第51話 続下位ダンジョン・3
下位ダンジョン13階層で出会ったロルミアさん含む槍使いの女性メチルダさん、回復師の男性ホイルンさん、逃げた他3人についてはどうでも良いが、現在ボク達は休憩用のランチシートを引いて一服しながら今後の行動について話をしていた。
「ボク達はこのまま先へ進みダンジョン攻略をしていきます、皆さんは10階層に戻り地上へ転移し帰還しますか?」
ボクの問いかけに概ねその予定である事をロルミアさんは認める、実際に着いてこられても困るのでね、お互いに手の内を易々と見せるのは良い事では無い。
ただこのまま帰すのも危険なので、モンスター除けのマジックアイテムを貸し出す事にした、初めは受け取りを拒否されたが今のパーティーメンバーでは、非常時には危険であると説得して無理矢理ロルミアさんに持たせた、返却はボクと会った時か受付のトトリアさんにボクへ渡して欲しいと預けてくれると良いと伝えた。
あの怖い顔の受付のおじさんですかと、若干引き気味では居たけれども、見た目と違い話の分かる良い人ですよと伝えておいた、やったねトトリアさん理解者が増えるよ!
そしてその場でロルミアさん達と別れたボク達は14階層へと向かった。
余談ではあるが謎の爆発を引き起こした冒険者3人は一応生きていたそうだ、何処かのお人好しな冒険者が欠損しながらも辛うじて生きていた彼等を地上まで運んでくれたらしい。
その後? さぁ、しらない。
・下位ダンジョン14階層
特質するものは何も無し、モンスターも複数のダンジョンラットマンばかり、冒険者パーティーもかなりウロウロしていて少々視線がウザい。
男だけのパーティーが声を掛けようとしてくるし、ナンパか! それともスーパー〇〇〇か! ならば去勢だ! 辞世の句を詠め! 成敗!!!
まったく! 姿を偽装してあまり好まれる容姿(田舎くさい娘姿)では無いのに此奴らは節操が無い! 〇があれば何でも良いのか? ・・・アレか、男の比率が多すぎる学校では普通容姿でも補正が掛かると言われる都市伝説、ヘタをすると男でも良いと開き直る猛者まで出ると聞いた事がある。
まあ馬鹿話はこの辺にしておいて、ぶっちゃけるとボクみたいなソロ冒険者、しかもテイマーっぽいのは素行に悪い連中からは良いカモみたいでさぁ、バレなければ犯罪にならないと思い込んでいるバカが少数いるとエルナさんが注意をしてくれた。
まあボクも無差別には返り討ちにしていないからね、訴えられないようにしっかりとちょう、じゃなくせん、でもない説得してあるから問題は無い。
・下位ダンジョン15階層
多少のトラブルもあったが無事に辿り着いた15階層、隠し部屋は無かったが行き止まりの先に木ランクの宝箱があった、ついでにお出迎えも手前にいたけれど。
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名前 無し
Lv 15
種族 ダンジョンコボルト
性別 無し
筋力 F
体力 F
器用 F
速力 F
知力 G
魔力 G
幸運 G
スキル
〈種族スキル〉
・噛み付き ・引裂き(爪) ・連係 ・遠吠え
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見た目の悪いワンワンがいる、例えるなら毛並みのゴワゴワした、目玉が異様に飛び出し二足歩行のわんこ、しかも此奴ら遠吠えで仲間を呼ぶのだが、迷宮型のダンジョンでは音が反響して位置の特定に時間が掛かるらしく、駆け付けた時にはすでに仲間は討伐されてただのお替わりになってしまう事が度々あるらしい。
そんな解説をしながら遠吠えの為に息を吸い込むと同時に投げ槍を投擲して頭に命中させ行動妨害をする、まあそのまま動かなくなってしまったが結果オーライだろう。
ドロップ品も代わり映えが無く肉ブロック・爪・牙・毛皮、レアが幸運の尻尾、もう少し変化が欲しい所だ。
宝箱には・・・食べかけのカビた黒パンが入っていた(怒)
・・・イタズラか? 鑑定結果もカビた黒パン(食べかけ)と出た。
そうかこんなイタズラも出来るのか、ナイヤはちょっと賢くなった、周囲にはこの様子を窺っている冒険者は居無い。
・・・! いた! 高度な隠蔽で姿を隠している! 笑いを堪えてピクピクとしている事で高度な隠蔽に隙が出来た!
