンマもんのアホや」


だから、なんでだよ?


普通なら、相当な事でもない限り『ヤクザと関わりたくない』って考えるのが一般論。

なんと言っても、このヤクザって言う職業は、世間体の悪さで言ったら最強クラスに嫌悪されてる様な職業だからな。


だったら、そんな『百害有って一利無しな世間体を持つヤクザとの関係』なんて、誰も持ちたく無くね?



「だから、なんでだよ?」

「ハァ~~~、もぉマジかいな。アンタなぁ。まさかとは思うけど、ヤクザがリスクだけの存在やとか、アホな事を思うてるんとちゃうやろな?」


あぁ、そこかぁ。

確か以前にも崇秀に、このチビと同様な事を言われた様な気がしないでもないなぁ。


まぁ、この様子じゃあ、恐らくはその辺の話するつもりなんだろうけど、そこが解っていても、今はまずチビに話を合わせてみるか。



「いや、まぁ、そりゃあよぉ。全部が、全部リスクって訳じゃねぇだろうがよぉ。大半がリスクなんじゃねぇのか?」

「アホ臭ッ。アンタの場合は大半がメリットで、逆にリスクすら少ないわ」

「えぇ~~~~~~ッ!!」


へっ?……嘘?


なんだそれ?

崇秀の話を含めても、発想が、俺とは全く逆じゃねぇかよ。


どういうこっちゃ?



「ホンマにアホやなぁ。アンタなぁ、ヤクザの関わりって言うのは『音楽業界』『スポ-ツ業界』『IT業界』……言い出したら切りがない程、どの業界の闇に通じとんねんで。ただそれが表沙汰になってないだけの話や。……此処まで解るか?」


なぁんだ。

なんの話をするのかと思って警戒していたんだが、ヤッパ、トドの詰まりはそこの話なんだな。


意外とオマエも、その辺の感覚は一般的な奴と変わらねぇんだな。



「あのなぁチビ。あんまそうやって俺を馬鹿にすんなよ。それぐらいの事なら重々に承知してんよ。何年ヤクザの組長の息子やってると思ってやがるんだ」

「もぉ、間抜けやなぁ。ほんだら、なんで答えが出ぇへんのよ?『今のアンタ』の有用性は、ウチにとったら凄い大きいもんやで」

「いや、なんでって言われてもよぉ」


なんでだ?


サッパリわからん。



「もぉ、ホンマ飽きれる位アホやね。此処まで言うても解らんか?」

「だから、なにがだよ?」

「えぇかオッサン?各種の業界に進出してるヤクザの組、しかもアンタの実家は老舗のヤクザの組や。これだけでも、各業界に大きな影響力を持ってるのは、もぉ、さっきの説明でも十分解るやろ」

「あぁ、まぁな」

「ほんだら、ウチと、アンタの関係はなんや?なんやった?」

「友達……か?」

「そう言うこっちゃ。ほんだら次に、ウチと、アンタが友達で有り続ける条件はなんやった?」

「いや、ヤクザとして付き合わねぇ事だろ。さっきオマエが、そうハッキリ言ったじゃん」

「そやね。で、アンタは、その条件を飲んででも、ウチと友達になってくれてんねんやろ?」

「まぁなぁ。オマエみたいな生意気な奴、嫌いじゃねぇからな」


口の悪さは最上級のステラ級だが、アイツ同様コイツも、結構、良い奴だしな。


そんな奴が友達に成ってくれるって言うなら、寧ろ、断る理由なんてものは何処にも存在しねぇな。



「まぁ、そんなアンタのM度は、どうでもえぇとしてやな。各業界に強い影響量を持つヤクザの息子が、ヤクザとして付き合わんと、友達としてだけ付き合う。……じゃあ、これって、どういう意味やねんやろうね?」


そう言った後、チビはなにやらニヤリと笑ったんだが……。


うん?何を笑ってんだ、コイツは?


まぁ良いっか。

それよりも、さっきチビが言った意見をかみ砕いて考えるとしたらだな。


ヤクザであっても、ヤクザとして付き合わないのが友達としての条件で。

その上で、ヤクザの持つ業界へのアプローチを持ってる、って言う事を念頭に置いて考えろって事だよな?


だったら、その答えって……


・・・・・・


うっ、うん?


( ゚д゚)ハッ!……

いやいやいやいや、ちょっと待て、ちょっと待て!!


まさか……コイツ!!そう言う事が言いたいのか!!


このチビが言いたかった俺の有用性ってのは、そっ、そう言う意味だったのか!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>


ヤクザと付き合うリスク。

これは世間的に考えても非常にリスキーなものではあるのですが。

組長の息子とは言え……まずにして倉津君って、ヤクザじゃないですよね(笑)


そぉ……世間の認識がどうあれ。

名目上の彼は、ただの未成年の学生でしかないんですよ。


……っで、更に言えば。

そうやってただの学生ではあるにも関わらず「老舗ヤクザの力を行使する力」だけは持ってる状態なんですね。


だとしたら、友達に成りたくないですか?

倉津君自身、性格が悪い訳でもないどころか、どちらかと言えばお人好しな人間ですしね。


そう言う事を飯綱ちゃんは、言いたかった訳ですよ♪


……っとはいえ、まだまだ説明としては不十分。

これ以上に倉津君を納得させる説明が更に次回付け加えられますので、

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る