第35話 初心者ダンジョン・4
・初心者ダンジョン5階層
4階層を抜けて5階層へ進み、何時ものように空間把握と索敵をおこない、マップを確認する・・・冒険者パーティーは3組・・・そして全て戦闘中と。
隠し部屋は無し、ダンジョンボスエリアはこのまま真っ直ぐ・・・ここのダンジョン全て目的地まで直線だな、初心者ダンジョンと言われる訳だが都合良すぎないか?
おっでもコイツは
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名前 無し
Lv 5
種族 ダンジョンウルフ
性別 無し
筋力 G
体力 G
器用 G
速力 G
知力 G
魔力 G
幸運 G
スキル
〈種族スキル〉
・噛み付き ・引裂き(爪) ・連係
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薄茶の毛、体長1メートル程のダンジョンウルフ、牙と爪に注意が必要、後はボッチなので連係は無視。
まあ成り立て冒険者には強敵ではあるが、ボクからするとミンチにしないように気を使う相手だ。
・・・今回も上手に狩れました!
解体後のドロップ品は、魔石・牙・爪・毛皮・肉ブロック、レアはダンジョンウルフの尻尾のみ。
ダンジョンウルフの尻尾の効果は装備するとドロップ率がレアドロップも含め2%上昇する。
ここまでで分かった事だけれどダンジョンでの解体スキルは結構重要な気がする、確かに発光時にしっかり解体しないと消滅してしまうけれど、得られる報酬が全然違いだろう。
その辺りの事を冒険者ギルドはどう指導しているのかな?
・・・どのパーティーもダンジョンボスのエリアには向かわないようだな、じゃあボク達が先に攻略させて貰うかな。
そのまま真っ直ぐ目的の場所へと進み、途中の襲撃も問題なく撃退し、いよいよダンジョンボスエリア扉前へと辿り着いた。
まずは感想として両開きの扉がデカい、高さだけで5メートルはあるよ、押せば開くにかな? ・・・鑑定で理解した扉に触れて開けようという意思を込めれば自動で開く仕組みだ、妙にハイテク? いやマジテク! マジックテクノロジーなんてね。
・・・う~ん鑑定で分かったけれど妙な仕掛けがあるな。
ナニナニ? 「通常モード・チャレンジモード切替装置」と表示されているが、えっとここかな? 扉脇の壁に彫り込まれた円形模様に触れると半透明のプレートが現れ文字が表示される。
『挑戦条件を満たしています。チャレンジモードに挑まれますか。 イエス ノー 』
隠し要素かな? 条件は何だ? レベル? ステータスのランク? ダンジョンでの行動? 魔導眼には一定レベルとステータスのランクにダンジョンでの滞在時間となっているが詳しい数値は出ていない。
検証は無理そうだなレベルやステータスはともかく滞在時間は少ない事が条件なら早くチャレンジモードに挑まないと権利を失い可能性がある。
まずは体験してから考えよう、ボクは回答をイエスにした。
『選択を確認。ようこそチャレンジャー。どうぞ扉の先にお進み下さい。貴方をお待ちしておりました』
重低音を響かせ扉が重く開く、扉の先には暗闇が広がって奥の様子が見えない。
せっかくのお招きなのでボスエリアへと進む、ボク達がエリア内へ入ると入口側から順に明かりが灯り始めエリア奥へと照らして行く。
エリア全体が明るくなると、入口の扉が閉まり始め、30秒程で完全に閉まりきった。
ここで立ち止まっていてもしょうがないので先へ歩を進める、歩いている間に周囲を観察する、広さは縦横100メートル程、天井の高さは10メートル程度かな、5階層到着時の空間把握ではここまでの広さは無かった、モード切替で空間を切り替えた?
エリアの奥に人影を見つける、まずはダンジョンボスなのかを確認するために近づいてみる事にする。
『ようこそ! 日本人さんいらっしゃい! そしてよくぞ生き残った、我が精鋭よ!』
何だか色々と混ざってる・・・落ち人関係か? いやでも同じ歴史を辿っていないだろう? いや時代がズレている? 偶然に似たような人物や娯楽が存在した? ボクがどこかを勘違いしているのか? う~ん、分からん。
『ふふっ、どうやら戸惑っているようですね、何故日本の流行がと! もちろん我が主が授けて下さった知識です!』
見た目がマネキンのような等身大の人形が自慢げに話して掛けてくる。
『貴方が何故この場所に来る事が出来たのかというのは、ずばり! 我が主の故郷、日本と縁のあるスキルを有していたからです!』
・・・・・・ああっ『ワールドストア』か! 確かに平行世界とモルセニア側は後100年ほど繋がっているな最低でも、抜かった! 変なところでフラグが立っていた。
いやもしかすると我が女神の策略か? トラブル大好きだからなぁ、あの方は。
『そしてそのスキルを所持するという事は、貴方は我が主と同じ日本からの転移者という証拠! どうか同郷の我が主の願いを叶えて頂けませんでしょうか! 是非是非!』
圧が怖い、そして色々と勘違いしている、日本と縁のあるスキルは平行世界の日本で習得したスキルの事かな? であればボクは該当しないはず、それとも何かの痕跡に反応した・・・あっ、やきそばパンと缶コーヒー微糖を入手してた。
アレか! アレの影響か! つい懐かしくて無性に食べたくなったのは何かの陰謀かな?
