短編「独歩ノ本願」(完)

不可世

一話完結

シンとした

ロンリーナイト

予定はない

でも自由とも言えない

そんな落ち気味で

ブラッキーな冷徹な刻限


ただ余暇に浸っても

虚しさを覚えるから

毒素を吸って

意識を紛らわす


でもこんなミスリードで

でたらめな人生くらいが

俺にとっての天下


所詮、努力や理想像なんて

ただのへったくれで

自己満足に過ぎない


俺は幸せに入れあげてはいない

だから落ちた程度でも

不平を吐くほどではない


せいぜい

惰性と諦めを抱いて

果てていくさ


社会性も無用

関係性も無用


お膳立てなんて

善義はいらない


このシケた生活こそが

唯一無二のラプソディーをくれる


下手な子芝居で

時間を潰すのもごめんだ

俺が中心に構えるのは

いつだって家族より自分だ


そうやって嫌われて生きる方が

誰も心配させない

むしろ憎まれたほうが

束縛されない


だから俺は絶望を迎え入れる

そうして何事にも染められない

漆黒になって


一生毒牙を誓う


そして

この独歩が毒をも制した時


俺は正しかったと

華々しく死ねると思うんだ。

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