第43話 下位ダンジョン・2
ダンジョンスライムの核を抜き取るだけの簡単なお仕事をしながら下位ダンジョン内を縦横無尽に彷徨うボク達。
マップで位置を確認しているので問題無く作業が進む。
「しっかし、しつこいなこいつら」
「ぴいぃ」
さっさと片付けてしまえと提案するシャイニス、君も大概物騒になったね。
おっ、今度は挟撃しようとしているけれど、でも一歩遅いよっとボク達は別に通路に向かう、途中での抜き取りも忘れずに行っていく。
あっ、一カ所にまとまった・・・様子からして喧嘩をしている?・・・止めてボクのために争わないで。
「ぴいいぃ」
それ私も今度雄達の前でやってみようとシャイニス言い出す、いかん!シャイニスが小悪魔になってしまう。
・・・さて、そろそろ狩るか。
しばらくして怒りで顔を真っ赤にした男達がボクの居た場所に現れる
「やっと見つけたぞクソガキが! チョロチョロと逃げ回りやがって、大人しくしていれば銀貨一枚でそのマジックアイテムを買い取ってやったのに残念だったな、不相応な装備を持っていた事を悔やんで死にやがれ! 一応親切で言ってやるが助けを呼んでも無駄だぞ、この消音のマジックアイテムで外には、てめえの悲鳴は一切聞こえねえ! 俺達に盾突いた事を後悔してくたばれ!」
一気に捲し立てる様に話す男にボクは一応尋ねる。
「誰? 人違いじゃ無い? 初対面でしょう? もしかしてナンパ? ゴメンナサイ生理的に無理です!」
丁重の断ってから。
「銀貨一枚でボクのマジックアイテムを売れって、うける! お店に行って聞いてみなよ、頭おかしいと思われるよ」
今度は親切に忠告をしてあげる。
すると赤い顔が更にドス黒い赤に変わる、君ら血管切れるよ。
「「「「ヤロォー! ぶっ殺してやるぅー!」」」」
武器を抜きボクに襲いかかる男達、だがその脚はその場で力を失い崩れ落ちる。
「ぐえ」「ごあ」「なっ」「あで」「お、おいどうした?」
4人を盾にして射線上にいなかった男が倒れた男達に問い掛けながら仲間達の状況に固まる、4人全ての左右の太ももにナイフが刺さっていた。
「い、いつの間に投擲した! ほ、他にも仲間が居るのか?」
無傷の男が戸惑っているようだが、ボクが全てやりました。
収納から素早い取り出しからのナイフ両手投擲を計4回繰り返し、4人の暴漢を歩行不能にしたナイフの根元までしっかりと食い込んでいるので簡単には抜けないはず、そしてこの状況に逃げだそうとしている無傷の1人に向けて、収納から投げ槍を取り出し相手の右臀部へシュート!超エキサイティング!
