1153 素直を含めた美樹さんの話

 冒頭ではいつも通り、ブゥブゥと前回の文句を言ってた倉津君。

そんな彼に元に美樹さんがやって来て、素直ちゃんと一緒に彼女の話を聞く事に成るのだが。


***


「あぁ、すんません」

「いや、別に良いんだけどね。大して気にして無いから」

「あぁ、そうなんッスか?じゃあ、なんで急に話し掛けて来たんッスかね?」

「なになに?それって……『2人で仲良くし話してるんだから話し掛けるな』『空気呼んで邪魔するな。この邪魔者がぁ!!』って言いたい訳?」


いや……なんで急に、そんな突飛ようしもない発想に繋がるんッスかね?

そんな事は微塵も思ってねぇッスよ!!


……ってか、素直と、俺は、そう言う関係じゃねぇし!!



「いやいや、話し掛けて貰うのは、寧ろ大歓迎なんッスよ。俺なんかで良かったら、幾らでも話し掛けて貰って結構なんで」

「そうですよ、そうですよ。僕と、真琴君は、ただ普通に話をしてただけなんですから、遠慮なんて要りませんよ」


ナイスだ素直!!


その回答は、まさに模範解答だ。



「そう……なんだ?でも、素直ってさぁ。兄貴君の事が好きなんじゃなかったっけ?こう言う時間って邪魔されたくなくない?」

「あぁいえ。好きなのは、好きなんですけど。今は友達として好きなんです。だから、そう言う配慮は要らないですよ」


思った以上に、言葉では割り切ってくれてるなぁ。


まぁでも、実際、心の方は、そんなに簡単に割り切れてねぇだろうな。

約3年間にも長きに渡って、俺なんかの事を好きで居てくれた訳だからな。


表面上では割り切れても、心の奥底では、中々割り切れたもんじゃねぇだろうしな。


それでも素直は、ヤクザの本質を聞いて尚、まだ『俺の友達』で居てくれ様する根性の座ったな奴だからな。



「あぁ、そうなんだ。……けど、なんで急に『友達で良い』って、兄貴君の事を諦めれたの?ヤッパリ眞子絡み?」


なぬ?今なんと仰いましたか?


いやまぁ、確かに素直の件は、前以て、ある程度は眞子が解決してはくれてはいたんッスけど。

その言い分だと、あの女、また裏でなんか仕出かしてやがったんッスか?


まぁけど、アイツは、年がら年中、そんな事ばっかり考えてる奴だから、なにかに絡んでても、別段驚く様な話でもねぇか。



「えっ?……眞子ちゃんですか?確かに僕が、眞子ちゃんにある事を頼みましたけど。どうして美樹さんは、そう思われたんですか?」

「いや、そう思うも、なにも。実は、さっきの私のステージってね。私の順番じゃなくて、眞子が唄う順番だったんだよね。それをね。あの子が、急に、なにを思ったのか、突然、私の所へ来て『順番を変わって欲しい』って言って、あたしを直接指名して来たのよ。……だから、なんか関係があるのかなぁ?って思っただけなんだけど。……なんかおかしい?」

「えっ?そうなんッスか?」

「うん、そうだね。それで、その後、ちょっと奇妙な事も言って来てたね」


奇妙とな?

一体、なにが奇妙なんッスか?


アイツは、元々奇妙な生き物ッスよ。



「奇妙って……一体、アイツに、なにを言われたんッスか?」

「『美樹さんと、エディさんの2人で、必ず競演して下さい』って、言われたわね」

「はぁ……2人で一緒に演奏ですか」

「そぉ。それと、その後『出来る限り激しい曲で、人の感情を昂ぶらせて下さい』とも言ってたわよ」


感情を昂ぶらせる?


なんじゃそりゃあ?

崇秀や、眞子みたいな化物でもないのに、そんな馬鹿げた芸当が出来るもんなんッスかね?


ひょっとして美樹さんも、そう言うダメな系統の人なんッスか?


けど……もし借りにだ。

美樹さん達に、それが出来たとしても……あの時点で、なんの意味が有るんだ?


わかんねぇなぁ?



「へぇ~~~っ、美樹さんって、そんな器用な真似が出来るんッスね」

「うぅん。あたし個人では出来無いわよ。でもエディと一緒なら、これがまた不思議な事に出来ちゃたりするんだよね」

「えっ?それって、どう言う事なんですか?」

「あぁ、これは、音楽的な相性の話なんだけど。エディと、あたしって、全体的に曲の好みが似てるからフュージョンしやすいのよ。……っで、その曲の好みって言うのが、ワイルド系のド派手な演奏だから、少なからず他人の感情を昂ぶらせる効果があるって訳」

「あぁ、なるほど。そう言う原理ッスか。それだったら、確かに納得ッスね。激しい演奏ってのは、ある程度なら人の感情を昂ぶらせる事も可能ッスもんね」


まぁ、激しい曲ってのは、脳内にドーパミングが噴出しますからね。


それだけにこれは有り得ない話じゃないッスね。



「そうだね。……あぁでも、これは別に、私に限った事じゃないんだよ。千尋と、ホランドさんも、そう言う曲の相性が良いから、あの2人が競演をすれば、曲全体に大きな『癒しの効果』が出るんだって。……ほら、例えばさぁ。さっき千尋が、ステージで唄った時、なにか感じなかった?」


あぁ……そう言えば。

俺が、山中と話をしてる時に、アイツが唄ってたけど。

なんか妙に癒された気分になって、あまり怒りが湧いて来なかったな。


まぁ、そのお陰で、冷静に話を進められたって事は……強ち、美樹さんの言ってる話も、信憑性が無い訳でもないか。


体験しただけに、証拠としては十分だしな。



「あぁ、そう言われれば、微かに癒しの様なモノを感じましたね」

「僕もです。僕も、千尋さん達の歌や演奏を聞いてたら、何故か急に心が落ち着いてきて、眞子ちゃんに相談する余裕が出て来ましたからね。そう言う効果が有るのかも知れませんね」

「じゃあ、それで十分に立証されてるんじゃない」


まぁ確かに……


けど、問題は、そこじゃないんッスよ。

問題なのは、何故、眞子と、美樹さんが、そこに関わってくるのか?って話なんッスよね。


なんでッスかね?


・・・・・・


あっ!!いや、ちょっと待てよ。


まさか……アイツ……


俺は咄嗟にある事を思い付いて、急遽、素直に、その確認する事にした。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>


今回、美樹さんが持ってきた話と言うのは、どうやら『前回のお話の全容』みたいですね。

でも、何故、この話は最悪な話になるのかは、今の所は不確定。


果たして、前回のお話には、どの様な裏話があったのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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