カクヨム吹奏楽小説読歩記(よみあるき)

２ まさじろ('ぅ')P「君がため、春の野に出でてラッパ吹く♪」

五十一話（2024年8月10日時点）　連載中　290,318文字

公開　2023/07/31

現代ドラマ

長編

　ある高校の吹奏楽部に主人公(男子)が入部し、中学時代からのガールフレンド(？)とトランペットパートに入って吹部生活を立ち上げていくところから話がスタート。

　部としては底辺でも強豪でもない、一応県での金賞を狙えるぐらいの、そこそこやりがいのあるレベル。パートの先輩はナイスガイばかりだし、あまり波風が立たない日常をそこそこのリアル路線で描くのかな、と思いきや、序盤が終わった辺りから次第に複雑な人間模様を呈してきて、しかしなかなか熱のこもったテーマも立ち上がってきます。ひとことでいえば、「最高の音楽作りを模索していく部活青春譚」という、ちょっとありきたりな括りになってしまうのでしょうが、作者のまさじろ('ぅ')Pさんはプロデュース関係のお仕事ということで、話の持って行き方にも色々と具体的かつユニークなものが感じられます。

　キャッチにも載っている「魅せる吹奏楽」とはどういうものか。その目標のために、これから主人公たちが乗り越えていく試練とはどういうものか。四十話越えの時点ではまだ一年生の秋で、話は依然始まったばかりという印象。今後の展開が楽しみです。

　ところで、このストーリーは音楽青春ものというのと同じぐらい、恋愛要素も強い作品です。前述の「ガールフレンド(？)」というのが、話の上でちょっとした謎要素になっていて、どうも主人公は彼女と中学時代に色々あった様子。ネタバレは避けますが、この二人、何なんだろね、これからどうなるんだろうね、というのも、なかなかの引っ張り要素です（まあタイトルからしてもそういう話だということは明らかなんですが）。

　一方で、主人公は四十四話時点で複数の女性部員ともまんざらでもない間柄になっていて、本人的にはブレてはいないつもりのようなんですけれど、そのうち修羅場になるんではないかとの期待……失礼、心配も積もる一方。まあ、そういう路線ではないとはわかってますけれど、これって実質ハーレムなんでは、と絵面的には疑ってしまいます。これでこれから二年生になって、いい仲の後輩なんかが増えたら、いったい……。

→　「君がため、春の野に出でてラッパ吹く♪」https://kakuyomu.jp/works/16817330661246893560

ポイント分析

　　今どきの吹部生活のリアルさ　***

　　高校吹部あるあるなトラブル描写　****

　　コメディ度　****

　　アダルト要素はなし、でもドキッとする場面はたまに　**

　　ヒロインのユニークさ　****

　　ドロドロ要素　ほぼなし(2024年2月時点)