1097 マゾ女とドS糞女
眞子争奪戦の為に、今まで在籍して居た全米屈指のバンド【Kimera】を脱退までしたミラーさん。
果たして【薬物問題以外】では、どの様な脱退理由があったのか?
***
「よぉよぉ、あんたの眞子に対する気持ちは良く解ったけどよぉ。良くもまぁ、そんなに気持ち良く踏ん切りが付いたもんだな」
「あぁ、ある事が有ったから、そんなものなら簡単に決心は付いたよ」
「ある事?ほぉ。そりゃあ、一体なんなんだよ?」
「ステラが『こんな糞バンドに、いつまで居る気なんですか?』って、あたしをバンドにスカウトして来たからさ。この言葉を聞いた瞬間、一瞬にして、アイツ等と決別する決心が付いたね」
「へっ?ステラ?なんでまた、そんなステラ一言が切欠になるんだよ?」
なんのこっちゃ?
「そりゃあ、その一言を聞けば十分切欠になるさ。実際、この口の悪い糞アマは余計な減らず口ばっかり叩くが、ギター腕前だけは確かだ。それにムカツク位に向上心も高い。そこにあたしのドラムと、鞍馬のベースを付け加えて、誰かスゲェボーカルを探せば。奈緒が率いる【奈緒グリ】を吹き飛ばす程の威力があるバンドに成る筈。……あたしには、そう言う確信があったからこそ、あの薬物塗れの糞バンドを見切りをつけたまでの話さね」
なんて女だ。
自分の約束された人生を投げ打ってまで。
成功するかも、どうかも明確じゃない眞子や、ステラの実力に賭けるって言うのか?
失敗する事を全くと言って良い程恐れてないなんざ、ぶっ飛んだ性格をしてやがるなぁ。
世の中には、本当の意味で訳の解らん奴が居たもんだな。
けど……これはこれで、かなり格好良いな。
この『厨二臭く』も『無駄に熱い発想』……オィちゃんも嫌いじゃないぞ。
オィちゃん、この姉ちゃんの事、違う意味だが好きかも知れねぇ。
「そっか、そっか。アンタが、そこまで自分で言うなら間違いねぇんだろうな」
「まぁね。まぁそうは言っても、これは大きな博打だけどね。鞍馬争奪戦に参戦したからと言っても、100%鞍馬を得れる訳じゃない。その問題は解決してないからね」
「でもアンタは、自分の意思に賭けると」
「当然。それに例え失敗したとしても、別に一生遊んで暮らせるぐらいの金なら有るからね。ダメならダメで、また別のバンドを探すの悪くないさ」
あぁそっか。
この姉ちゃんは【Kimera】での活動中にガッポリと儲けた金が有るから、金銭的には、かなり余裕が有るんだな。
そりゃあ、これ以上ないぐらいのスゲェ強みだわ。
なにをするにしても、金がある事は大きなマージンにも成るしな。
「潔の良い奴だな」
「まぁね。人生楽しんだ者勝ちってね」
「まぁ、平たく言えば、この方は酷いド低脳っと言う事ですね」
ブッ!!
オイオイ、ステラ、なんで此処に来て、そんな酷い事を言ってやるんだよ?
この姉ちゃんの生き様は、滅茶苦茶格好良いじゃんかよ。
ロックだよロック。
まさに自身のロックな生き方を再現した生き方じゃねぇかよ。
つぅか、ミュージシャンなら、かく有るべきだろうに。
「アンタねぇ。人を誘って置いて、それ?」
「当たり前じゃないですか。あんな戯言に惑わされて、私に付き合うなんてド低脳としか言い様がない所業なんじゃないですか?……だからアナタは、正真正銘、頭がおかしいと言っただけなんですが……そこ、解ってますか?」
酷ぇ。
いやまぁ世間から見れば、確かにこの姉ちゃんの発想はぶっ飛んではいるんだが。
それに対してド低脳とか、頭がおかしいって言うのは少々言い過ぎな様な気がするんだが……
悪口をブチかますにして、もう少し良い方ってもんがあるんじゃねぇの?
「フン。如何にも余裕の無い貧乏人が言いそうな言葉だね。あたしには有り余る金が有るから、そんな貧相な発想にはならないの。あたしは自分勝手に生きて良い人種なのよ。貧乏人のアンタと一緒にするな」
「フン、転落する人間の典型的なパターンですね。まぁ、負け犬根性を身に付けてらっしゃるアナタなら、どんな所でも生きていけそうですけどね」
「この糞アマだけは……」
なんだ、なんだ?
この様子だとステラの奴、姉ちゃんを自分のバンドに誘ったくせに、実はなんかスゲェ仲が悪いのか?
まぁ、少々険悪な仲なのかもしれないが、仲間割れをするのだけは良く無いぞ。
「フン。まぁ良いさ。この糞アマの腕は、あたしが認めている所だ。ダメならダメで、アンタとゴチャゴチャ言いながらでも、バンドを続けるのも悪くないさ」
「とんだマゾ女ですね」
「なんとでも言え、このドSの糞アマ」
仲が悪い訳でもねぇみてぇだな。
それにこの姉ちゃん、なんかステラの事を良く解ってくれてるじゃねぇか。
ホント、コイツは、口が人の1000倍以上に悪いけど、心がスゲェ熱くて綺麗な奴だからな。
実際の話で言えば、多分『薬物の話』を懸念して、ステラも。この姉ちゃんをバンドに誘ったんだろうしな。
ステラには、隠れたそう言う部分が有るから、心の底から信用しても良い相手だと思うしな。
「あぁ、それはそうと真琴。このマゾ女の事は放って置くとしても。鞍馬が居ない間に少し話を聞いて貰っても良いですか?」
なんじゃ?
ステラの奴、先程とは打って変わって、やけに真面目な顔をしてやがるんだが。
眞子の事で俺に聞いて欲しい話って、一体、なんなんだろうな?
まぁ、それがなんにせよ、ステラからの相談なら幾らでも乗るけどよ。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>
ミラーさん、この様子じゃあ、相当【Kimera】のメンバーにはウンザリしてたんでしょうね。
じゃなきゃ、ステラさんのたった一言だけで、人気絶頂のバンドを普通は辞めたりしませんもんね。
ですが、そう言う世間一般的な考えがある反面。
その声を掛けに来たのが文化祭で共演したステラさんだったからこそ、踏ん切りがついたのかもしれませんがね。
彼女の腕前も、意志の強さも、ミラーさん自身も良く知ってた筈ですし♪
まぁ、出会った当初はメッチャ揉めてましたけどね(笑)
さてさて、そんな中。
今度は、何やらステラさんの方から、倉津君に話しておきたい事がある様子。
一体、彼女は何を口にするのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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