第6話

地下への狭い階段を降りて行くと、驚くほど大きなスペースに出た。

幾つかのお店が並んでいるのか、たくさんの入口があるひとつのお店なのかわからない。

その両開きのドアは分厚くてまるで映画館かコンサートホールのようだった。

「ここどこなの?」

「気に入ると思うよ、ついておいで。」そう言ってダイチが重たそうなドアを開けた。

開かれたドアの向こうは薄暗くて、目が慣れるまで何が起こっているのか良く分からなかった。

小さな部屋がいくつもあって、金色や銀色のシルクみたいな薄いカーテンがゆらゆら揺れていた。

それにやけに煙たい。異国の香水の匂いも入り混じって気分が悪くなりそうだ。

「繭みたい。」そう言うとダイチが振り返って薄笑いを浮かべた。

「やってることはみんな同じだよ。」

繭の中では数名のあらゆる人々が欲望を貪っていた。それは数人であったり、同性のペアであったり、様々な欲望の形があった。

「私、苦手かも、こうゆうとこ。」

「そんなこと言わずに、さあ、いつもより気持ちよくなろう。」

ダイチは私にキスをした。絡み合う舌の中に何か異物を感じた。

「なにかのませたの?」

そういうとダイチは私を愛撫しながら「ほんとのエクスタシーを教えてあげる。」と言った。

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