「ぎゃあぁ~! あがあが、あ、あじがぁ~!」
正確にはお尻だが、脚が動かないからだろう、大腿骨頭辺りに刺さったかな? 貫通しているから砕けているかも。
「おい! ぎごえるが~! バルゴざんに連絡じろ! 急げ~!」
どうやら六人目の仲間に救援を呼ぶように叫んだようだ。
「おい! 聞こえでいるのが! 返事をじろ!」
激痛で言葉が濁りながらも必死に叫ぶ、しかし消音のマジックアイテムで外に音が漏れないようにしているから声が届かないのではと、ふと思ったがマジックアイテムはすでに停止していたようだ。
でもね、ボクの方でも細工をしていたからこの場所には誰も来ないし、これから丸一日は認識する事すら出来ないよ。
そして男が叫び続ける通路の先からシャイニスがぐったりとした男の腕を咥えて引きずりながら戻ってきた。
「お帰りご苦労様」
と労いの言葉を掛けると咥えていた男を一度大きくぶん回して叫んでいた男へ放り投げた! 男達は「ぐぇ」と声を上げ重なり合い静かになった。
「ぴい!」
言われたとおりに片付けたよ! と得意げにしているシャイニス褒め称えて撫で回しながら、何とか回復して逃げようとしている暴漢達の様子を窺い、寸前の所で治癒ポーションを奪い取り、更に追加で四肢の関節部を愛刀の木刀『ボクと撲殺』で破壊して回った。
そして身動き出来なくなった男達6人を並べて、ナイフと投げ槍を回収し綺麗に生活魔法で洗浄しナイフは収納して、投げ槍は男達をつつくのに残した。
暴漢達の持ち物を必要な物だけを剥ぎ取りした後にお話をする事にした。
初めの内は暴言を吐いたりつばを吐き掛けたりして素直ではなかったが、最も反抗的だった1人を離れた位置に移動させてから、下腹部にダンジョンスライムを乗せた上げると他の5人は我先にと素直にお喋りを始めた。
徐々に衣服が分解されて、いよいよ皮膚にダンジョンスライムが触れそうになると、男は助けを求めたがボクには聞こえなかった、何せどうせ騒ぐだろうから彼等の持ち込んだ消音のマジックアイテムを直ぐ側に置いて起動させておいたからね。
ボクからは見えないけれど、彼等にはハッキリと見えている様で皆素直になったよ。
彼等の言い分によると、冒険者成り立てに見えるボクが収納容量が多そうなマジックアイテムを所持していたので、強引に脅して銀貨一枚で譲るように迫り、冒険者ギルドからも追求されても言い逃れが出来るように計画して行動したら、ボクに良いようにあしらわれて心身共に疲労し、途中でも仲間同士で喧嘩になり最悪な状況で、ボクの正論にブチ切れて襲いかかったそうだ。
いい歳した大人が何をやっているのか、「真面目に働けよクズ共!」と
「残り4人」とボソリと言うと、尻の穴を増やされた男が悪あがきなのか脅しを掛けてきた。
「自分達には『鉄腕のバルゴ』が後ろに付いている」
と得意げに言うが、ボクが「誰それ?」と返すと表情が抜け落ちた顔をして必死に『鉄腕のバルゴ』について語り出すが、要はクズ共の頭ってだけでBランク冒険者パーティー『鉄鎖の巨人』のリーダーらしい。
バルゴは此奴らの様なクズ共を力でまとめて、クランごっこをして上納金を納めさせているらしく、実際支払いに困った此奴らがボクを狙ったそうだ、良く聞くと他にも真面目に働いている冒険者を標的にしては因縁を付けて金銭を巻き上げていると証言した。
まあこんな証言も立場の低い人間が話しても、簡単に揉み消される事なのだが、バルゴはBランク冒険者なのでコイツが代表では、クラン設立は認められないのでクランの真似事をしているのだろう、クランの設立には代表がAランク冒険者以上でなければ認められない。
裏技もあるがバルゴにそう言った繋がりは無いだろう。
「でも君らってバルゴの威を借りてはいるだけで、仲が良い訳では無いでしょう? 居なくなったところで気に掛けると思う? 精々ダンジョンでヘマをしたと思われるだけでないの、それに君達さぁ、ボクを襲う事を誰にも話してはいないでしょう」
ボクに問われて彼等は数秒の間沈黙した、その後は必死にボクの話を否定し続けた。
まぁすでにこの1階層の一部はボクが空間を支配して24時間は誰も近づかない様に意識誘導が掛かるようにしてあるのよね。
更に追加で消音措置もバッチリ、偽装工作も完璧、明日には全て綺麗さっぱり片付いているよ。
ふふっ、ボクが魅惑の微笑みを浮かべると彼等は一斉に命乞いを始めた、失礼な連中だよまったく!
・・・最後の後始末に彼等のギルド証や個人を特定する物はダンジョンスライムの中に押し込んでおいた、2時間後には全て分解されているだろう。
トラブルの解決が出来たので2階層へ進む事にする。
その日、下位ダンジョン1階層の奥からは、亡者の呻き声とも思えるような怨嗟の声が響き渡っていたが、誰も気付く事はなかった。
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