1157 俺って意外と嫌われてないんだな
自分の成長の無さに凹み気味な倉津君を、慰めてくれていた美樹さんだったが。
そこに奈緒さんと飯綱ちゃんが現れ。
何故か、美樹さんとエディさんのシモの話に(笑)
***
「いや、美樹なぁ。そうやってエディの事が好きなんは十分にわかんで。そやけどなぁ。あんまり尽くすのは、アンタの性格上、良ぉないわ。いや、寧ろ、奈緒姉ちゃんの言う通り、危険やわ」
「うん。私もそう思うね。全く持って同意見」
「だからなんでよ?好きな人に尽くして、何が悪いのよ?」
「そりゃあアンタ。アンタの場合は、際限無く、過度に成り過ぎるからよ。……そう言うの『重たい』って思う男も居るからね」
「えっ?嘘?奈緒の好きな言葉で言えば『健気』って思うんじゃないの?」
「そやないね。男にも色々なタイプがおるから、どう思うかは相手次第。……そこに居るデッカイおっさんみたいなタイプやったら、尽くされたら喜びよるけど。カジみたいな女にモテる様なタイプの男やったら『うわっ!!この女、面倒臭ぇ~~~、ウゼェ~~~』とか平気で思いよんで」
なんか俺とカジって、2人して豪く酷い言われ様だな。
俺は、なんかモテ無くて、必死に縋ってるみたいな言われ様だし。
カジはカジで、物凄く、自分勝手な男みたいな言われ様。
これじゃあまるで……両方がダメ男じゃん。
まぁ……女性から見たらどっちもダメ男なんだろうけどな。
「えっ?えっ?そうなの?……あっ、あの、因みに飯綱さぁ。エディは、どっちのタイプだと思う?」
「まぁそやねぇ。敢えて言えば。基本的エディは甘えたさんやから、このデッカイおっさんと同じタイプなんちゃうかなぁ。……けど、問題はなぁ。エディはメッチャモテよるからなぁ。その中間ぐらい屋と思うのが妥当な所とちゃうかなぁ」
「そっ、そうなんだ。……奈緒は?奈緒はどう思う?」
「そうだねぇ。私の見解は、飯綱とは少し違うかなぁ」
「違うんだ」
「うん。違うね。でもまぁ、そうは言ってもね。基本が『甘えた』なのは、飯綱も間違ってないんだけどね。エディはモテる以前に、結構、快楽主義者な所があるのよ。だから、自分本位にモノを考えてる部分が多い。……これ等を統計するとね。どうしても『尽くして欲しい』って願望は高いんだけど。『必要以上に干渉されて、自分の時間を裂くのは嫌』ってタイプに成っちゃうのよ。……こう言う風に気分次第で物を考えるタイプはバランスが取り難いから、意外と扱い難いと思うわよ」
ぐわっ!!
それって……無茶苦茶自分勝手な男じゃないッスか。
そんな奴と、美樹さんが付き合って大丈夫なのか?
まぁ……人の彼氏だから、とやかくは言うつもりはねぇけど、もし奈緒さんの言う通りなら、ちょっと扱い難いタイプではあるな。
「そっかぁ。奈緒から見ても難しいタイプかぁ」
「そうだねぇ。あぁ言うタイプは、彼女の精神面が強くないと長くは付き合えないタイプだから、難易度は、そこそこに高いわよ」
「ねぇ、奈緒。……あたしじゃ無理かなぁ?もし無理なら、どうしたら良いと思う?」
「あぁ、凹むな。鬱陶しい」
「あぁ、ごめん。でもさぁ、奈緒と飯綱の話を聞いたら上手く行く気がしないんだよね」
「アホかアンタは?そんなもんねぇ。ゴチャゴチャ言う前に、エディを尻に轢いちゃえば良いのよ。それで自分の『必要性』さえアピールしてしまえば、後はなんの問題も無し。チョロイ、チョロイ」
あの……奈緒さん。
それは恐らく的確な答えではあるんでしょうがね。
なんか俺の心を抉る様な非常に悲しい回答でもある様な気がするんッスけど。
要するに、それって『自分に依存させてしまえ』って事ッスよね。
それ……明らかに俺の事じゃないんッスかね?
座椅子の如く、完全に奈緒さんの可愛いお尻に轢かれてるし……そしてソレが心地良い。
「えぇ~~~っ、そんなの奈緒じゃなきゃ無理でしょ。あたし、そう言うタイプじゃないし」
「オイ、コラ、それ、どういう意味よ?」
「だって兄貴君。奈緒に依存し捲くってるじゃん」
言わんでくだせぇ。
敢えて、口に出して言わんでくだせぇ。
後生ですから、本人の前でだけは言わんでくだせぇ。
「馬鹿言ってんじゃないわよ。クラには、私が依存してるの。アンタも、クラの家で、そう言ってたらしいじゃない」
「あれは……奈緒達のラブラブ度をエディに伝えて、あたしも『そうなりたい』ってアピールしてただけじゃない。本心じゃ、兄貴君が嵌ってるとしか思えないよ」
あの時の話には、そんな裏が有ったんッスね。
女の人は怖いッスな。
「そんなん全然ちゃうわ。奈緒姉ちゃんは、このデッカイおっさんにはベタ惚れやで。これだけは間違いないで」
へっ?……本当かチビっ子?
