第54話 続下位ダンジョン・6


 現在ダンジョンボスエリア扉前、ボクは今扉の調査中です。


 ・・・ギミックは無しっと、と言う事は15階層のギミックから移動になるのかな?


 しっかし、遠見からの視線が気になるなあ、まぁあれだけ派手にやれば気付かれて当たり前だけれど、どのパーティーも距離を取って近付いてこないか。


 襲撃ぐらいは予想していたけれど、思ったより慎重だな。


 偽装して襲いやすくしてあげてるのだけれど、意気地無し!


 まぁ偽装で見せている情報が胡散臭いのはボクとしての優しさだから、看破出来たら大したものさ! さあボス退治、ボス退治っと!



~とある冒険者パーティーSide~


「ねぇ、アンタちょっと声かけてきなさいよ」


「嫌だよ! おっかねぇだろう! お前が行けよ!」


「あん? おまえ? 誰にそんな大層な口きいているのよ?」


「・・・すみません(怯え)」


「2人ともバカな事言ってないで周囲の警戒をしていてくれ、オレは彼等を警戒するだけで手一杯なんだ!」


「「ハーイ」」


「余裕だなお前等」


「実際に近付かなければ問題無いでしょう、他のパーティーを遠巻きで観察に徹しているし、大木を消し去るような連中よ、しかも4人パーティーって少数で、きっとあたし達と違ってAかBランクの冒険者パーティーが気まぐれで探索しているのでしょ。

 迂闊に近寄らない方が身のためよ、ボスエリアに入ったのを確認したらおこぼれが無いかあそこに行ってみましょう」


「お嬢は達観しているなぁ、俺なんかあの魔法だけでチビリそうになったのに」


「え! きったないわねえ! しばらく近付かないでよ!」


「ま、まだ漏らしてねえよ!」


「お前等いい加減にしろよ! 俺達が神経すり減らしてあの連中を警戒しているのに馬鹿話をして邪魔をするな! 思わず笑って集中が切れるだろう!」


「「「「は~い、すんません」」」」


「対象が安全圏内ボスエリアに移動した、大丈夫だ問題無い!」


「「「「「ふう!」」」」」


「緊張したな、流石に」


「実力に差がありすぎるからね、たまに気晴らしなのか、調整なのか知らないけれど困るのよね、実力者がこんな下位ダンジョンをウロウロされると、もうこのダンジョンなんて調べ尽くされているはずだから、あたし達のような低ランクのパーティー以外は価値が無いでしょうにまったくいい迷惑よ!」


「でもよお、大木が破壊出来るなんて俺知らなかったぜ?」


「「「「「・・・」」」」」


「ちょっとあそこ調べてみようぜ、意外に何かお宝があるかもよ?」


「!、おい他の連中も移動し始めているぞ」


「なっ! 急ぎましょう! 横取りされるわよ! ほら急いで!」


「「「「「へ~い」」」」」


 こうして複数のパーティーが牽制し合いながら現場を調査し、冒険者ギルドへ報告料と評価を得るために競争するように走って行った。




 ボク達がいなくなった後にそんな事が起きているなどまったく知りもしなかったが、ダンジョンボスエリアに入ったボクはそれどころでは無かった。


 〈条件を満たしました、守護者の変更を致します〉


 Why? 守護者? あっ! ダンジョンボスが触手に拘束された、コボルトの強化版と思えるダンジョンボスが真っ黒な触手に絡め取られて浸食されて行く。


 助けを求めるようにこちらに手を差し伸べているが・・・ぶっちゃけボクには関係ないし、他所様の性癖をとやかく言う気は無いので、「ご自由に」とボディランゲージで伝えると絶望したような眼でこちらを見ているダンジョンボスが印象的だった。


 ダンジョンボスが触手に絡め取られ蹂躙される事1分程で変化が起こる。


 絡め取っていた触手が突如輝き始める! 輝く触手は次第に変化し包帯のような羽衣のような形状となりまるで繭のような形状となる。


 ・・・あれ? ボクこの形状を知っているぞ、おい嘘だろう! 発案者~! アンタ何を考えてるんだ~! これって日曜朝の変身モノから来ているだろう~!


 そして発案者は間違いない、この下位ダンジョン攻略者! 異世界人、カマモトメグミ! お前の趣味か~!


 叫ぶボクの声の先に、見知らぬ誰かがキメ顔をして浮かんでいる幻影を見た。


(きら~ん! てへ♡)


 そんな茶番をしている間にダンジョンボスの変身が終了した。


================


名前 ポチ子

Lv 20

種族 キマイラアルクネ(守護者)

性別 メス


筋力 C

体力 C

器用 C

速力 C

知力 D

魔力 D

幸運 F


スキル

〈種族スキル〉

・戦闘術(小) ・糸術 ・麻痺毒(中) ・眷族召喚

・機動術 ・特殊糸生成


================


 蜘蛛の下半身にコボルトの上半身と4つのオッパイ。


 複乳かな? あっ腕も4本あるね・・・しかも凄く機嫌が悪そう、もしかして助けを拒んだ事を怒っている。


 ・・・怒ってない? 無言で眷属を呼び出す魔方陣を発動させたよ! やっぱり怒ってたぁ!


 発動した魔方陣は4つ、呼ばれる眷属がダンジョンスパイダーの場合は40匹の手下が一斉に襲ってくる。


「マナ粒子ビーム4連射」


 額にマナクリスタルから発射された4つのビームが召喚の魔方陣を貫き破壊する!


