ありがとう。おにいちゃん

柴*エビ

理想の僕になるために

僕はずっと優等生になりたかった。

でも、それの願いは叶うことはなかった。


なぜなら僕には僕より優秀な双子の兄がいたからだ。家族や周りの人々は兄を優等生と呼び、僕のことは双子の搾りカスと呼ぶ。


もう、嫌だった。


でもそんな日常とはもうおさらばだ。


あの時から、みんな僕のことを「優等生」と呼ぶ。兄ではなく僕のことを。

あぁ、なんていい気分なんだろう。


以前はできなかったことがスラスラできる。ピアノも、料理も、勉強も。

兄ができたものは全部できるようになった。


あの日、僕は神にねだった。「兄の才能が欲しい」と。

神はつるぎをくれた。


それで兄を殺した時から僕の人生は変わった。世界は兄の存在を忘れたのかのように回っている。


ありがとうお兄ちゃん。あなたのおかげで僕は今、幸せです。


もう僕を双子の搾りカスだなんて言わせない。

僕には、頼りになる優等生の兄がついているのだから。

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