「あ~え~と、盛り上がっているところ悪いけれどボクは転移者いわゆる落ち人では無くて、君の主が居た世界の人間じゃあ無いんだ、悪いけれど」
『・・・? ・・・! ええっ、分かっています! 分かっていますとも! 我が主も言っておられました! 転移者である事を隠されているのですね! もちろん貴方の意向に従い追求など致しません! デスのでどうかわたくしのお話を聞いて頂きたい!』
コイツ、ボクの話を聞きやしないで話を先に進めていくぞ、そしてさり気なく口調に違和感がある、若干壊れているのか?
そして黙った聞いていると内容は次の通りだった。
年代は分からないがモルセニアに転移してきた日本人が4人、当時の王族に保護?され色々と支援をして貰う、それから数年しこの世界にも慣れてきた頃、突如ダンジョンが出現するしかもそれぞれが近い位置に4つも。
しかも内訳が下位ダンジョン1・中位ダンジョン1・上位ダンジョン2の組み合わせで、下位中位程度であれば脅威では無いが上位ダンジョンが2つ近場に現れたのが問題で、互いの上位ダンジョンの魔力は共鳴し合い魔力を増幅、更に下位中位ダンジョンも巻き込まれて魔力増大し、その結果超大規模なモンスターパレードが起こると王国魔導師団により告げられる。
そしてその王国の危機を救うために何故か彼ら4人が先陣を切って挑む事になる、しかも各ダンジョンに1人ずつ向かう事となる。
通常であればパーティーを組み一つずつダンジョンを攻略していくのが通常の方法であるが、今回に限っては時間が無いとの事で同時攻略となった。
そして基本戦うのは異世界人の4人のみ騎士団、魔導師団は王都を守るため動く事が出来ないと言い物資などの支援のみとなった。
?、端から聞くとおかしな話だが、ボクとしては国全体で考えると納得はする。
・ダンジョンの暴走が作為的に感じる、憶測なので言及はしない。
・王国は王国でダンジョン以外の問題を抱えている、例えば隣国や敵対国、戦力を動かせないのはその為、もしかすると下らないプライドや嫌がらせもあったかもしれない。
・王国内で異世界人の存在が扱いに困る駒としてみられていた。
まあ、あくまでボクの憶測です、事実では無い。
そしてダンジョンへの対応を任された4人はそれぞれの能力に合わせて分かれて攻略を開始する。
下位ダンジョンは防御回復が得意な自称女性、中位ダンジョンはオールマイティに全てをこなす青年、上位ダンジョン1は物理攻撃に特化した少年、上位ダンジョン2は特殊魔法使いの根暗な中年がそれぞれ担当し、結果として見事に全てのダンジョンを攻略し王国を救った。
めでたしめでたし。 ~Fin~
何て事にはならず、その後のオチが酷かった、王国は褒美という
ダンジョン伯は伯爵と同等の地位らしい。
それでも3人は納得して褒美を受け取り地位とダンジョン周辺の領地(合同領地)を得た、1人だけが最後まで納得をしなかったが3人が説得をして渋々受け入れた。
そして4人はそれぞれが攻略したダンジョンを常時はそれぞれで管理する事を決め、各家名を名乗り4家による共同統治で街を造る事としたのだ。
ボクとしては何故そんな面倒な体制にした!と思ったが、過去に文句を言ってもしょうがないし、裏で色々と策謀があったのでしょう、王侯貴族って汚いからね。
ただそんな事を気にする間もなく事態は急変する。
上位ダンジョン2を攻略した特殊魔法使いの根暗な中年、『ネクラマンサーの
だがその目論見も残りの3人の活躍により寸前で阻止される、その際『自称聖女の
そして上位ダンジョン2はその魔力の9割を封印のための力に変換されて、今では下位ダンジョン以下の初心者ダンジョンと呼ばれるまでに成り下がってしまう。
ただそのお陰で上位ダンジョン同士の魔力共鳴は無くなりすっかり安定して状態となっている、その後残った2家が協力して各家から次男と長女を結婚させ聖女の家名を継がせ、3家共同統治として今のウルグドを築き上げた、そんな事が可能なのかは当事者達が裏で取引をしたのだろうからボク知らない。
そしてここからが本題、封印は現在も正常! 外部からの破壊は不可能となっている、じゃあ内部からは? 条件次第で可能らしい、一応方法を尋ねたら『教えてあげないよ! ジャン!』と言われ帰ろうとしたら『我が主に「こう答えるのよ♪」と教えられた!他意は無かった!』と泣いて詫びられた。
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