 突然の事に動揺するキマイラアラクネだが、すぐさま動揺を抑えて別の攻撃へと移る。


 初動を妨害し次へと備える、キマイラアラクネは突如4本の手で4つの乳房を持ち上げるように掴む!


 突然の奇行に動きが止まってしまうと、その隙を待っていたかの様に乳房を揉むキマイラアラクネ!


 揉まれた乳房の乳首から勢い良く飛び出す白い物体をボクはすかさず躱す、そんなボクの移動先を先読みしながら、4つの乳房を巧みに使い分けて攻撃を繰り出すキマイラアラクネ。


 乳首から発射されている白い物体はどうやら粘着性の糸の様だ

 、キマイラアラクネも壁や天井などに移動しながら機動力を生かし粘着糸攻撃を繰り返している。


 向こうの狙いは何となく分かる、外れた粘着糸も効果は持続するのだろう、次第に移動出来る場所が制限されていくのはボクもシャイニスも分かっている。


 そして勝ち誇っているところゴメンネ、ボク等は空中でも移動出来るからあまり意味は無いの。


 うわっ! あっぶな! 攻撃方法がいきなり変わったよ、切り替えが早いなこのボスは、今度は粘着ネットに糸を切り替えてきた。


 結構多才だな、しかも出鱈目に攻撃しているように見せて彼方此方にトラップを仕掛けているし抜け目も無い。


 でもそろそろ仕切り直そうか『ブリザード』!


 発動と共にボスエリア全体が冷気で包まれる、氷結の風が荒れ狂う中、次第の粘着質の糸は凍り始めその機能を失っていく、ボク達はこの程度の寒さでも平気だが、密閉された-30度以下の空間で強風にさらされ続ければ只では済まないだろう。


 ボクとしては対抗して「ダブルブリザード」を実践しようと思ったが、オ〇パイを起点にする攻撃は威力が尋常では無い事があるので今回は見送る事にした。


 キマイラアラクネからの反撃に警戒しつつ強風の中を身構えていると、何かが砕ける音と悲鳴が聞こえたので魔法を解除する。


 ・・・どうやら天井に張り付いていたキマイラアラクネが凍結により脚が動かなくなり、天井に張り付いていられずに落下したもようだ、脚も8本中5本が砕け散っており、蜘蛛部位も一部凍結した所が砕けていた、流石は最強武器『地面』素晴らしい攻撃力だ。


 ・・・もはや虫の息のキマイラアラクネがボクを睨んでいるがアレはボクの所為じゃないよ多分・・・ゴメン半分ぐらいボクの所為だった。


 このボスモードに移行する条件が『スパイダーラージツリー』の討伐だった、今詳しく鑑定したら条件が出て来た。


 でも言わせて頂きたい、そんな変な設定をしたのはカマモトメグミだ! ボクは被害者・・・OK?


 う~ん分かり合えないか、仕方が無い介錯して上がるよ。


 一刀の元にキマイラアラクネの首を跳ね、心臓部も破壊した。


 この手のモンスターは急所を全て潰さないと討伐出来ない場合がある・・・ヨシ! 発光現象が始まった、これで討伐を確認っと!


 解体はどうしようかな? 一応出来る事はやっておかないと次に繋がる事だからね。


 出来うる解体処理を行い素材を収集し、ドロップ品も回収。


 ドロップ品は魔石・スパイダーシルクの糸(最高品質)・スパイダーシルクの織物・麻痺毒(瓶入り)・糸車の杖・女郎蜘蛛の衣・豊乳薬(毒)が入手出来た。


 糸に織物と麻痺毒は問題無い、でもまたおかしな物が混ざっている。


・糸車の杖:使用者の魔力を糸に変える事が出来る杖、魔力の質により様々な効果を得られる。


・女郎蜘蛛の衣:装備すると男性を魅了するスキルを使用出来る、ただし長期間使用すると初めに精神が汚染される、次に魅了した男を交わりながら殺害したくなり、最終的には身も心も化け物へと変化するため、ご利用は計画的に!


・豊乳薬(毒):針に薬を付け乳頭に刺すと胸全体が一回り大きくなる。

 毒薬につき使用は年に1度のみ、使用方法を誤ると副作用として乳頭から粘着性の母乳が出るようになる、軽度の症状で1年、重度では一生改善する事は無いため、ご利用は計画的に!


 糸車の杖意外は碌なもんじゃないだろう!


 宝箱も銀ランクかぁ、まともだと良いなぁ、施錠あり罠無しっと。


「ゴマダレ~!」


 パカッと宝箱を開けると中身は、20階層メダル×2枚・ダンジョン金貨50枚・テイムモンスターの宝珠・若返りの薬(劣)・偽りの仮面×2・中位状態異常回復ポーション×6本・魔法の美乳パッド。


・テイムモンスターの宝珠:中位ランクのモンスターを無条件でテイム出来る、ただし愛情を持って接しないと愛想を尽かされる場合があるので注意。


・若返りの薬(劣):10歳若返る代わりに寿命が10年分減る。


・偽りの仮面:偽りの世界への招待状、参加者は仮面を装着してお越し下さい。


・魔法の豊乳パッド:装着する事で望みの美乳へと変化するマジックアイテム。

「オ〇パイによるオッ〇イのための〇ッパイ好きが命を賭して作り上げたオッパ〇パッド」


 ・・・偽りの仮面以外は収納の肥やしかな、少し考える時間が欲しい。


 これは隠された階層には直ぐに行かない方が良いかな? もっとカオスな状態な気がする。





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