1124 話を合わせてみたものの

 倉津君との件や、山中君の告白で考える事がありすぎて、心身共に疲弊してしまった素直ちゃん。

さすがに、そのまま宴会場に戻らすのも忍びないと思った眞子は、取り敢えず、お風呂で整えようと誘うのだが。

その誘う際に出ていた会話の中で『眞子みたいな人が理想』だと素直ちゃんが言い出し……


***


「あっ、あぁ、そうなんだ」


そうやって素直ちゃんの話に合わそうとはしたのも束の間。

今さっき考えてた事が脳裏に残ってて、少し微妙な返答に成っちゃったね。


早速やってもた。



「えっ、眞子ちゃん?僕、またなんか変な事を言った?」

「あぁ、いや、別に変な事は、なにも言って無いんだけどね。……なんか微妙かなって」

「えっ?どうして?僕なんかに好かれたくないって事?」


これは良くないですね。

私の微妙な反応が、素直ちゃんにも伝わっちゃったよ。

そして、見事なまでに素直ちゃんがネガティブキャンペーンを開催しちゃってるねぇ。


誰も、好きとも嫌いとも一言も言ってないのに……


……角川文庫ですか?



「あぁっと、そう言うんじゃなくてね。それって、多分なんだけど。『かなり自分にとって都合が良い男性なんじゃないかな?』って疑問に思ったのよ。男の人で、そんな人って、かなり稀少だと思うよ」


まぁ、約1名、そういう優しさを自然に振りまいてくれる人が私には居ますけどね。


その方に関しては、絶対にあげないよ。



「あぁ……そうかぁ。僕、あんまり人に優しくして貰った事が無いから、自分に都合の良い様な事バッカリ考えてるのかなぁ?」


あぁ、またまたしまった。

ついつい本音を口走っちゃったら、また凹みかけてるよぉ。


折角、明るくなって来た表情が一気に逆戻りしかけてる。


あぁもぉ、素直ちゃんは感情の起伏が激しいなぁ。

意外と子供だなぁ。


……とは言ったものの。

自分の理想を語って、それを否定されたら『自分がおかしな考えをしてるんじゃないか?』って不安にもなるかぁ。


だったら……



「あっ……あぁ、でも、あれかなぁ。女の子だったら、そう言う理想の男性を求めちゃうのも有りなのかもね。翌々考えると、なんか解らなくもない心境だね」

「本当?……眞子ちゃんでも、そう言うのある?」

「あぁ、それは、どうだろうね。言ってはみたものの。私は、ドッチかと言えば、求めるより、必要とされたいタイプだからね。余り、そこには拘ってないから、完全には共感出来ないかなぁ」

「そうかぁ。眞子ちゃんと、僕とじゃタイプが違うもんね。僕も、眞子ちゃんみたいにシッカリした女の子に成りたいよ」


いやいや。

素直ちゃんが思う程、私は、そんなにシッカリした女じゃないですよ。


年がら年中、崇秀に注意されてばっかりだし。

結構、いい加減で、杜撰な面も、いっぱい有ったりするからね。


だから、多分、それ……素直ちゃんの幻想だよ。



「まぁまぁ、そんなの『他人の芝は青く見える』の法則だよ。私なんか実際は、そんなに、みんなと変わらないって」

「本当?……でも、本当にそうなのかなぁ?」


もぉ面倒臭いなぁ。

他人の事バッカリ気にしても、しょうがないんだけどなぁ。


マイナス精神の時の女の子を相手にするのって、本当に面倒臭いね。


でも、此処で、更に凹まれても困るから、笑顔笑顔。



「うん。本当だよ。だってさぁ。私の言った『必要として欲しい』って言葉は、素直ちゃんの『誰かに見ていて欲しい』って言う感情と、結局は、なにも変わらないじゃない。私は、それを言葉で上手く表現しただけの話。事実だけを見れば、それって、みんな一緒なんじゃないかな?」

「あぁ、本当だぁ。……眞子ちゃん頭良い」


此処は【言葉の魔術師】とでも言っておくれ。

あぁいや、正確に言えば【言葉の魔術師の弟子】かな。


この辺の言い回しの仕方は、崇秀の弟子みたいなもんですからね。



「うぅん。そんなに頭は良くないよ。男の子みたいに屁理屈捏ねてるだけだもん」

「あっ!!……あぁ、でもそれ、眞子ちゃん特有の言い回しだよね。なんで眞子ちゃんは女の子なのに、そんな風に男の子っぽい考えが出来るの?」


えぇっとですね。

その件に関しましてはですね。

ブッチャケて言えば、元男で、未だにその男の思考が完全に抜けてないから、変に理屈っぽい女に成ってるだけって話なんだけどね。


でも、流石に、それは正直に言えないからなぁ。


此処は、なんて言って切り抜けたもんかな?



「それは基本的に私が男っぽい性格をしてるからじゃないかなぁ?私、あんまり女の子っぽくないしね」

「えっ?そんな事ないよ。眞子ちゃん、凄く女の子っぽいよ。僕なんかより、ズッと可愛いし」

「そうかなぁ?……あぁ、まぁ良いや。そんな話より、先に風呂に行こ。これ以上、此処で長話を続けてたら、余計に皆さんを待たせる事に成っちゃうからね」

「えっ?……あぁ、うん。僕、また知らず知らずの内に長話しちゃったね」


あぁっと、誤魔化す為とは言え、急に切り替えすぎたかなぁ?

どうやら素直ちゃんが、まだ上手く対応出来てない様な雰囲気だし。


こんな感じになっちゃったけど大丈夫かな?

それに、さっきの話上手く誤魔化せたかな?


……まぁ良いっか。

やってしまった事をイチイチ振り返って、此処で更に言い訳臭い事を言った方がなにかと面倒な事に成りそうだしね。


なら、このままサラッと流しちゃっても、特に問題無いか。

私が、そういう生き物だと認識してもらっても悪くないしね。


ほらね。

私、こう言う所が、いい加減でしょ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>


なんか余計な会話ばかりしてましたが。

なんとか当初の目的である「素直ちゃんをお風呂に誘うこと」だけは成功したみたいですね(笑)


まぁ、眞子がこの調子なんで。

お風呂に一緒に入りながら話す会話で、素直ちゃんを説得する事が出来るのかどうか不安な所ではあるんですが……


さてさて、そんな感じではあるのですが。

次回は、その辺を書いていこうと思いますので。

良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


……脱線しなきゃいいけど。

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