第45話 下位ダンジョン・4


・下位ダンジョン6階層


 ・・・少し通路が広くなったような気がする、マップのとある反応に気付く、モンスターの反応が並んで2つある。


 成程ここからは複数での戦闘がある訳か、現状1~2匹の反応が彼方此方にあり冒険者パーティーと戦闘しているものもある。


 ただ特に気になるところも無いので、違いが出るまではサクサクと進める事にした。


・下位ダンジョン7~8階層


 少しレベルが上がった知っているモンスターばかりだったので遭遇した相手以外は無視した、ただし8階層で未発見の宝箱を確認して下位状態異常回復ポーションを1本入手した。


 更にモンスタードロップ品の所有権を巡り冒険者パーティー同士が言い争っていたのを目撃したが、自分は関係ないよと言う顔をして横を通り過ぎたのちに、直前でリポップしたモンスターを瞬殺して素早く解体し、彼等が言い争っているドロップ品よりも良い物を引き当て素早く大籠の仕舞い、何食わぬ顔でその場を後にした、目茶苦茶睨まれていたがボクの所為では無い。


・下位ダンジョン9階層


 ここでようやくモンスターの毛色が変わる。


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名前 無し 

Lv 9

種族 ダンジョンゴブリン

性別 無し


筋力 G

体力 F

器用 G

速力 G

知力 G

魔力 G

幸運 G


スキル

〈種族スキル〉

・組み付き ・真似事


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 お馴染みゴブリンさんです。


 こちらのダンジョン産のゴブリンさんはち〇こは無いけれども組み付こうとしたり、こちらの行動や行為を真似しようとする様です。


 生き残ると徐々に厄介に成るパターンですね、まぁサーチ&デストロイなので生存は出来ないですけれど。


 解体も魔石を抜き取りだけでそれ以上はしません、使い道が無いので、ドロップ品も腰布のみで使用してい無いはずなのに何故か臭いです。


 しかしこの腰布には可能性があります、『ロストアーカイブ』によると過去の錬金術でマジックアイテムの収納袋を作り出す事が出来ると記載されている。


 製作法は腰布×3枚で布袋が1枚錬成可能、出来上がった布袋×2枚に拳大の魔石を組み込みマジックアイテム錬成をして収納袋が完成。


 出来上がった収納袋の容量は布袋の2倍になり、これを同等の収納袋で掛け合わせて行く事を繰り返すと容量10倍までの収納袋を作り出せる。


 ただし工程が多く面倒な事と、技量が足りないと失敗する事もありの次第に廃れて行ったと記してあった。


 『ロストアーカイブ』には失敗談と改善案等も多くあり読み物としても楽しめる一面もある。


 まぁ確かに収納袋(容量2倍)×2枚で収納袋(容量3倍)が出来る訳だが容量が増えるに従い途方もない素材が必要になる。


 腰布であれば問題は無いが、拳大の魔石は下位ダンジョンでは最下層のダンジョンボスでのみ得られるので、割に合わないのと失敗すると損失も大きい。


 中位ダンジョンであれば15階層以上で入手も可能だが、その頃には収納袋よりも質の良いマジックバッグが手に入っている事の方が多い。


 スキル錬金術やマジックアイテム製作のランクやレベル上げに利用するにしても、もっと効率の良い方法がある為に廃れてしまうのはしょうがない事だ、もうこの時代では誰も知らないレシピだ。


 なのでドロップ品ゴブリンの腰布は、洗って綺麗にしても低レベルの裁縫系スキルの練習用として、捨て値で買い叩かれるゴミ扱いをされている。


 そう今まではだ、実は改良案が記してありネックとなっていた拳大の魔石をさらに小さな魔石で補う事が出来るのだ、大きさとしては腰布の持ち主であるゴブリンの魔石で代用出来る。


 ボクは試してみたくなり、ゴブリン狩りを開始する事にした。


 じつは9・10階層は不人気なのだ、階層ボスも含めゴブリンしか出ないのでお金にならない。


 なので冒険者は最短での通過を優先するので、その通路を避ければ冒険者パーティーと遭遇する事はほぼ無い、マップでゴブリン達を探し出しては殲滅を繰り返し9階層を残数ゼロのして、10階層を徘徊し十分な素材が集まったところで、階層ボスエリアへと向かう扉の前には誰も居なかったしギミックも無しなので、待つ事無くボスエリアに突入。


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名前 無し 

Lv 10

種族 ダンジョンゴブリンファイター(階層ボス)

性別 無し


筋力 F

体力 F

器用 G

速力 G

知力 G

魔力 G

幸運 G


スキル

〈種族スキル〉

・戦闘術(微) ・真似事 ・眷族召喚


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 丸太を持った通常種よりも一回り大きいゴブリンが待ち構えていた。


 そしてボク等を視認すると丸太を掲げて、短いリズムで吠えると召喚の魔方陣が2つ現れて、棍棒を持った通常のゴブリンが召喚された。


 ただそこからはいつもの事で瞬殺してしまう、見せ場も無く退場してしまったゴブリン達には悪いが、実力差がありすぎるのでどうにもならない、ただし手加減は上手くなったのでミンチにはなってはいない。


 いつもの処理を終えて宝箱の確認、相変わらず施錠も罠も無し、ゴマダレしながら中身を確認すると、10階層メダル×2枚・下位治癒ポーションが3本・ダンジョン金貨5枚・ゴブリンテイムのスキルオーブが1個、微妙な内容だが金貨は当たりだ!


 今回はここで終了する事にして、下位ダンジョンを出る事にした。


 10階層の転移部屋から1階層へ転移して無事に脱出。


 入口受付のギルド職員にギルド証を確認して貰い問題無く通過出来て、ボク達はそのままウルグドへ戻りことにする。


 ダンジョンではしゃいでいた結果、今は夜明けだった様で少し顔を覗かせた朝日が眩しかった。


 この時間帯だと彷徨いている冒険者も無く閑散としていて、朝帰りのパーティーが数組眠たげに自分達の宿泊テントへと戻っていく。


 この時間帯だと未成年のFランク冒険者はいないようだ、彼等も早朝にこちらに街から向かってくるのだろうか?


 宿泊場は料金が掛かるから利用はしないだろうし、・・・まさかね。


 あっ、居たよ、宿泊場の柵の外にまとまって寝ている、一応見張りは立てているようだが、たくましいというか危ないというか、問題が起きるまではあのままなのだろうな。


 そんな彼等を横目で通り過ぎボク達はウルグドへと帰ることにした。

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