オマエが言うと、なんか妙にリアリティがあんな。
でも、オィちゃんを騙しても、なんの得にもならねぇぞ。
寧ろ、嘘を付いたら復讐するぞ。
それでも本当だと言ってくれるか?
「どこがよ?」
「どこが?って、全部そうやん。奈緒姉ちゃんが、此処まで好きにさせられて、このオッサンに依存してなかったら。このオッサンが、日本で発見された程度で、仕事キャンセルしてまで日本に帰って来るかいな。奈緒姉ちゃんは、このオッサンに関しては、完全な恋愛ジャンキーやから、なにを差し置いても優先しよる。……これを依存と言わずして、なにを依存って言うのよ?」
確かに、そうだよなぁ。
奈緒さんは、なんでか知らないけど。
俺の事に成ると、いつもスゲェ必至に成ってくれるもんな。
そんで、俺がなにかしくじったりしたも、さり気なくフォローしてくれる。
その上で、自分の地位なんかよりも、俺が大事だって言ってくれる世界最高の彼女だ。
……けど、それだけに辛いんだよなぁ。
こんなヘチョタレな俺が、奈緒さんを幸せに出来るとは、どうしても思えない。
マジで、どうしたら良いんだろうな?
誰か導いてくれ。
(↑これがダメなのか?)
「あぁ、確かに……」
「そやろ」
「けど、奈緒。なんで、そこまで兄貴君なの?なんで、そこまで依存しちゃってる訳?」
「愚問だね。そんなの、ただ只管に好きだからに決まってるじゃない。それ以外なにが有るって言うのよ?」
「いや、だから、なんでそこまで好きになっちゃったのよ?千尋から聞いた話じゃ、奈緒って、昔からモテたんでしょ?なのに、一向に自分からは彼氏を作る気配が無かった。けど、兄貴君にだけはコロッといっちゃった。これじゃあ、よく解らなくない?」
ヤッパリ、奈緒さんは、昔からモテたんッスね。
まぁ、モテない理由が無いから、当然ッスな。
「それも愚問。私を、見てくれだけで見ずに、全てを愛してくれてるから、クラが好きなの。女にとって、これ以上の幸せな事はないからね。私はね。そんなクラの心の大きさに惹かれたの。……あぁ因みに、見た目も凄い好みだけど」
俺……そんなに心の大きな人間じゃないッスよ。
奈緒さんの前では、ちょっと良い格好してるだけッスよ。
そんなんでも良いんッスか?
「あぁ、そこかぁ。奈緒が、兄貴君に惹かれた理由は、そこなんだぁ」
「そうだよ。……でも、なぁ~~んとなくだったら、この感覚が解るでしょ」
「あぁ、うん。解る解る。そこが兄貴君の最大の魅力だもんね。誰に対しても優しいし、卑怯な真似もしない。そこに魅力を感じるのは良く解るよ。……まぁ、今だから言うけど、実際あたしも、奈緒が居なきゃ、兄貴君の彼女の席に着きたかったもん」
へっ?そうなんッスか?
……知らんかった。
「そやねぇ。まぁ、彼女の席は、絶対にイランけど。このオッサンは、男として見ても悪くはないわなぁ。ウチも嫌いやないで」
そうなんか?
実は俺って、そんなに嫌われてねぇのな。
特にコイツに関しては、結構、平然と意地の悪い事バッカリ言って来るから、嫌われてるもんだと思ってた。
「あげないよ。私のものだから。誰にもあげないよ」
「あぁ、今は流石にエディが居るから、友達で良いかなぁ」
「ウチは根本的にイランわ。このオッサン面倒臭そうやもん。でも、強烈なアホで、おもろいオッサンやから、友達としてやったらOKやわ」
アホと、おもろいオッサンは余計だ。
……けどなぁ。
此処まで思ってくれてるのは、非常に有り難いんだがな。
あの眞子が素直に話した『ヤクザの本質』を話しても、みんなは、まだ俺の友達で居てくれるもんなのか?
そこだけは疑問が残る。
まぁだからだな。
親がヤクザのチンピラだった、少し安牌のチビの方に、その辺を聞いてみる事にした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>
女性が3人寄れば『姦しい(かしましい)』なんて言いますが。
男性である倉津君が居ると言うのに、まさにその本音全開の姦しい状態に成ってしまいましたね(笑)
まぁでもそれは『なにを聞かれても倉津君なら大丈夫』って思って貰えてるからこそ所業。
ある意味、積み重ねてきた信頼の証なのかもしれませんね。
本人は、その辺を良く解ってないみたいですが(笑)
さてさて、そんな中。
みんなが本音トークをしてるのに引っ張られて、少し『自分の事を話してみよう』と言う気持ちに成ったのか。
倉津君が軽く「ヤクザの本質」について話をするみたいなのですが。
果たして、それは、美樹さん達にどんな風に受け取られるのか?
次回はその辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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