第39話 結婚したい義妹

 事件後、ホテルへ戻った。

 三鷹さんが出迎えてくれ、話しがあるということで俺の部屋に招いた。


「で、なんだい?」

「実は事件も落ち着いたので、邸宅へ戻れるかもしれないと旦那様がおっしゃっておりました」


「なるほどね」


 確かに、ほとんどの事件は解決した。

 もう危険な人物が迫ってくることもないのかもしれない。


「今後はセキュリティを強化するとおっしゃっていました」


 だよなぁ。あの家はセキュリティが甘すぎた。

 人の出入りが自由に出来過ぎたのだ。


「じゃあ、強化するまで?」

「そうですね。邸宅の修繕とセキュリティ強化が終わり次第、帰宅できるかと思います」


 父上のことだ。もう進めているんだろうな。

 意外とホテル暮らしも長くないかもしれない。


「分かったよ。ありがとう」

「いえいえ」


 三鷹さんは自分の部屋へ戻った。


「ねえ、お兄ちゃん。家に戻れるのかな」

「近い内にそうなるかもな。言われてみれば、凍夜の件とか今回の西東兄妹の件も終わった。これ以上はないだろう」


「そう思いたいな」


 そうだ。これ以上は俺や父上に恨みを持つやつなんていないはず。身に覚えがないし。

 けどまあ、詩乃のことを考えれば、しばらくはホテル暮らしの方がいいかもしれないな。



 ◆



 最近の詩乃は、なんだか甘えん坊だ。

 ベッドでゆっくりしていると、べったりくっついてくる。



「詩乃、大胆だな……」

「お兄ちゃんと添い寝するの幸せなんだもーん」


 スリスリと猫のようにすり寄ってくる詩乃。まったく可愛すぎて敵わん。

 こうされると構わずにはいられない。


 俺は詩乃を抱きしめた。

 こうしても詩乃は怒らない。


「……可愛い妹だな、お前は」

「ありがと」


 次第に詩乃は小さな声で「好き」と囁いていた。

 その言葉を俺は聞き逃さなかった。


「詩乃……」

「あのね、お兄ちゃん」

「ん?」


「学校とても楽しい。お兄ちゃんといるのも楽しい。ずっとこうだといいな」

「ああ、任せろ。詩乃のことは守る」

「嬉しい」


 ぎゅ~と抱きついてくる詩乃を俺は受け止めた。

 こうしているだけで幸せだ――。



 今夜も一緒にお風呂に入って洗いっ子した。それ以上の進展はないけれど、十分すぎる。



 そうして夜も更けて……気づけば朝。

 今日は金曜日だから、一日がんばれば久しぶりの休日。

 休みなれば、詩乃をどこかへ連れて行きたいな。


 そんな詩乃は、最近は俺のベッドで眠り――気づけば下着姿になっていた。どうしてそうなる……!?


 おかげで目の保養には最高に良い。

 けど、逆に刺激的でもある。


 朝から詩乃の体を見ると、こう……いろいろと大変だ。


 煩悩を打ち払い、俺は学校へ行く準備を進めた。


 しかし。



「!?」

「おにいちゃーん……」


「詩乃! な、なにを!」


「しちゃおっか~」



 寝惚けているのか、俺のズボンを下ろそうとする。まてまて、寝惚けすぎだろう!


「一応聞くが、な、なにを?」

「けっこん」

「へ」


「けっこんしよぉ~」


 やっぱり寝ぼけているな、コレ。

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