気付かれないように脱力をしてからスキルを上乗せした縮地を発動! 一瞬で距離を詰めて犯人を捕える!
ボクの手に中に握られた犯人は初めは呆然としていたが状況を理解した瞬間から必死で抵抗を始めた。
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名前 無し
Lv 20
種族 ダンジョンパック
性別 無し
筋力 G
体力 G
器用 F
速力 F
知力 F
魔力 F
幸運 F
スキル
〈種族スキル〉
・下位妖精魔法 ・イタズラ ・飛行
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ダンジョンパック、いわゆる妖精だ! ボクの知る限りでは呼び名も色々でイタズラ妖精の部類にも入っていたような気もするが実際にイタズラされたので、今はイタズラ妖精の認識で良いだろう。
そしてコイツは必死にボクの手に噛み付いたり引っ掻いたりしているが、その程度ではボクの玉のお肌には傷一つ付か無い。
コイツをどうしようか考えたが、解体では羽は切り取って本体を薬品か酒の入った瓶に漬け込むらしい。
ダンジョンパックを握り締めたまま片手で『ワールドストア』を起動、片手で操作しメニュー画面から果実酒用広口びんと黒糖焼酎を購入し、並々と焼酎を魔法で滅菌した瓶に流し込みその中にダンジョンパックを締めずに漬け込む。
少しの間暴れたが数分で酩酊し意識を失う、5分間漬け込むと数秒淡い発光をして収まる、その後ダンジョンに吸収される事無く無事に妖精酒の下地が出来上がる。
後は半年から1年間寝かせると妖精が消滅し酒と混じり合い妖精酒となる。
ただし可能なのはダンジョン産の妖精に限られる為、野生の妖精では試さないように(注意:ダンジョン外の妖精は保護対象と成っている事が多いので事前の確認が必要)。
妖精は生き物の様に見えて実体を持ったは精神生命体だ、エルフやドワーフ等を人類族半精霊種と呼んでいるように、妖精にも人類族に当てはまる種がある事から扱いが難しいらしい。
まぁお決まりの人類至上主義を掲げる人を頂点とした差別国家もあるが、この際どうでも良い。
話しが逸れたけれどドロップ品も希少だ、魔石・妖精の粉・妖精の結晶・妖精の蜜・妖精の霊薬、魔石以外はどれもドロップでしか手に入らない、解体方法が未だに不明らしい。
出ちゃったけれどどうしよう? 瓶詰めにすると良いのかな?
ただ気になったのはレベルが高かった事、そしてここの下位ダンジョンでダンジョンパックの目撃例が一度も無い事、これは厄介事の臭いがするなぁ。
階層ボスのエリアを隈無く調べる必要が出てきたぞ! ボクワクワクしてきた。
階層ボスエリア扉の前には順番待ちのパーティーは無し、ヨシまずはギミックが無いかを調べよう。
・・・? ・・・! ・・・!? あった! ルート分岐のギミックが、条件は一度下位ダンジョンを攻略する事が必須条件か。
冒険者ギルドは掌握しているのだろかこの情報を・・・、後で聞いてみよう・・・いやボクが一度体験してから聞いてみよう、知らない状態だと調査が終わるまで挑戦が出来ないかもしれない。
15階層ボスエリアはダンジョンゴブリン・ラットマン・コボルトの混成だった、明確なリーダーのいない六匹の混成パーティーで各二匹ずつが好き勝手に襲い掛かってきた。
でも数が多くても瞬殺でした、ボクにとっての本番は上位ダンジョンからだろうな、ただしCランクからでないと挑戦出来ないので今は地道にランク上げかな。
その為にも順番に実績を上げていこう、宝箱は鉄ランクか、さて中身はっと、15階層メダル×2枚・下位治癒ポーション×5・ダンジョン金貨10枚・棘棍棒。
見た目は太めのバットに牙や爪が埋め込まれているファンタジー版釘バットって感じかな、付与の無い普通?の打撃武器。
今回はハズレかな、覚えていたら売ってしまうか。
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