第18話 えっちすぎる義妹
腰にタオルだけ巻いて俺は先に大浴場へ。
父上の趣味で温泉施設並の景観となっている。
一人で使うには広すぎるな。
バスチェアに腰掛け、俺は幸来を待った。
「……ふぅ」
さすがに緊張するな。
ドキドキしながら待っていると、幸来の気配が背後に。
「お待たせしました、お兄さん」
「幸来……」
鏡越しに幸来の姿を捉えた。
バスタオルで身を包み、恥ずかしそうにしている。よく考えれば現役の女子高生、なんだよな。
白い肌がまぶしく見えた。
やがて幸来は俺の背後で腰を下ろす。
「……」
「だ、大丈夫か?」
「はい。すごく緊張していますけど……がんばります」
幸来はまず、ボディソープを手に取ったらしい。ぽんぽんと容器の頭を押して中身を取り出す。
そして、ボディソープを俺の背中に塗りたくってきた。
「………………ッ!」
細い指が俺の背中を擦る。
な、なんだか、くすぐったい。
「あ、あの……ごめんなさい」
「違うんだ。予想以上に気持ち良くて……」
「よ、良かったです」
俺の背中を拭いて洗ってくれる幸来。震えて不器用ながらも必死だ。
なんて健気。
天国な気分だった。
義妹にこんな風にしてもらえるなんて、夢のようだ。
幸せを噛みしめていると、幸来は背中を洗い流してくれた。
これで終わりかと思った。
だが。
「………………!」
背中がゾクッとした。
感じたことのない快感に俺は鼻血が出そうになった。
な、なんだ今のは。
すごく気持ち良かった。
「……お兄さんの背中……舐めてます」
「な……幸来。そ、それは……」
「だ、大丈夫です。背中ですから」
とはいえ、これはあまりに……危険だ。主に下半身的な意味で!
「だけど……いいのか。俺の背中なんて」
「いいんです。あたし、お礼をしたいから」
「じゅ、十分すぎるけど」
「足りないくらいです。だって、あたしは本当だったら死んでいたかもしれないので……。だから、お兄さんは命の恩人なんです」
続けて俺の背中をペロペロする幸来。その行為に愛を感じ、俺は泣きそうになった。
同時に、正面も希望したい願望に駆られた。
だが、それを俺から要求するのはちょっと違う。
もし強いてしまえば嫌われるかも。だから今はこのバランスが丁度良いんだ。
「俺は死んでほしくなかったんだ」
「そういえば、詩乃ちゃんも助けたって聞きました」
「ああ、旅をしている時に東尋坊で詩乃を見つけた」
「凄い偶然ですね」
「彼女は、家も家族も失って絶望していたんだ」
「……そんな」
「飛び降りたところが海だった。だから助けられたよ」
いろんな偶然が重なり、俺は詩乃を救出できた。今はこの家で義妹として迎えているわけだ。
「そうだったんですね。それで、あたしも」
「詩乃を助けてから俺は思ったんだよ。逃げてもいいけど、死ぬのはダメだ。そう、どうせなら逃げてしまえばいい。選択肢はいくらでもあるんだからね」
「お兄さんは、大人ですね。でも、女子高生はいろいろ悩んじゃうんです」
「難しいな。全員を救えないし」
全ての人を救うことはできない。それが現実だ。
だから目の前の女子高生くらいは救う。
俺に出来ることはそれが精一杯だ。
「そうですよね。あたしは嬉しかったです。だから――」
幸来はそのまま抱きついてきた。
これは想定外だった。
柔らかい肌が完全に密着し、俺は逆上せてぶっ倒れそうになった。こ、これは、えっちすぎる。
だが、必死に耐えた。
「……さ、幸来。刺激が強すぎる」
「このまま……します?」
「え?」
「や、やっぱり、なんでもないです!」
幸来は慌てて立ち上がる。
赤面して脱衣所へ戻ってしまった。
な、なんだったんだ……?
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