1096 ミラーさんが争奪戦に賭ける理由
真菜ちゃんと会う事を前提にはしていたものの。
ステラさんとミラーさんの本命は『眞子争奪戦』の方だった。
そして、その会話の中で、ミラーさんが今まで在籍していたバンド(Kimera)を辞めてまで、この争奪戦に掛けているっと言う話をされるのだが……倉津君は、いまいちピンと来ておらず。
***
「そのボケた顔。ヤッパリ、なにも解ってなかった様ですね。ミラーは、元【Kimera】のドラマーですよ」
「はっ?……はい?オイオイ、あんま馬鹿な事を言ってんじゃねぇぞ。【Kimera】って言やぁ、全米で【奈緒グリ】に次ぐモンスターバンドなんだろ。そんなバンドの奴が、眞子と一緒にやりたいからって、普通は、そのバンドを辞めたりしねぇだろ。有り得ねぇつぅの」
もし事実なら、なにを考えとるんじゃ?
「情けない認識ですね。それに相変わらず、見解も浅い。呆れるしかありませんね」
「なんでだよ?そんなもん、普通に考えても正気の沙汰じゃねぇだろうに。もしそれが本当なら、この姉ちゃん、かなり頭がイカレテるぞ」
もしステラの言う事が事実なら。
このドラムの姉ちゃん、正真正銘のパッパラパーじゃねぇのか?
大体にしてよぉ。
あんなに全米で大成功してるバンドに、なんの不満が有って、そんな無謀な真似をする必要があるんだよ?
それこそ意味が解んねぇし。
「あんな事を言われてますが。ミラー、どうなんですか?」
「うん?あぁ、言いたい奴には、言わせて置けば良いんじゃないの?大体にして『【奈緒グリ】に次ぐモンスターバンド』ってのが、どうにも気に入らないねぇ。あたしは、常に一番になりたい女なんだ」
「イヤイヤイヤイヤ、ちょっと待てアンタ。例え、眞子が一緒にやったからって、確実に一番に成れる訳じゃねぇだろうに。だったらよぉ。今のバンドのままで頑張った方が、その一番とやらに成れる可能性が高いんじゃねぇのか?」
「クダラナイね。実にクダラナイ意見だね。大体、今まで一番に成れずに燻ってる連中が、どうやって今更一番に成れるって言うんだい?なら、そんなもんに、なんの価値が有る?儲け主義に汚染されたバンドなんてのにはね。あたしは興味はないの。それなら、いっそうの事、一番に成れる可能性に賭けるのがミュージシャンってもんでしょうに」
ホント、なに言っとんじゃコイツは?
頭のエンジンがブローして、おかしくなってんじゃねぇの?
お脳のお医者さんか、オートバックスに行って脳味噌を修理して貰うか。
中国で処方された【怪しげな七色のお薬】を貰って来た方が良いんじゃねぇのか?
「ちょっと待てよ。【Kimera】は十分に良いバンドじゃんかよ。なんの不満が有るんだよ」
「不満?不満なんて、全部が全部不満だらけに決まってるでしょう。いつまでも進歩の無い、同じ力量で満足してる様な連中なんかじゃ、あたしにとっちゃあストレスにしかならない。あたしには、そんなショボイメンバーなんて必要ない。向上心が無い奴なんて死んじまえ。FUCKだよFUCK」
「いや、だとしてもよぉ。メンバーのヤル気を取り戻させりゃ良いじゃんかよ」
「お断りだね。なんで、あたしが、ワザワザそんな子守みたいな真似までしなきゃならないんだい?今のアイツ等に対して、そんな気持ちは毛頭ない。勝手に死ね」
うわっ!!
眞子の件からして仲間意識が高いのかと思ってたけど、意外と冷てぇんだな。
こりゃあ、思わぬ展開だったな。
いやでも、状況を見た感じじゃ、この姉ちゃんの嫌い様は少し尋常じゃないな。
ひょっとして、別に何か理由があったりするのかの?
「イヤイヤイヤイヤ、そうは言うけどよぉ。今まで一緒に頑張ってきた仲間なんじゃねぇのかよ?」
「ハン!!頑張って来たねぇ。……じゃあ聞くけど、アンタの言うその頑張りってのは、あたしにオンブに抱っこって事かい?もぉそう言うのは、いい加減ウンザリなのよ」
なるほどなぁ。
「そっかぁ」
「それに、あの馬鹿共は、あたしに隠れて、あたしの大嫌いなドラッグをやりやがった。これじゃあ、尚更、救う気にも成れない。アイツ等は、ただのクズ。【Kimera】なんて、さっさと、この世から消えちまえ」
あぁ……この姉ちゃんが此処まで元のバンドメンバーを嫌う理由は【芸能界お得意の薬物汚染問題】だったのかぁ。
何処の国でもそうなんだが、薬物に手を染める芸能人って言うのは、今まで持った事の無い様な大金が変に舞い込んで来ちまったもんだから、そう言う困った物に、ついつい手を出しちまうケースが多いからなぁ。
けど、そりゃあ確かに、そんな連中が自分のバンドメンバーだったら嫌だわな。
まぁただ、あれやると、過度のプレッシャーから逃れられるらしいとも言うからなぁ。
多大なプレッシャーの中に居る芸能人なら、ついその誘惑に負けちまうって心境が全く分からねぇって訳でもないんだよな。
あぁ、因みになんだがな、うちの組は【薬物はご法度】だから、ヤクの売買はしてねぇぞ。
っとまぁ、それはさておきだ。
幾らバンドのメンバーがそう言う状態にあったとしてもだな。
矢張り、それを捨ててまで眞子に賭けると言うのは少々無謀な様な気がする。
だから俺としては、そいつ等を全員バンドからクビにして、名前の売れてる【Kimera】をアンタが継続した方が良いんじゃねぇの?なんて思ってしまうんだよな。
その方が、一番に成れる可能性が高い様な気がするんだが……
これは気のせいなのだろうか?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>
今回のお話は、少々芸能界……っと言うか。
世間の闇の部分でもある【薬物問題】を取り入れてみたのですが。
薬に手を出す大半の人間は、基本的に心が弱い部分や、誘惑に勝てない、なんて人が多く。
最初は、ほんの些細な出来心から、依存症に成って行く人が多いんですね。
……っで、実際『辞めれるか?』と尋ねられたら。
恐らくは、90%ぐらいの人が、その依存症を治す事は無理だと思われます。
それ故にミラーさんは、彼等と縁を切って、新たなる旅立ちを目指してる訳なんですね。
さてさて、そんな中。
倉津君としては、逆に他の【Kimera】のメンバーを切って、ミラーさんがその名前を継いだ方が効率が良いんじゃないかと思ってる様なのですが、その思考がどう言う方向に転がるのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます