第40話 武具の新調は計画的に。
徹夜をしてしまった、まぁ眠くはないけれど、心情的に徹夜をすると気疲れをしてしまう、少し気分晴らしに散歩をするか。
ボクはマッドガーデンの敷地内をのんびりと回り思考を整理する、マッドガーデンもこの数ヶ月で大きく成長したなと改めて思う、暇を見つけてはチマチマと素材を課金してイカした箱庭を作り上げた。
アーザルトお父様の施設から持ち出した機材も良い感じにディスプレーしてマッドな様相を醸し出している。
庭には輝光樹の苗木が10メートル以上に育っている、これでも幼木らしい、世界樹っておかしいよね、しかも親木の輝光樹と繋がっているらしく時々点滅しながら通信して会話をしているようだ。
周囲には植えた覚えのない希少な植物がこんもりと生えている、中には〈無害型マンドラゴラ〉という抜いても叫ばない魔法植物が気持ちよさそうに地面から抜け出し日光浴をしていた。
ボクの発想よりもマッドな庭になっていた。
まぁそこは置いといた、ライフリーパー戦でスチールツリーの短槍が壊れた、丸形スモールシールドも傷だらけで買い換え時、飾りのショートソードは無傷だけれど、革鎧は今のままでも問題ないかな臭くならないように気を使っているし。
ライフリーパーで思い出したけれどドロップ品が出なかったな、本体は『ネクラマンサー尾根倉命』との繋がり無くすために消滅させたけれど、純粋なダンジョンモンスターでは無いからドロップ品は無しなのかな、まぁ財宝の中に素材も含まれていたからドール素体とかが結構あったんだよね。
お父様の技術と合わせて暇な時にでもボクの専用ドールを製作しようかな。
武具はどうしようかな、自作するか職人に発注するか、生産スキルがあるから自作するかな、自重無しと有りでどのくらい酷い事になるのかやってみよう。
・・・カン・・・カン・・・カン・・・カン・・・ガン!
あっ、やべえ!
2日程徹夜をして幾つかの装備を用意したが人前では使用出来ない物ばかりでやりすぎた感はあるがでもボクは反省はしない。
取り敢えず代表して一振り紹介。
竜魔剣ギガボルグ:両刃両手剣ロングソード
・サンダードラゴンの牙より作り上げられた竜魔剣。
・刀身には雷の魔力が迸り、斬檄と共に雷が走り対象を感電させる。
・所有者を選び気に入らなければ問答無用で放電する(死なない程度)。
・製作者の趣味で色々と盛り込まれた喜劇の魔剣。
・非常にツンデレな子なので使用方法を知らないと苦労します。
この子はチョットやり過ぎてしまったのでいずれ何処かの英雄候補にでも嫁がせます。
実は対なる剣も用意してはいるがこちらは素直なのだが人見知りなので紹介は控えます。
その後も鱗や皮、爪や角等で色々とこしらえたが一部を除いて人目にさらして良い物にはならなかった。
その一部が鱗で作ったスモールシールド、偽装の為表面に皮を張って別物みたくするのに成功した、裏にも仕込み武器を仕込んである。
後は鱗を削り出してショートソードも作ってみたが、刀身のみに鱗は使用し、柄と鞘にはスチールツリーを使用した、これで鞘に収めている間は普通の剣に見えるだろう。
壊れた短槍も柄はそのままに、穂は付け替え式の刃を様々な素材で用意した。
ボクのランクが上がって(Cランク位)、身長も伸びて(180㎝)、おっぱいも大きくなれば(Dカップ)、侮られなくなるとは思うのだがまだ時間が掛かりそうだ。
しばらくは偽装武具で身を固めて遣り過ごしていく。
装備もチョピリと新調して、今度は下位ダンジョンに挑戦する。
「そんな訳で2日程じっくりと休息を取って心機一転し、下位ダンジョンに挑戦します。
注意事項ってあります?」
情報収集の為、暇そうにしているトトリアさんに話しかけた。
「ああ、休息は大事だな、取り敢えずチョットこっちに付いて来い」
手招きされて以前の部屋へと案内される。
「この2日間何も無かったか?」
少しお疲れモードのトトリアさんがボクについて聞いてきたので引き籠もって身を隠していた事を話す。
「そうかそれで目撃情報が無かったのか」
どうやら行方が分からない事から、何らかの事件に巻き込まれているのではないかと、心配していたようだ、そう言えば前にもあったなこんな事が、心配してくれた人は違うけれど。
「無事であったのなら問題無い、あの後は結構問題がデカくなってな、一応関係者ではあるナイヤにも事の経緯を話しておく」
トトリアさんの話によると、ピロックの初心者ダンジョン2階層での話を聞いたボーネクは、何時も自慢げに商売の事を話す父親の交渉テクニックを真似て、自身の凄い所を周囲に見せようと今回の冒険者ギルドでの交渉を思い立ったらしい。
内容としては初めは無理な要求をしてボクに断らせ、後から無理のない要求に変更する事で、交渉を有利に進める交渉術を披露して注目を集めるつもりでいた。
ドアインザフェイスだったかな? あの時ボクが強引に治療して逆に治療費を請求したから話がおかしくなったけれど。
本来の予定では1~2ヶ月の間パーティーに所属して貰い普通にダンジョン攻略をして貰う話に持って行くつもりだった。
しかし復活したピロックがボクに対する恨みからおかしな方向に欲を出してしまい、以前ボーネクから聞いた、素行の良くない連中から聞いた裏話を、ピロックの都合の良い部分だけを脳内変換して。
“これを自慢してアイツを論破したら気持ち良くてオレカッコイイ”と秘めていた知識を披露してボクをやり込めたかったそうだ。
一応は未遂ではあるが行為は違法なのでその場で確保し尋問した、本人は初めは理解していなかったが、次第に事の重大性を理解しはじめ、最後は泣きながら全てを証言した。
ボーネクも素行の悪い連中については全て話しており、直ぐに冒険者ギルドから領主に報告が上がり、その後はいくつかの商人や裏組織に騎士や衛兵が強制調査をおこない、かなりの捕縛者が出たそうだ、その中にボーネクの父親もいたそうだ。
ここまで聞いて納得した、逃げ延びている連中がいる事、逆恨みされている事、つまりこれってボクも報復対象に含まれてるよね。
あの時感じた悪意の2つはこれかな・・・まあ襲われてもバレずに片付ければ問題無いか。
その後は身辺に注意するのと下位ダンジョンではソロ活動は止めておけと言われながら下位ダンジョンについて教えて貰った。
冒険者ギルドから出てからボクは、何故こうもトラブルに巻き込まれてしまうのかと思案した結果・・・ヨシ対策を考えよう、一番良いのは何処かの誰かを英雄に仕立て上げて面倒ごとを押し付ける。
問題は手頃な誰かがいない事、「やあ、ボクと契約して英雄になってよ♡」と勧誘したら乗ってくるかな。
イヤ! あの腐れ外道のマスコット達の真似事なんてしたくない!
じゃあ迫り来るトラブルを、千切っては投げ、千切っては投げしてボク自身で処理をするか、我が女神は喜びそうだけれど、ボクの負担が大きい、神って大体がお気に入りに試練と言って定期的にイベントを起こすんだよね。
・・・ヨシ今のボクの状況をまとめよう。
・この世界での依頼を完遂しバカンス中の猫女神様の僕で転生者。
・辺境都市イスラートでは冒険者に登録して、シャイニスをティムして、アーザルトお父様の最期を見届けた際に起きたモンスターパレードを一部鎮めて、光柱にマナ粒子を大量に注ぎ込み輝光樹として顕現させた。
・ダンジョン都市ウルグドでは神殿でモルセニアの主神代理の猫神様をモフり、初心者ダンジョンではライフリーパーを消滅させ財宝を得た、その後クレーマーに絡まれて勝手に自爆、何故かクレーマーの関係者に恨まれる。
あれボク全然悪くないよね、このまま下位ダンジョンに向かったら多分仕掛けてくるだろうなぁ。
・・・ちょっと鍛冶屋に寄って安い武器を買ってこよう、え?何のためかって、新調した武器をバカ共の血で汚したくないからだよ。
「すみませ~ん、お邪魔しま~す!」
直感で職人通りの脇道にある、無骨な看板の鍛冶屋に入店した。
「邪魔するのなら帰りやがれ!」
店の奥からがなり声でそんな返答が返ってきた・・・いきなり入店拒否された。
そして間髪入れず、更に店の奥から“ごいん!”と鈍く重い音が響き続いて女性の怒鳴り声が響く。
「お客が来ているのに追い返すなバカオヤジ! は~い♪ 今向かいますね~♪」
店の奥からボクとほぼ変わらない身長でヒゲの生えた女性が・・・訂正、髪を胸元で三つ編みにして首も髪に埋もれていたので一瞬アゴヒゲに見えてしまった。
「いらっしゃい、オグロンド武具店にようこそ! 何をお探しで?」
営業スマイルの女性がボクに尋ねながら気付かれない様に値踏みをしている。
「お客さん格好からして冒険者かい? 成人している? 下位ダンジョンに挑むのかい?」
そして矢継ぎ早に質問、そんな彼女の姿を見て直ぐに思い付くのは『ドワーフ』!
身長はほぼボクと同じ筋肉質でこの女性は幼顔しかも巨乳、ロリ巨乳だと! 合法なのだろうか? と鑑定すると35歳と出た。
「おーい、聞こえているかい? オヤジの声でビックリしたかい? 悪いねぇドワーフのおっさんは大体口が悪いから気にしないでくれよ、それで何をお探しで?」
「あー気にしてないので、取り敢えず投擲用の槍が10本と投擲用ナイフも10本あります?」
「投擲用ね、投擲槍は一本銀貨2枚、投擲用ナイフは一本大銅貨7枚、うちで扱っている中で一番安い品だけれどもその上も見てみるかい?」
あまりお金を持っていない客と思われたらしい、まあ実際装備も偽装されたボロッチィ見た目だから仕方が無い、目的の物があったので支払いを済ませてさっさと下位ダンジョンに向かうかな。
「大丈夫です、問題無いです、お金ここに置きます」
そう答えて大銀貨2枚と銀貨7枚をカウンターに置いた。
するとドワーフ女性が困り顔で聞いてきた。
「え、値引きの交渉しないのかい?」
何故か値引き交渉しない事に驚かれた、ここでは値引き交渉は挨拶みたいな物なのか?
「適正な値段なんでしょう、なら支払うのは当たり前なのではないですか」
嘘である面倒なのでさっさと済ませたいだけだ。
「そう言って貰えると嬉しいね、各一本ずつおまけをしてあげるよ、今後ともよろしくね!」
と追加で各一本ずつおまけして貰った、ドワーフの女性も嬉しそうだった。
「あたしはポルアってんだ、アンタは?」
「ボクはナイヤです」
突然の自己紹介、気分が良かったのだろう。
「そうか、ナイヤまた武具が必要になったらウチに来な! サービスしてやるからさ!」
「分かりました、また来ますね」
と社交辞令で答えてから武器を抱えて店を出ようとしたその時。
「小僧、ちょっと待て!」
がなり声の厳つい顔のドワーフに呼び止められた。
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