1155 他人の成長を目の当たりにしたら
前回、眞子が起こした行動の謎が解けたので、調子に乗って、その謎の解明を説明するのだが。
それ=前回、素直ちゃんの身に何があったかを、美樹さんにも説明しなきゃいけない事に気付いて……
***
「あぁっと、眞子ちゃんには、真琴君との恋愛についての話で……少し」
「恋愛相談かぁ。……確かに眞子は、恋愛については、比較的、的確な解答を導き出すから、相談相手としては悪くないけど。普通、恋愛相談で感情が昂ぶっちゃ不味いんじゃないの?」
「あぁいや。実は、そうじゃなくて、この場合にのみ、アイツにとっちゃあ、それが狙いに成ってるんッスよ」
「うん?なんか良く解らない理屈だね。それって、どう言う事?」
「あぁ、はい。それについては、僕も今、その回答が解ったので、僕が真琴君に代わってお答えしますね」
素直……オマエ、そんな話を自分からして大丈夫なのか?
少しでも言い辛いんだったら、別にこの話自体を流しちまっても良いんじゃねぇか?
話が中途半端に成ってしまう以上、美樹さんには申し訳ないけど、無理してまで話す内容じゃねぇと思うぞ。
「あぁ、じゃあ、お願い」
「あぁ、はい、実はですね。この話以前に僕は、1度、真琴君に完全に振られちゃったんですよ」
「えっ?ちょ、なにそれ?どっどう言う事?……ってか、ごっ、ごめん、素直。なんか私、無神経な事を聞いちゃったみたいだね」
「あぁっと、良いんです、良いんです。真琴君には、向井さんって彼女が居るのに、僕が、しつこく真琴君に付き纏っていた事が招いた結果。これ自体は、僕の自業自得なんで、ご心配なく」
あぁ……
「そう……なの?……でも、素直。そこまで兄貴君を想っていたのに、良く諦められたね」
「あぁ、はい。流石に諦められた理由までは明かせませんが。今の僕の気持ちには、なんの蟠りも残っていませんね」
「そう……なんだ。意外」
「でもですね。そうやって真琴君の彼女には成れなくても、僕は、真琴君とはズッと友達で居たかったものですから、その事を眞子ちゃんに相談をしたんですよ」
「あぁ……なるほどねぇ。そう言う経緯だったんだ。だから眞子は、あたしをステージに上げて、兄貴君の感情を昂ぶらせ。『兄貴君が、今現在、素直の事をどう思ってるか?』って本音を引き出そうとしたって事かぁ。それで上手く行ったから、今の兄貴君と、素直の関係が成立してるって訳ね」
そう言う事なんッスよ。
さっきの眞子の行動の謎を解き明かしたら、そう言う事に成るんッスよ。
けど、俺、またやっちまったよ……
馬鹿みたいに優越感に浸って、小学生みたいに調子に乗って、余計な事までベラベラ喋ってよぉ。
こんなん、また素直を傷付けちまっただけなんじゃねぇのか?
もぉもぉ、なにやってんだ俺?
眞子の言う通り、素直の気持ちを、なにも解ってやってねぇじゃねぇかよ。
本当に、なにしてんだよ俺?
「そう言う事です。結局、僕も、真琴君も、美樹さんも、エディさんも、眞子ちゃんの掌で踊らされちゃったって事ですね」
「そっか。知らず知らずの間に踊らされちゃってたのか。……でも、良かったね、素直」
「えっ?」
「あたし、正直言ってね。奈緒も、素直も大切な友達だから、あまり兄貴君の事で揉めて欲しくなかったのよね」
「そうですよね。お互いが知り合いなだけに、普通ならそう思ちゃいますよね。それに人の彼氏に手を出そうとしてたなんて、僕、どうかしてました。本当に皆さんには、色々ご迷惑をお掛けしたと思います。すみませんでした」
こう言う事を、自らの意思で言えるって事は、素直も……大きく成長し続けてるんだな。
特に精神面での成長が、以前とは比べ物にならないぐらい著しく成長してる。
いつまで経っても馬鹿のままで、なにも成長しないのは俺だけか……
「あたしは迷惑だなんて一度も思った事はないよ。それに、みんなも、そんな事は、きっと思ってないよ。……まぁ、ちょっとハラハラはしてたのだけは事実だろうけどね」
「本当ですよね。僕が、もし他の人の立場だったなら、美樹さんと同じ様な感覚で自分を見てたと思います。今思えば、意外と自分の事って見えてないもんですね」
「そうだね。でも、素直は良い友達に恵まれたね」
「それって、眞子ちゃんの事ですよね?」
「そうだよ。あの子は頭の回転が速いし、馬鹿みたいにお節介。その上、人の為に一生懸命に成れる。あぁ言う子は珍しいからね。……大切にしなよ」
「あぁ、はい!!勿論です。眞子ちゃんは、僕にとっては最高の親友です。……あぁでも僕は、まだまだ眞子ちゃんに迷惑ばっかり掛けてるから、親友って呼んで貰うには、まだまだ程遠いんですけどね」
「そっか。でも、自分でもそう思えるんなら。眞子に、そう呼んで貰える様に頑張りなよ。それしかないんだしさ」
「……そうですね。僕、頑張ってみます」
……人って、こうやって色々な経験を重ねて、大人になって行くんだな。
なんか、今の素直を見ていたら、自然にそう思えた。
ただ、その光景を目の当たりにしてたら、俺1人だけ取り残された気分になっちまうのも否めねぇ話だ……
俺みたいに幾ら経験を重ねても、ダメな奴は、なにをやってもダメなんだな。
今回ばかりは、それを思いっ切り痛感させられた。
***
……そんな中。
ステージに上がって、アニソンをガンガンに唄っていた木根が歌を唄い終え、ステージに空きが生まれた。
「あっ……琴美の歌が終わったみたいだね。相変わらず、よく解らないアニソン全開だったけど」
「好きですよね、琴ミンも」
「ホント、あの子も好きだよね。我が道を行くって感じだし。……って、あぁそう言えば、琴美の次って、素直の順番じゃなかったっけ?」
「あっ!!イケナイ!!ホントだ!!……もぉ僕って、いつもこうなんですよね。ドン臭いですよね」
「はいはい。話は後、後。早くステージに行って唄ってきなさいよ」
「そうでしたね。……また、やったちゃいましたね」
そう言いながら素直は、美樹さんと別れて、コチラに向かって手を振りながらステージに向かって行く。
俺は、ただ、それを見送るだけしか出来無い状態だった。
そんな俺に対して美樹さんは、少しだけ微笑みながら一言だけ声を掛けてくれた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>
ㇷッとした切っ掛けで、人は成長出来るもの。
今回は、その事象がバッチリと素直ちゃんに当て嵌まったみたいですね♪
まぁ、3年間も片思いしてた相手との恋が終焉を迎えた訳ですから、なにか悟る様な部分があったのかもしれませんね。
さてさて、そんな成長を見せる素直ちゃんを目の当たりにして。
今度は、やや倉津君が凹み気味な感じに成ってしまったのですが、果たして、此処からいつもの元気を取り戻せるのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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