1140 言葉が相手に与える影響

 飯綱ちゃんに言葉により、少しづつ成長の兆しが見え始めた真菜ちゃん。

なら、この後、彼女は、どういった行動をとるのか?


***


「すっ、すみません。これからは出来る限り気を付けます」

「うん。解ってんやったら、それでえぇんよ。……ほんだら後は、精々この面子の友達に成れる様に努力しぃや」

「はぁ……ですが、それでは飯綱さんの言われてる事と矛盾するのでは?……」


だな。

確かにこのまま友人作りしてしまったんじゃあ。

結局は、全部を、人に頼っちまう事に成っちまうもんな。


意味ねぇよな。



「うわっ……何を言うかと思えば。この子、アホや。メッチャ痛い子やわ」

「えっ?えっ?アホ?痛い子?」


オイオイ、真菜はアホでも痛い子でもねぇよ!!



「いや、ちょっと待ってやってくれよ。オマエの言い分が正しいなら、真菜の言葉は間違ってねぇと思うんだが」

「うわ~~~っ、もぉこの兄妹だけは、揃ってメッチャ痛いわ。ドンだけ融通が利けへん頭の中身してるんよ。アホの極みやんか」


なんでだよ?



「えぇかアホ兄妹?確かにウチは『人に頼るのは良ぅない』とは言うたよ。そやけどなぁ。なんも、こないな好条件の場を『無駄にせぇ』とまでは言うてへんで。そんな事されたら、それこそ、なんの為に、みんなが集まったんか解れへん様に成ってまうやんか」

「あっ……」

「ちょっとは柔軟に物を考えたらどないなんよ。このボケナス兄妹だけは」


……ですな。


どうやらチビッ子の話を鵜呑みにし過ぎて。

話が自体が、本末転倒な方向に向ってたみたいだな。


頭固ぇなぁ……俺も、真菜も……



「……だな」

「過保護なボンクラ兄貴が。……まぁえぇわ。ウチの話は、これでほぼ終わりや。ホンで妹に最後に質問があんねんけど聞いてもえぇか?」

「私に……最後の質問ですか?あぁ、はい、なんでしょうか?」


この期に及んで、まだなんか有るのか?


でも、あんま虐めないでやってくれな。

マジでコイツ、結構、人付き合いが上手い方じゃねぇんだから……



「妹さぁ。こんなウチと友達に成りたいん?正直に言うてみぃ」


うわっ、コイツ……今、敢えて、そこをズバッと聞くか?


……まいったなぁ。

このチビッ子、マジで話の持って行き方が上手いな。

わざと、こう言う言い方をして、まずは真菜の自立への第一歩を踏み出さそうとしてやがるよ。


ホント、なんて奴だよ。

眞子のツレって、こんな奴ばっかなのか?


だったら、マジでスゲェな。



「飯綱さんの友人ですか?なら、答えは『いいえ』ですね」


へっ?真菜?

……なんで『いいえ』なんだよ?


多分コイツは、オマエの人生に於いて、かなり良い助言をしてくれる大切な人間に成る筈だぞ。

口が悪いのが気に喰わねぇかも知れねぇが『いいえ』と解答するには、あまりにも安易過ぎるんじゃねぇか?



「そうか。ほんだら今後一切、ウチとは関わりたくないって事やね」

「いいえ、そうじゃありません。……『友人』と言う言葉は、口に出して語り合う言葉では無いと、私は認識しております」

「ほぉ」

「友人は、なにも言わなくても友人。敢えて確認し合うものではありませんから。それに、ゆっくりと親交を深めて、初めて友達に成って行くものだとも思いますが……飯綱さん、如何でしょうか?」

「言うねぇ。……その通りやで。ほんだら、今、妹のすべき事はなんや?」

「はい。今、私がすべき事は、兄様や、姉様に用意して頂いたこの場で、皆さんを持て成す事だと思います。……それで、少しでも私の記憶が、皆さんの中に残れば良いと思いますが、どうでしょうか?」


チビッ子の言葉だけで、真菜が……大きな成長みせた。

あの少し人見知りで、人付き合いが上手くない筈の真菜が、自らの口で『人を持て成す』っと言った。


これは驚きだ。



「ふぅ……優等生が言いそうな模範解答やね。そやけど、そう思うんやったら、自ら行動し。本当の答えは『友人』とやら同様、人と接してから始まるもんやからね。机上の空論では話になれへんよ」

「はい。ありがとうございます。私『口だけの人間』になら無い様に一層の努力を致します」

「良いねぇ。そう言う体育会系の行動的なノリ。ウチは好きやで」


真菜と一番相性が悪いと思っていたチビッ子だが、そうじゃないんだな。


相反する性格の者同士でも、共通点さえあれば。

こうやって、お互いを受け入れられるものなんだな。


此処も感心した。



「はい。私も好きです」

「そうかぁ。ほんだら、ウチの知り合いを全員紹介したるさかい、付いといで。早く、この場に馴染むのには、知り合いが居った方が早いやろ」

「あぁ、はい。宜しくお願いします」


結局は、ナンダカンダ言いながらでも、こうやって真菜を可愛がってくれてるって事は、コイツも相当お節介な性格な奴なんだな。


ホント……ウチの知り合いって、みんな、究極的にお節介な奴ばっかだな。


まいった。


またしてもギャフンだ。


……そんな風に思いながら2人を見ていると。

チビッ子は、真菜をみんなに紹介しに行く前に、俺の方を向いて1言だけ言葉を発した。


なんだ?



「なぁ、アンタぁ。忙しい連中を、こんだけ呼び出してんから、そろそろ、なんか面白いイベントでも考えときや。こんな程度の座談会では、誰もが満足する様な結果にはならへんで」


……マジでか?


まさに気落ちしてる暇なんかねぇな。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>


言葉の影響力を受けるのは、自身にも思う所がある時。

特に現状に何も感じていない人間であれば、どんな良い話をされても『馬の耳に念仏』にしか成りませんからね。


さてさて、そんな中。

飯綱ちゃんが真菜ちゃんを連れて、自身の友人紹介に回る前に。

なにやら倉津君に『イベントを起こせ』っと言い放って来た様なのですが。


果たして倉津君は、この意見に対して、なにか対応策はあるのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る