1150 激昂
素直ちゃんに「ヤクザの本質を教え、恋心をなくさせた」と言う眞子。
それを聞いた倉津君は心の中では青ざめながらも、眞子に対して責任を問いかけるのだが……
***
「テメェなぁ。好き勝手な事ばっかりホザくのも大概にしろよ。俺と、素直の友人関係を崩す権利なんぞ、神の野郎にもねぇだよ!!」
「チッ。独占欲の強い男。なんでそんなにまでして、素直ちゃんを自分のモノとしてキープしたいの?真琴ちゃんは、奈緒ネェだけを見てれば良いんじゃないの?それなのになんで、ワザワザ余所見する必要が有る訳?……私、アンタのそう言う所が気に入らないのよ」
「そんなもん、オマエには関係ないだろ!!」
「うるさいなぁ。耳元でイチイチ大声を出さないでくれないかなぁ。耳障りなんだけど。それに他の人にも、話が聞こえちゃうんだけど」
「関係あるかぁ!!オマエは、俺の友人関係を崩した。こんなもん誰であっても許されるか!!」
そうやって被害者ぶるなよ!!
事がどうあれ、加害者は間違いなくテメェなんだよ!!
「いい加減にしなよ」
「いい加減にするのは、テメェの方だ!!毎度毎度、自分勝手な行動バッカリしやがってよぉ!!テメェにはモラルってもんがねぇのかよ!!」
「よく言うよね。その私の自分勝手な行動とやらに、いつも助けられてるのは、何処の誰だっけ?都合の良い時だけ良い顔するの辞めてくれない」
「いつ、何時、俺がオマエに『助けてくれ』って言ったんだよ!!うぜぇんだよ、オマエ!!勝手にしたクセに恩着せがましい事を言ってんじゃねぇよ!!」
あぁ言えば、こう言う、ほんとムカツク女だ。
……けどまぁ、そんな眞子の奇行に、毎回、助けられてるのだけは事実だよな。
でもだからって、今回の件だけは許せるもんじゃねぇ。
幾らなんでも、これは勝手が過ぎるんだよ!!
せめて素直に話す前に、ひと言ぐらい相談しろよな!!
「あぁ、そぉ。じゃあもぉいいや。勝手にすればいいじゃない。……自分じゃ、なにも解決出来無いクセに」
「オイ、コラ、ちょっと待てよ!!なに勝手に1人で完結しようとしてんだよ。まだ話は終わってねぇぞ」
「じゃあ、どうして欲しい訳?元の鞘にでも戻せば満足な訳?」
あのなぁ……んなもん簡単に戻せる訳がねぇだろ。
一度でもヤクザの最低な本質なんかを知られちまったら、もうその時点でなにもかもがお仕舞。
誰も、俺なんかには見向きする筈がねぇだろうに。
それに伴って、元の鞘に戻すなんて今更不可能に等しい。
14年間も一緒に居たんだから、オマエにだって、そんな事ぐらい良く解ってんだろうがよ。
それともなにか?
鼠に耳を齧られた青い猫みたいなロボットに頼んで『記憶除去装置』でも出して貰うのか?
もしそうなら、そいつはスゲェな。
是非、見てみてぇもんだな。
「あぁ、そうだよ!!それが解ってんなら、さっさと戻せ。戻してみせやがれ!!もしそれで素直が完全に戻ったら、この件は、全部、不問に付してやるよ。但し、オマエが話をする前の素直じゃなきゃダメだぞ。寸分の狂いもない素直に戻せよ」
「あぁ、そぉ。……良いよ。解った。じゃあ、そこまで言うなら完全に戻してあげるわよ。但し、戻す前に1つだけ必ず答えて貰うからね」
「なんだよ?なんかあんなら、さっさと言えよ」
「『元に戻った素直ちゃんに、どう対応するの?』アンタ、そこまで大見得を切ったんなら、ちゃんと答えれるよね?『うるさい』とか『関係ない』って言うのは無しだよ。それ、答えじゃないからね」
「ぐっ……そんなもん簡単だろ。今まで同様に、俺が素直に手を出さなきゃ、なんも問題ねぇだろうがよぉ」
これが精一杯の答えだ。
確かに眞子の言う通り、これは何の解決にもなってないのかもしれない。
いや寧ろ、こういう素直に対する行動が、アイツを苦しめてきた行為だって事もよく解ってはいる。
でも、それを継続してでも俺は、素直との関係を崩したくはない。
だから、これしか答えられなかった。
「それも答えに成ってないよね?って言うか、それの、どこがなにに対応してるって言うの?なに1つとして対応し切れてないじゃない。それともなに?私の事を馬鹿にしてるの?」
「何所がだよ?俺が、素直にさえ手を出さなきゃ問題なんか、なんも無いじゃねぇかよ!!これで万事解決だ!!」
「ふざけないでよ。アンタは、それで良いかも知れないけど。それをされた素直ちゃんの気持ちに対して、なにを対応してるって言うの?そんなの、ただの身勝手な言い分じゃない。……それともアンタ。私じゃなくて、自分に好意が有るからって、素直ちゃんの事を馬鹿にしてるの?どう扱っても自分の勝手だとでも思ってるの?」
「そんな事は微塵も思ってねぇよ!!確かに俺はなぁ、アイツとは、一生恋人には成ってやれねぇけどなぁ。それでも俺は、アイツとは一生大切な友達では有り続けたいんだよ。それを潰したオマエに、そんな事を言われる筋合いはねぇよ」
「あぁ……そうなんだ。そっか、そっか」
はぁ?
オッ……オイ?
なっ、なんだよ、急に、その気の抜けた様な回答はよぉ?
今まで息巻いて、激しく俺と口論してたオマエは、一体何所に行っちまったんだ?
なんで、そんな風に成るんだ?
・・・・・・
( ゚д゚)ハッ!しまった!!
……これって、まさか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>
この倉津君と眞子の口論を見て、皆さんはどう思いましたか?
ひょっとしたら「最後に( ゚д゚)ハッ!」っと成った倉津君同様、なにかお気付きに成ったのではないでしょうか?
まぁまぁ、そんな気付きも有る無しは別として。
次回は、その辺についての話を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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