第2話
Scene 1
朝早く目覚めてしまった日曜日は最悪だ。
天井を眺めていると、私の体だけがアパートのドアを開け、階段を降りて行く。
本当は反対なのかもしれない。心だけが活動していて体が置き去りというべきか。するすると勝手に出て行ったどちらかが少しの間をおいて戻って来てくれた。
統合完了。ひとりつぶやき、苦笑いをした。
1kの部屋にチャイムが鳴り響く。
「居るんだろ、開けるぞ。」
ステディに付き合っている彼の声だ。
うーん、と伸びをしてベットから降りる。
「また、寝てたな。」
彼は私の髪をおおきな手で撫でてくれる。
「はい、好物のお土産。」
甘酸っぱいグレープフルーツの匂いが立ち込める。
「俺の好物も。」
グレープフルーツがフローリングに転がる。
どこかでバスの開閉音の甲高い音が鳴っている。
私は彼に身を委ねながら、前世は男だったのか、女だったのか思案を巡らせていた。
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