1093 その場に取り残された倉津君

 三人での食後。

真菜ちゃんの作った料理が明らかに多かった眞子の姿を見て『無理すんなよ』とか気遣いしながらも。

実の妹である真菜ちゃんの対しては『真菜はよく食うしな』とかデリカシーの欠片もない言葉を連発してしまった倉津君には……


***


 ―――サイド真琴。


いやいやいやいや、あの眞子の馬鹿チン。

ナンダカンダと俺に難癖付けた上に、3人分の洗い物を押し付けて、真菜2人で、素早くどっかに出かけて行っちまいやがったよ。


いやいやなんで俺が、あんな程度の事だけで、アイツ等の飯の後片付けまでせにゃ成らんのだ?


こんな理不尽かつ不条理な話が有るか?


いや、まぁそりゃあな。

言うなれば、確かに、さっきの俺が吐いたセリフには『女性に対するデリカシーの欠片』ってもんが、完全に欠如していた発言なのかも知れんがだな。

けどよぉ、それは何処まで行っても一般的な女性に対しての話であって、正真正銘の兄妹である俺と真菜はそこの枠から除外されねぇか?

大体にしてだな、言いたい事が有ったら、ある程度は包み隠さずに言い合うのが家族や兄妹ってもんじゃねぇのか?

体裁を繕って言葉を発するのは、他人と接触してる時だけで良いんじゃねぇの?


だからよぉ、眞子の言ってたデリカシーの話って、実は、なんかかなりズレてねぇか?

それにアイツ……ちょっと真菜の事を過保護に猫可愛がりし過ぎてる様な気がしないでもないんだが……


……まぁまぁ、そうは言ってもだな。

今のアイツの心境としては、まさか真菜に自分の事を『姉』だなんて読んで貰えなんて微塵も思ってもみなかった筈だから。

そう言ってくれた『真菜の事が可愛くて仕方が無い』って心境に成っても、おかしくはないのかも知れないな。


それになにより、俺と真菜が本当の兄妹とは言え。

所詮は性別の違う男と女である以上、考え方に大きな誤差が生じるのも否めない話だからこそ、何も言わずに真菜も、眞子について行ったのかもしれん。


女の事情は、男にゃよぉ解らん事が沢山あるからな。

その辺を考慮すりゃ、眞子が俺に腹を立てるのも……有りなのかも知れねぇな。


まぁ序に言っちまえば。

今回の出て行った件に関しても。

ファッション好きな眞子にくっ付いてりゃ、真菜の、あの酷い服のセンスの無さも、ちょっとは解消されるかも知れんしな。


だったら、これはある意味、良い機会に成ったのかも知れん。


そう考えりゃあ、今回の一件も、洗い物を押し付けられたとは言え、悪い事バッカリでもねぇな。

妹が、他人から良く見て貰えるのを嫌な気分になる兄貴なんてものはこの世に存在しねぇ筈だしな。


まぁ勿論、そうはいってもだ。


……真菜が彼氏を作るなんて真似は、まだまだ許さねぇけどな。


アイツに手を出した奴は即刻死刑だ。

いや、手を出そうとした時点で死刑だ。


***


 ……等と、自分勝手に事と、眞子に対する適当な文句を頭で思い描きつつ、食べ終わったラーメンの器を台所に持って行き。

洗い場にに置いてある水桶の中に、チャポンっと浸しておく。


取り敢えずは、こうしてさえ置けば。

恐らくは、わざわざ俺が洗わなくても、食器に気付いた組員か誰かが、その内、勝手に洗ってくれるだろうしよ。


……なんて、一瞬思っては見たんだけどな。

此処で誰かに変に期待せず『折角、炊事場までわざわざ食器を運んで来たんだから、自分でササッと洗っちまッた方が早いんじゃねぇか?』なんて疑問が、突然頭の中に湧く。


だってな。

どうせ今、部屋に戻った所で、まだ誰も来てない訳だし、この時間から此処に誰かが来るとは思えんしな。


要するに、此処で慌てて部屋に戻った所で暇な訳だ。


それになによりだ。

誰かが気付くまで、いつまでもラーメンの器が水に浸されてるのも、どうかと思うしな。

つぅか、こんなもんを洗う位1分と掛かんねぇんだから、さっさと洗っちまった方が良いよな。


なにを想っての事かは解らないが。

突然、そんな思考が不意に頭を過ったので、何気なくジャブジャブって器を洗って、食器を水屋になおしてみた。


なんか、こんな当たり前の単純な作業をしただけなのにも関わらず、思った以上にスッキリとした気分に成ったな。


……まぁ、そうやって食器を洗い終わってからはだな。

そのままのんびり部屋に戻ってからも、別に、これと言ってする事がなかったので。

何気に教科書を広げて、さっき眞子に習った所を30分程復習してみたんだがな。


これがまた、不思議と良い感じで暗記物が頭の中に入っていくんだよ。


……って言うのもな。

こうやって暇潰しに勉強するってのは、誰かに強制されてるって訳じゃないだろ。


だからって訳じゃねぇんだろうけどよぉ。

強制力がなく、何も考えてない分、意外と暗記するものがスルスルと頭に入って来るんだよな。


これが俗に言う『リラックス効果』って奴か?


もしそれが事実なら、ちょっと感心だな。

そしてこれは、意外にも使える勉強方法なんじゃないかと勝手に思い始めていた。


***


 ……っでまぁ、そんな風にチンタラとした感じのまま、コタツに入りながら30分程勉強をしてたんだがな。


今のところ、眞子も真菜も家に帰ってくる様子はない。


でもな。

アイツ等がそんな感じなのに反して……この会の集合場所であるうちの家では、こんな事が起こったんだよ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>


なんか、怒られたくせに、倉津君は相変わらずの様ですね(笑)

っでまぁ、そんな中にあって。

極々当たり前の行動の中で、ちょっとした気分のリフレッシュ方法を体得したみたいなのですが。

人間って単純な生き物なので、意外とこう言ったしょうも値い事でメンタルが強化される事もありますので、良かったら皆さんもお試しください(笑)


さてさて、それはそれとして。

なにやら倉津家に中で、なにかが起こった様な様子で、今回の話が終わったのですが。


一体、なにが起こったのか?


次回は、その辺について書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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